カナダGPでアルボンが7位入賞…改めて才能を示す
今回のカナダGPで7位をもぎ取るまで、アレクサンダー・アルボンは「最も過小評価されているF1ドライバーの一人」でした。
これまでのキャリアがかなり地味だったのも、そんな評価と関係ありそうです。16歳で4輪デビューを果たし、フォーミュラ・ルノーやGP3、F2を戦ってきましたが、一度もタイトルを獲ったことがない。2019年からはフォーミュラEへの転向が決まり、F1デビューは夢に終わるはずでした。
ところがピエール・ガスリーがトロロッソからレッドブルへ昇格することで、急きょアルボンがF1の舞台に引っ張り出されます。するとデビュー2戦目のバーレーンGPで初入賞を果たし、それ以降もベテランの僚友ダニール・クビアトとほぼ互角の結果を出し続けました。
F1デビューイヤーの途中からレッドブルに大抜てき
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この健闘が評価され、失意のガスリーと入れ替わる形で夏にはレッドブルに昇格します。F1にデビューして、わずか13戦目。マックス・フェルスタッペンでさえ24戦目でしたから、異例の大抜てきでした。とはいえレッドブルにしてみれば、あくまで2020年以降のフェルスタッペンのチームメイトを誰にするのか、様子見の性格が強いものでした。
するとアルボンはレッドブル初戦のスパ・フランコルシャン、続くモンツァでもフェルスタッペンを上回る結果を出し、日本GP予選ではフェルスタッペンと同一タイムを叩き出して、速さでも負けていないところを見せました。
終盤のブラジルGPではルイス・ハミルトンに追突されなければ、初表彰台は確実でした。このレースを除けば、レッドブル移籍後8レースでいずれも6位以内に入賞するという抜群の安定性も、僕たちを驚かせるには十分でした。
2021年はリザーブ降格…それでも組織のために尽力
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これでアルボンは翌2020年もレッドブル残留を果たすのですが、独特の挙動のマシンに手こずります。それでも3位表彰台を2度獲得。目立たない記録ですが、アジア人F1ドライバーとして複数回表彰台に上がったのは、今のところアルボンだけです。
とはいえこの年、2勝を含む11回の表彰台を獲得したフェルスタッペンとの差はあまりに大きく、2021年はレースシートを失います。ただしテストドライバーとしてのマシン開発への貢献、何より角田裕毅への親身な指導は、レッドブルやアルファタウリの首脳陣が高く評価するところです。
それでもアルボン自身はレース復帰を望み、レッドブルとの関係を清算して2022年からのウィリアムズ移籍を決断します。F2時代にライバルだったジョージ・ラッセルの、強い推しもありました。
しかし再建途中のウィリアムズに、アルボンが真価を発揮できるほどの戦闘力は望めず、3回の下位入賞が精一杯でした(“3回も入賞できた”ことを、むしろ評価すべきかもしれません)。
下位ウィリアムズで可能な限りの成果を示す
DAZN
そんな厳しい状況はウィリアムズ2年目の今季も、決して好転しているわけではありません。それでもアルボンは毎レース、ウィリアムズのマシン性能を100%出し切ろうと努力し、多くの場合成功しているように見えます。
今回、カナダGPにおける7位入賞は、アルボンのそんな献身とドライバーとしての力量、そしてチームのアルボンに対する厚い信頼があったからこその、稀有な到達点でした。
ただしジェームズ・ボウルズ代表自身が言明しているように、ウィリアムズの本格復活までにはまだ何年もかかりそうです。
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アルボンはその日が来るのを、このままじっと待ち続けるのか。普通に考えれば、去年のラッセルが成し遂げたように、トップチームへと羽ばたくことを望んでいるはずです。そして他チームもアルボンの実力を、今さらながら認識したことでしょう。
レッドブルもひょっとしたら、フェルスタッペンのチームメイト候補リストに、改めてアルボンの名前を載せているかもしれません。
文・柴田久仁夫(しばた・くにお)
1956年静岡県生まれ。1980年代よりフランス・パリを拠点とし、TV番組制作の現場で手腕を振るう。1987年よりF1の世界にも足を踏み入れ、それ以来数々のレースを取材してきた。訪れたサーキットでは素足でトラックの感触を確かめるというライフワークも行っている。2016年より本拠地を東京に移し、現在は『DAZN』のモータースポーツ中継でも解説を務める。
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【レース情報】
F1 第10戦:オーストリアGP※日本時間
6月30日(金)20:30~フリー走行1回目
7月1日(土)0:00~予選
7月1日(土)19:00~スプリントシュートアウト
7月1日(土)23:30~スプリントレース
7月2日(日)22:00~決勝
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チーム・ドライバー
日程・番組表
レース | フリー走行・予選 | 決勝 | |
---|---|---|---|
第1戦 | バーレーンGP | 3月3日(金) ~4日(土) | 3月5日(日) |
第2戦 | サウジアラビアGP | 3月17日(金) ~18日(土) | 3月19日(日) |
第3戦 | オーストラリアGP | 3月31日(金) ~ 4月1日(土) | 4月2日(日) |
第4戦 | アゼルバイジャンGP | 4月28日(金) ~ 29日(土) | 4月30日(日) |
第5戦 | マイアミGP | 5月5日(金) ~ 6日(土) | 5月7日(日) |
第6戦 | エミリア・ロマーニャGP | 5月19日(金) ~ 20日(土) | 5月21日(日) |
第7戦 | モナコGP | 5月26日(金) ~ 27日(土) | 5月28日(日) |
第8戦 | スペインGP | 6月2日(金) ~ 3日(土) | 6月4日(日) |
第9戦 | カナダGP | 6月16日(金) ~ 17日(土) | 6月18日(日) |
第10戦 | オーストリアGP | 6月30日(金) ~ 7月1日(土) | 7月2日(日) |
第11戦 | イギリスGP | 7月7日(金) ~ 8日(土) | 7月9日(日) |
第12戦 | ハンガリーGP | 7月21日(金) ~ 22日(土) | 7月23日(日) |
第13戦 | ベルギーGP | 7月28日(金) ~ 29日(土) | 7月30日(日) |
第14戦 | オランダGP | 8月25日(金) ~ 26日(土) | 8月27日(日) |
第15戦 | イタリアGP | 9月1日(金) ~ 2日(土) | 9月3日(日) |
第16戦 | シンガポールGP | 9月15日(金) ~ 16日(土) | 9月17日(日) |
第17戦 | 日本GP | 9月22日(金) ~ 23日(土) | 9月24日(日) |
第18戦 | カタールGP | 10月6日(金) ~ 7日(土) | 10月8日(日) |
第19戦 | アメリカGP | 10月20日(金) ~ 21日(土) | 10月22日(日) |
第20戦 | メキシコシティGP | 10月27日(金) ~ 28日(土) | 10月29日(日) |
第21戦 | サンパウロGP | 11月3日(金) ~ 4日(土) | 11月5日(日) |
第22戦 | ラスベガスGP | 11月16日(木) ~ 17日(金) | 11月18日(土) |
第23戦 | アブダビGP | 11月24日(金) ~ 25日(土) | 11月26日(日) |