1996年のワールドチャンピオン、デイモン・ヒル氏がマックス・フェルスタッペンの現状について自身の見解を示している。ヒル氏は「マックスがF1を純粋に楽しめない状況になっている」とフェルスタッペンの現状について気にかけていると口にした。
2021年、2022年とタイトルを連覇したフェルスタッペンは現在25歳。レッドブルとの契約は2028年まで残しているものの、その後についてはF1から離れることをほのめかしており、F1界で長い間戦うことはないとの意向を示している。
フェルスタッペンは第3戦オーストラリアGP開催期間中、メディアの前でこう述べていた。
「今のF1について、多くの変更が行われないことを願っているよ。もしそうなるようだったら、僕はこの世界に長く居続けることはないだろう」
「今、組織が向かおうとしている方向は、僕にとって好ましい状況ではないし、それを応援したくない。そのようなことをすべて行うと、レースウィークの週末は非常に激しいものとなる。現時点ですでに多くのレースを行っているんだ。これ以上さらに多くのものを実施しようなんて、馬鹿げている」
フェルスタッペンはF1のカレンダーがレース数増加、過密日程となることに拒否反応を示している。
「彼らが週末の毎日をエキサイティングなものにしたいのは理解しているよ。ただ、週末の負担を減らして、土曜日に予選、日曜日にレースを行い、その2日間をしっかりエキサイティングなものとするべきだ」
「F1は今、年間24~25のレース数に増やそうとしている。明らかに僕らのドライバーやチームの意向とは関係なく、そこに向かおうとしているんだ。さらに多くのものを追加し、実際に始めたとしても、それは僕にとって価値があるものではないんだ。そのような状況を純粋に楽しめるとは思っていない」
そしてフェルスタッペンは、今季6レース実施予定となっているスプリントレースについて、リスクばかりでメリットが少ないと主張している。
「僕にとって、今のスプリントレースは生き残って最後まで走り切ることがすべてだ」
「レースの本質とはかけ離れているかもしれないが、自分にとってはそれが何よりも重要。ある程度マシンの速さがあったとしても、(スプリントレースの)土曜日に危険を冒す理由は何もない」
「しっかりと自分のクルマをベストの状態に保っておいて、日曜日に向けて良いレースカーを仕上げることが大切なんだ。F1がレースフォーマットを変更したとしても、この種のスプリントレースを行うことがF1本来のDNAであるとは思えないね」
「F1は予選で最速を競ってグリッド順を決め、素晴らしい日曜の決勝レースを迎えるのが本質だと思っている。これがF1というスポーツのDNAであるはずだ」
王者は「それをなぜ変えなければならないのか僕には理解できない。それなら、僕はここに長く留まりたいとは思わないね」と続け、年間のレース数、そしてスプリントレースが増加傾向にある現状について、明確な拒否反応を示している。
フェルスタッペンはレッドブルとの契約を2028年まで結んでいる。そのシーズン終了時には31歳を迎えているが、他カテゴリーへの挑戦を以前からほのめかしていることもあり、フェルスタッペンは31歳でF1界から去ってもおかしくはない。
フェルスタッペンの言葉を受け、ヒル氏は『Sky Sports』ポッドキャストを通じ、F1の過密日程やスプリントレース増加について警鐘を鳴らしている。
「マックスが引退を示唆することはとても異常な事態だと思うよ。彼は今のF1を純粋に楽しめていないんだ」
「ドライバーにとって、楽しめていることがとても重要なポイントであるはず。実際にマックスは楽しめているかどうかという見方をすると、実際にネガティブな感情を抱いているのは確かだ」
「コクピットに向かってステアリングを握るのがドライバーの仕事だ。だけどドライバー自身がそのことを愛さなければならないのは大前提としてある。そうでなければ、おかしな状態だとしか言いようがない」
より過密日程になり、その中でさらに新しいスプリントフォーマットが増加傾向となっていることについて、ヒル氏はこう続けた。フェルスタッペン擁護の姿勢を見せている。
「(F1が)新しいアイデアを思いついたのは良いかもしれないが、それが余分なものとしか思えない状況で、それに時間を費やして無駄にしたくないんだろう。マックスは大変だと思うよ」
「だから彼がそう主張するのは理解できる。なぜならマックスを始めドライバーはみんな“F1グランプリに勝ちたい”と考えているからだ。しっかりとレースで競うことに意味を持たせたいんだ。中途半端な競争でリスクを冒したくないのは当然だろう」
「人々は“決勝レースで何回勝った”という優勝回数の記録を話題にするだろう。一方“スプリントレースで何回勝った”なんて話を、誰がするんだということだ」
F1を主催するFIA(国際自動車連盟)は白熱した公式セッションを増やす目的もあり、2021年からスプリントレースのフォーマットをF1で行うようになった。
スプリントレースは約100kmの走行距離で行われるレースで、タイヤ交換義務はない。同レースのトップには8点が与えられ、8位までポイント獲得となる(※初年度の2021年のみ1位~3位までがポイント対象)。そしてこの結果が日曜日に行われる決勝のグリッド順となる。
2021年と2022年は3度スプリントレースを実施し、2023年より6度に拡大。今季は次戦の第4戦アゼルバイジャンGPを含め、第10戦オーストリア、第13戦ベルギー、第18戦カタール、第19戦アメリカ、第21戦サンパウロと、6度のスプリントレースが予定されている。
スプリントレース実施時の週末は土曜日前半のフリー走行2回目が実質的なパルクフェルメ状態になり、単純にフリー走行の時間が減少することから、そのサーキットにおけるセッティングを煮詰める時間も少なくなるという弊害もある。王者フェルスタッペンが語ったように、土曜日のスプリントで何かがあった場合は日曜日のグリッドに大きく影響する。そのためスプリントレースについては接触やクラッシュを起こさないことがセオリーとなっており、大きな順位変動が起きづらいという見方もある。
そんな状況下でどのようにレースウィークを送るべきか、フェルスタッペンにとってスプリントフォーマットについてポジティブな印象を持っていない模様だ。ヒル氏からしても、フェルスタッペンの言葉に理解を示しつつ、現王者に同情心を示している。
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チーム・ドライバー
日程・番組表
レース | フリー走行・予選 | 決勝 | |
---|---|---|---|
第1戦 | バーレーンGP | 3月3日(金) ~4日(土) | 3月5日(日) |
第2戦 | サウジアラビアGP | 3月17日(金) ~18日(土) | 3月19日(日) |
第3戦 | オーストラリアGP | 3月31日(金) ~ 4月1日(土) | 4月2日(日) |
第4戦 | アゼルバイジャンGP | 4月28日(金) ~ 29日(土) | 4月30日(日) |
第5戦 | マイアミGP | 5月5日(金) ~ 6日(土) | 5月7日(日) |
第6戦 | エミリア・ロマーニャGP | 5月19日(金) ~ 20日(土) | 5月21日(日) |
第7戦 | モナコGP | 5月26日(金) ~ 27日(土) | 5月28日(日) |
第8戦 | スペインGP | 6月2日(金) ~ 3日(土) | 6月4日(日) |
第9戦 | カナダGP | 6月16日(金) ~ 17日(土) | 6月18日(日) |
第10戦 | オーストリアGP | 6月30日(金) ~ 7月1日(土) | 7月2日(日) |
第11戦 | イギリスGP | 7月7日(金) ~ 8日(土) | 7月9日(日) |
第12戦 | ハンガリーGP | 7月21日(金) ~ 22日(土) | 7月23日(日) |
第13戦 | ベルギーGP | 7月28日(金) ~ 29日(土) | 7月30日(日) |
第14戦 | オランダGP | 8月25日(金) ~ 26日(土) | 8月27日(日) |
第15戦 | イタリアGP | 9月1日(金) ~ 2日(土) | 9月3日(日) |
第16戦 | シンガポールGP | 9月15日(金) ~ 16日(土) | 9月17日(日) |
第17戦 | 日本GP | 9月22日(金) ~ 23日(土) | 9月24日(日) |
第18戦 | カタールGP | 10月6日(金) ~ 7日(土) | 10月8日(日) |
第19戦 | アメリカGP | 10月20日(金) ~ 21日(土) | 10月22日(日) |
第20戦 | メキシコシティGP | 10月27日(金) ~ 28日(土) | 10月29日(日) |
第21戦 | サンパウロGP | 11月3日(金) ~ 4日(土) | 11月5日(日) |
第22戦 | ラスベガスGP | 11月16日(木) ~ 17日(金) | 11月18日(土) |
第23戦 | アブダビGP | 11月24日(金) ~ 25日(土) | 11月26日(日) |