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【コラム】第10回「運命に翻ろうされ続けたサインツの半生を振り返る」|F1解説者ムッシュ柴田のピットイン

【コラム】第10回「運命に翻ろうされ続けたサインツの半生を振り返る」|F1解説者ムッシュ柴田のピットインDAZN
【F1 コラム】解説者も務めるモータースポーツジャーナリスト、柴田久仁夫がF1の今に迫る。
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サインツがついにイギリスGPで初PPからの初優勝を達成

カルロス・サインツがF1デビュー151戦目にして初ポールポジションを獲得、その勢いを駆って初優勝(※決勝は出走150戦目)も手にしました。

予選ではPP大本命だったマックス・フェルスタッペンがシャルル・ルクレールのスピンでアタックを阻まれたり、レースでも首位ルクレールが不可解な戦略の犠牲になったり、フェルスタッペンが車体にダメージを受けたりと、多くの幸運にも助けられました。

とはいえ、そんな運を引っ張ってきたのも実力のうち。サインツ自身、これまで何度も不運に泣いてきたわけで、堂々たる初優勝と言っていいと思います。

2022-07-07 2010 Sainz F1 Formula 1Getty Images

サインツは父カルロス・シニアがラリーWRCの世界チャンピオン(1990年、1992年)という血筋で、本人も早くから才能を発揮してきました。

しかし、決してすんなりF1に来れたわけではありません。いわば運命に翻ろうされまくる、ドライバー人生を送ってきたといえるでしょう。

そもそもF1への昇格自体、二転三転でした。トロロッソ(現アルファタウリ)からのデビューがほぼ決まっていた2014年末、直前までレッドブルドライバーでも何でもなかったマックス・フェルスタッペンがいきなり横から入ってきて、話はいったん消滅してしまいます。

2022-07-07 2015 Ricciardo Kvyat Marko Verstappen Sainz Red Bull Toro Rosso F1 Formula 1Getty Images

するとセバスチャン・ベッテルが突然レッドブルを離脱し、トロロッソのクビアトが昇格。これでシートが一つ空き、フェルスタッペン、サインツの新人コンビが2015年に誕生したのでした。

その後のサインツはトロロッソで実績を積み、本人もレッドブルグループから離れるつもりはありませんでした。

ところがトロロッソがルノーからホンダにエンジン変更を決めたことで、その交渉の一環として2018年からルノーにレンタル移籍させられます(※当初は2018年シーズンからの予定だったが、ジョリオン・パーマーのルノー離脱により、2017年第17戦アメリカGPよりルノー加入が前倒しとなった)。

2022-07-07 2018 Sainz Renault Perez F1 Formula 1Getty Images

ここでもサインツはしっかり結果を残しますが、今度はダニエル・リカルドがレッドブルから移籍してきたために、押し出される形でマクラーレンに移ることになりました。

新鋭ランド・ノリスと組んだマクラーレンでは、1年目の2019年に自己最高の3位(※ブラジルGPではルイス・ハミルトンが表彰台に上がったものの、ペナルティにより順位降格。サインツは初の3位も表彰台に立つことはできなかった)を射止めるなど、3つ目のチームでも初年度から活躍。この後もマクラーレン残ることは既定路線でした。

しかし翌年、新型コロナウイルス蔓延の煽りで開幕戦が遅れている最中の2020年5月、ベッテルがフェラーリ離脱を突然発表。フェラーリはすぐにサインツに声をかけ、ベッテルの代案として2021年からのフェラーリ電撃移籍が決まったのでした。

2022-07-07 2020 Sainz McLaren Gasly F1 Formula 1Getty Images

こうして改めて振り返ると、サインツが波乱のF1人生を送り、何度も崖っぷちに立たされながらも、そのたびに自分で活路を切り開いてきたことがわかります。

フェラーリに移籍してからも、初年度の2021年は先輩ルクレールをしのぐ表彰台回数(サインツ4、ルクレール1)、ポイント獲得数(サインツ164.5、ルクレール159)を挙げています。

ところが2年目の今年は、神懸かった速さのルクレールにまったく対抗できず、その焦りからか、サインツはらしからぬミスやクラッシュを繰り返しました。

それでも大得意のモナコあたりから復調し、第9戦カナダGPではかつてのチームメイト、フェルスタッペンを猛追して、0.993秒差の2位表彰台。

2022-07-03 Sainz Ferrari F1 Formula 1Getty Images

そして今回のイギリスGPで、ポール・トゥ・ウィンを果たしました。ドライバーズ選手権でも、ルクレールがトップを独走していた第5戦マイアミの時点ではほぼダブルスコアの50ポイントあった差を、今回の優勝で11ポイント差まで詰めています。

同世代のルクレール、フェルスタッペンと比べると、走りの派手さとか、強烈な個性という点では劣るかもしれません。勝利への執念でも、この二人ほどのアクの強さは感じませんしね。

フェルスタッペンやルクレールは運命にあらがい、自ら道を切り拓いていくタイプ。一方のサインツは運命を受け入れ、与えられた環境で精一杯努力して結果を出そうとするタイプのような気がします。

同時にサインツは、それを存分に楽しんでいる。激烈な競争を勝ち抜くためには、もしかしたら不利な性格なのかもしれません。でも僕がサインツに共感するのは、まさにそんなところです。

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文・柴田久仁夫(しばた・くにお)

1956年静岡県生まれ。1980年代よりフランス・パリを拠点とし、TV番組制作の現場で手腕を振るう。1987年よりF1の世界にも足を踏み入れ、それ以来数々のレースを取材してきた。訪れたサーキットでは素足でトラックの感触を確かめるというライフワークも行っている。2016年より本拠地を東京に移し、現在は『DAZN』のモータースポーツ中継でも解説を務める。

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【レース情報】
F1  第11戦:オーストリアGP※日本時間
7月8日(金)20:30~フリー走行1回目
7月9日(土)0:00~予選
7月9日(土)19:30~フリー走行2回目
7月9日(土)23:30~スプリントレース
7月10日(日)22:00~決勝

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チーム・ドライバー

日程・番組表

 レースフリー走行・予選決勝
第1戦バーレーンGP 3月18日(金) ~19日(土)3月20日(日)
第2戦サウジアラビアGP 3月25日(金) ~26日(土)3月27日(日)
第3戦オーストラリアGP 4月8日(金) ~4月9日(土)4月10日(日)
第4戦エミリア・ロマーニャGP 4月22日(金) ~ 23日(土)4月24日(日)
第5戦マイアミGP 5月6日(木) ~7日(土)5月8日(日)
第6戦スペインGP 5月20日(金) ~21日(土)5月22日(日)
第7戦モナコGP 5月27日(金) ~ 28日(土)5月29日(日)
第8戦アゼルバイジャンGP 6月10日(金) ~11日(土)6月12日(日)
第9戦カナダGP 6月17日(金) ~ 18日(土)6月19日(日)
第10戦イギリスGP 7月1日(金) ~ 2日(土)7月3日(日)
第11戦オーストリアGP 7月8日(金) ~9日(土)7月10日(日)
第12戦フランスGP 7月22日(金) ~23日(土)7月24日(日)
第13戦ハンガリーGP 7月29日(金) ~ 30日(土)7月31日(日)
第14戦ベルギーGP 8月26日(金) ~ 27日(土)8月28日(日)
第15戦オランダGP 9月2日(金) ~3日(土)9月4日(日)
第16戦イタリアGP 9月9日(金) ~ 10日(土)9月11日(日)
第17戦シンガポールGP 9月30日(金) ~10月 1日(土)10月2日(日)
第18戦日本GP 10月7日(金) ~ 8日(土)10月9日(日)
第19戦アメリカGP 10月21日(金) ~ 22日(土)10月23日(日)
第20戦メキシコGP 10月28日(金) ~ 29日(土)10月30日(日)
第21戦サンパウロGP 11月11日(金) ~ 12日(土)11月13日(日)
第22戦アブダビGP 11月18日(金) ~ 19日(土)11月20日(日)