開幕から2戦連続11位…入賞にあと一歩届かない角田裕毅の現状
ジェッダ市街地サーキットでの角田裕毅は、F1ドライバーとしての進化を改めてしっかり見せてくれました。
2週間前の開幕戦でも、ライバルたちより明らかに一発の速さに劣るマシンで14番グリッドを獲得。レースは1秒差で10位入賞に届きませんでしたが、最後までウィリアムズを追い回しました。
そして今回のサウジアラビアGPでは、逆に追われる立場で10番手を21周にわたって死守。最後はケビン・マグヌッセンに抜かれて、2戦連続の11位に終わりました。しかし二人の自己ベストタイムを比較すると、マグヌッセンの1:33.374に対して、角田は1:33.931と、コンマ5秒以上の差があります。
区間別では中高速コーナーが連続するセクター2が特に遅く(ここだけで0.417秒)、何度も1秒以内に入られてDRSで迫られたのを、巧みなブロックで防御し続けていたのがわかります。
何より開幕2レースの角田は、金曜日のフリー走行から翌日の予選、日曜日の決勝レースまで全セッションで、ミスのない安定した走りを続けています。担当エンジニアとの無線も、去年までとは様変わりの落ち着いたやり取りです(マグヌッセンに抜かれた直後「ノー!!」と口にした無線以外は)。
予選、決勝に向けて、3日間でいかに流れを作れるか。去年までなかなかできずにいたレース週末の課題を、今年はきっちりこなしている。それが「ユウキはマシン性能を100%引き出してくれている」というチーム上層部の評価につながっています。
角田を支える新たな味方とは
Kunio SHIBATA
角田の「変身」には、2つの要因がありそうです。まずマリオ宮川という個人マネジャーがついたこと。
F1昇格前から角田自身、そしてそれ以上に父親の信彰さんが、F1を知り尽くし、精神面のサポートもできるマネジャーの必要性を痛感していました。しかしレッドブルは基本的に個人マネジャーを許していない。それが今年ようやく、状況が変わりました。
イタリアで生まれ育ったマリオは30年以上もF1に関わり、ジャン・アレジとジュリアーノ親子、小林可夢偉のマネジャーを務め、日伊英仏の4ヶ国語にも堪能。フェラーリと太いパイプを持ち、F1村の情報に詳しい。これ以上はないマネジャーを得たことで、角田が今まで以上にレースに集中できていることは確かです。
盟友の離脱も角田にとっては転機に
Getty Images
そして2つ目は、チームメイトが代わったことです。
ピエール・ガスリーは角田にとって大先輩であり、兄のような存在でした。一方、新たなチームメイトのニック・デ・フリースは現在28歳。22歳の角田よりレースキャリアがはるかに長く、コミュニケーション能力に長けている。チームへの技術的フィードバックにも定評があります。
いずれも角田にとっては、不利になりうる要素です。しかしそのような状況が逆に、チームリーダーとしての自覚を角田にいっそう促したと言えるでしょう。そんな角田の進化が明らかなだけに、なおのこと新車AT04の遅さがもどかしく思えます。
今季のAT04はここから上向きになるのか?
Getty Images
フランツ・トスト代表は「とにかくダウンフォースが少なすぎる」と問題点を指摘しています。それが事実なら、空力上の根本的な欠陥の恐れもあり、シーズン中の大幅な戦闘力向上は難しいかもしれません。
一方で今季のアルファタウリは去年の失敗を教訓に「ほぼ毎レース、小刻みな改良を繰り出す」ことを表明。次戦オーストラリア、続くアゼルバイジャンでのアップデート投入がすでに発表されています。
いうまでもなくライバルたちも開発を続けているだけに、相対的な差を詰めていくのは簡単な作業ではないでしょう。ですが角田の速さにふさわしいクルマが1レースでも早く届くことを、今は祈るばかりです。
文・柴田久仁夫(しばた・くにお)
1956年静岡県生まれ。1980年代よりフランス・パリを拠点とし、TV番組制作の現場で手腕を振るう。1987年よりF1の世界にも足を踏み入れ、それ以来数々のレースを取材してきた。訪れたサーキットでは素足でトラックの感触を確かめるというライフワークも行っている。2016年より本拠地を東京に移し、現在は『DAZN』のモータースポーツ中継でも解説を務める。
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【レース情報】
F1 第3戦:オーストラリアGP※日本時間
3月31日(金)10:30~フリー走行1回目
3月31日(金)14:00~フリー走行2回目
4月1日(土)10:30~フリー走行3回目
4月1日(土)14:00~予選
4月2日(日)14:00~決勝
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チーム・ドライバー
日程・番組表
レース | フリー走行・予選 | 決勝 | |
---|---|---|---|
第1戦 | バーレーンGP | 3月3日(金) ~4日(土) | 3月5日(日) |
第2戦 | サウジアラビアGP | 3月17日(金) ~18日(土) | 3月19日(日) |
第3戦 | オーストラリアGP | 3月31日(金) ~ 4月1日(土) | 4月2日(日) |
第4戦 | アゼルバイジャンGP | 4月28日(金) ~ 29日(土) | 4月30日(日) |
第5戦 | マイアミGP | 5月5日(金) ~ 6日(土) | 5月7日(日) |
第6戦 | エミリア・ロマーニャGP | 5月19日(金) ~ 20日(土) | 5月21日(日) |
第7戦 | モナコGP | 5月26日(金) ~ 27日(土) | 5月28日(日) |
第8戦 | スペインGP | 6月2日(金) ~ 3日(土) | 6月4日(日) |
第9戦 | カナダGP | 6月16日(金) ~ 17日(土) | 6月18日(日) |
第10戦 | オーストリアGP | 6月30日(金) ~ 7月1日(土) | 7月2日(日) |
第11戦 | イギリスGP | 7月7日(金) ~ 8日(土) | 7月9日(日) |
第12戦 | ハンガリーGP | 7月21日(金) ~ 22日(土) | 7月23日(日) |
第13戦 | ベルギーGP | 7月28日(金) ~ 29日(土) | 7月30日(日) |
第14戦 | オランダGP | 8月25日(金) ~ 26日(土) | 8月27日(日) |
第15戦 | イタリアGP | 9月1日(金) ~ 2日(土) | 9月3日(日) |
第16戦 | シンガポールGP | 9月15日(金) ~ 16日(土) | 9月17日(日) |
第17戦 | 日本GP | 9月22日(金) ~ 23日(土) | 9月24日(日) |
第18戦 | カタールGP | 10月6日(金) ~ 7日(土) | 10月8日(日) |
第19戦 | アメリカGP | 10月20日(金) ~ 21日(土) | 10月22日(日) |
第20戦 | メキシコシティGP | 10月27日(金) ~ 28日(土) | 10月29日(日) |
第21戦 | サンパウロGP | 11月3日(金) ~ 4日(土) | 11月5日(日) |
第22戦 | ラスベガスGP | 11月16日(木) ~ 17日(金) | 11月18日(土) |
第23戦 | アブダビGP | 11月24日(金) ~ 25日(土) | 11月26日(日) |