岩佐歩夢選手がF2で奮闘中、総合3位で後半戦へ
日本人ドライバー岩佐歩夢選手のF2での熱い戦いぶりは『DAZN』をご覧の皆さんはもちろんご存知でしょう。
3年前、コロナ禍真っただ中の2020年にヨーロッパへと渡った岩佐選手は、フランスF4を圧倒的強さで制すると、2021年はFIA F3選手権に参戦。この年から、レッドブルジュニアチームの一員にも抜てきされました。
F3では2021年のランキング12位でしたが、2022年にフランスチームのDAMSからFIA F2選手権にステップアップ。2勝を挙げてランキング5位で初年度を終えると、今季はタイトル奪取を目標に2年目のシーズンを戦っています。
全13戦、26レースの今季カレンダーも、折り返し地点を過ぎました。岩佐選手は14レースを終えて10回の入賞と、そこそこ安定した結果を出しています。表彰台は4回、そのうち優勝が3回。その結果、ドライバーズ選手権では暫定3位につけています。
DAMSで奮闘中、現状のF2勢力図とは
Getty Images
純粋なチーム力で言えば、岩佐選手所属のDAMSは、Prema、ARTに次ぐ3番手が妥当なところで(しかもその差は、けっこう大きい)、その意味ではPremaのフレデリック・ヴェスティ、ARTのテオ・プルシェールに肉迫する選手権3位という結果は、かなり健闘していると言っていいと思います。
ただシーズン序盤にはいったん選手権首位に立ちながら、その後結果の出ないレースが続いての現在3位です。そして先日のオーストリアでも流れは決して良くありませんでした。
予選はトラックリミット違反でタイム抹消となり、2レースとも16番グリッドからのスタート。レース1のスプリントレースでは11位完走で、ノーポイントに終わりました。
オーストリアのレース2では16番グリッドから2位フィニッシュ
Getty Images
レース2のフィーチャーレースも苦戦が予想されましたが、岩佐はスタートから果敢に攻め、1周目で5台抜きに成功します。そしてレース中盤、岩佐選手のタイヤ交換直後に、バーチャルセーフティーカー、さらにセーフティーカーが導入されます。
岩佐選手は第1スティントで粘り続けた3番手から、一度は9番手まで順位を落とす状況に。ですが複数の先行車がピットインしたこともありSC中には6番手までポジションアップ。結果として岩佐選手にとっては最高のタイミングのSC導入となりました。
レース再開後は、ARTのビクトール・マルタンス、プルシェールらを次々にかわして表彰台圏内に。チェッカー2周前にはタイトルを争うヴェスティを抜き去って、2位入賞を果たしたのでした。
「運に助けられた部分は、確かにありました。でもドライビングでもマシンセッティングでも攻めて攻めて、チャレンジしなければ結果は得られないことも実感しました。そしてその姿勢を続けてこその、シリーズランキングなんだと」
これで選手権2位プルシェールとの差はわずか4ポイントに。首位ヴェスティとは24ポイント離れていますが、シーズンはまだ6戦12レース残っています。今回岩佐選手が見せてくれた勢いを持ってすれば、十分挽回可能でしょう。
F2より上への道は拓けるのか
Red Bull Content Pool
こうなるとその先に待ち受ける未来、F1昇格の可能性にも言及したくなってきます。詳しい説明は割愛しますが、F1昇格に必要なスーパーライセンス自体は、岩佐選手は選手権5位以上なら取得できます。
一方で選手権順位よりも重要なのは「どんな戦いぶりを見せたか」そして「将来的に、どれだけの伸び代が期待できるか」だと思います。
その意味で嬉しかったのは今回の岩佐選手の戦いぶりが、2020年のF2シーズン終盤、角田裕毅選手のそれを彷彿とさせてくれたことです。
ソチ、そして何より最終戦バーレーンでの角田選手の破壊力は本当に凄かった。確かに岩佐選手のオーストリアは、それに比べればまだまだ序曲という感じです。とはいえ「今回多くのものを学ぶことができた」という言葉からは、物静かな岩佐選手の体内に燃えたぎっているマグマを感じました。
夏休み前のシルバーストン、ブダペスト、スパ・フランコルシャンの3戦6レースで、岩佐選手の大爆発が見られるかもしれません。
文・柴田久仁夫(しばた・くにお)
1956年静岡県生まれ。1980年代よりフランス・パリを拠点とし、TV番組制作の現場で手腕を振るう。1987年よりF1の世界にも足を踏み入れ、それ以来数々のレースを取材してきた。訪れたサーキットでは素足でトラックの感触を確かめるというライフワークも行っている。2016年より本拠地を東京に移し、現在は『DAZN』のモータースポーツ中継でも解説を務める。
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【レース情報】
F1 第11戦:イギリスGP※日本時間
7月7日(金)20:30~フリー走行1回目
7月8日(土)0:00~フリー走行2回目
7月8日(土)19:30~フリー走行3回目
7月8日(土)23:00~予選
7月9日(日)23:00~決勝
F2 第9戦:イギリス
7月7日(金)18:05~フリー走行
7月7日(金)23:05~予選
7月8日(土)21:15~レース1
7月9日(日)17:55~レース2
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チーム・ドライバー
日程・番組表
レース | フリー走行・予選 | 決勝 | |
---|---|---|---|
第1戦 | バーレーンGP | 3月3日(金) ~4日(土) | 3月5日(日) |
第2戦 | サウジアラビアGP | 3月17日(金) ~18日(土) | 3月19日(日) |
第3戦 | オーストラリアGP | 3月31日(金) ~ 4月1日(土) | 4月2日(日) |
第4戦 | アゼルバイジャンGP | 4月28日(金) ~ 29日(土) | 4月30日(日) |
第5戦 | マイアミGP | 5月5日(金) ~ 6日(土) | 5月7日(日) |
第6戦 | エミリア・ロマーニャGP | 5月19日(金) ~ 20日(土) | 5月21日(日) |
第7戦 | モナコGP | 5月26日(金) ~ 27日(土) | 5月28日(日) |
第8戦 | スペインGP | 6月2日(金) ~ 3日(土) | 6月4日(日) |
第9戦 | カナダGP | 6月16日(金) ~ 17日(土) | 6月18日(日) |
第10戦 | オーストリアGP | 6月30日(金) ~ 7月1日(土) | 7月2日(日) |
第11戦 | イギリスGP | 7月7日(金) ~ 8日(土) | 7月9日(日) |
第12戦 | ハンガリーGP | 7月21日(金) ~ 22日(土) | 7月23日(日) |
第13戦 | ベルギーGP | 7月28日(金) ~ 29日(土) | 7月30日(日) |
第14戦 | オランダGP | 8月25日(金) ~ 26日(土) | 8月27日(日) |
第15戦 | イタリアGP | 9月1日(金) ~ 2日(土) | 9月3日(日) |
第16戦 | シンガポールGP | 9月15日(金) ~ 16日(土) | 9月17日(日) |
第17戦 | 日本GP | 9月22日(金) ~ 23日(土) | 9月24日(日) |
第18戦 | カタールGP | 10月6日(金) ~ 7日(土) | 10月8日(日) |
第19戦 | アメリカGP | 10月20日(金) ~ 21日(土) | 10月22日(日) |
第20戦 | メキシコシティGP | 10月27日(金) ~ 28日(土) | 10月29日(日) |
第21戦 | サンパウロGP | 11月3日(金) ~ 4日(土) | 11月5日(日) |
第22戦 | ラスベガスGP | 11月16日(木) ~ 17日(金) | 11月18日(土) |
第23戦 | アブダビGP | 11月24日(金) ~ 25日(土) | 11月26日(日) |