元王者ベッテル「デ・フリース＝失敗と思わないでほしい」残酷なシート喪失に顧慮の言葉…一方で元僚友リカルドにエール｜F1

昨季限りで引退した4度のF1王者セバスチャン・ベッテルが、アルファタウリがニック・デ・フリースとの契約をシーズン途中で打ち切ったことについて「残酷なこと」と述べている。

11日にアルファタウリはデ・フリースとの契約を解消し、第12戦ハンガリーGPよりダニエル・リカルドがシートに収まることを正式発表した。元トロロッソ（現アルファタウリ）、元レッドブルのドライバーでもあるベッテルは、2014年当時リカルドと僚友だった。そしてデ・フリースはメルセデスのリザーブ時代にフリー走行でアストンマーティンのマシンを何度も駆り、2022年ベッテルとも一緒に仕事をしていた仲だった。

ベッテルは「ニックは気の毒だった。あの終わり方は残酷だと思うよ」とデ・フリースのシート喪失について、イギリス『ITV』に対して語った。

「ニックには素晴らしい形でチャンスが舞い込んだ。でも物事は彼の思うように動かなかったし、期待どおりとはいかなかった」

「こういうことはF1の世界では起こり得ること。突然その道が閉ざされてしまうのは、少し厳しいようにも思えるね。残念ではあるけど、この世界はそういうものでもあるんだ」

ベッテルはデ・フリースに対して個人的に期待を寄せていたと明かしている。

「ニックについては率直に良いドライバーだと思ったよ。昨年初めて彼と一緒に仕事をしたけど、人柄は本当にとても良かった。それにF2のチャンピオンシップやフォーミュラEでもトップに立っている」

「実力も確かだったし、今回のことでニックの自信に傷がつかないことを願っているよ」

そしてベッテルは、デ・フリースがアルファタウリから契約解除されたことを「残酷」としつつ、多くのモータースポーツファンに対して、デ・フリースが失敗に終わったドライバーだと認識しないでほしいと呼びかけた。

「彼は優れたドライバーだから、アルファタウリのキャリアだけ断片的に見て判断するようなことはしないでほしい。人々はごく一部だけ見て、そう思い込む傾向がある。それはフェアではないし、正しいことではない」

「実際に5レース、10レースと戦ってきて、期待通りにはいかなかったかもしれない。その明確な理由は僕にはわからないけど、彼が優秀なドライバーであることは確かなんだ。実際に異なるチャンピオンシップではそれを証明しているわけだからね。なので、彼にとってこの現状はとても残酷なことだと思うよ。その点は理解してあげてほしい」

Red Bull Content Pool

そしてアルファタウリに加わったかつての僚友、リカルドについてはこう述べ、シート再獲得を祝福している。

「先日、マクラーレン（個人所有している1993年のマシンMP4／8をシルバーストンで走らせた）をシェイクダウンしていた時、ダニエルには（ピレリのタイヤ）テストで会ったよ」

「再び彼がシートを獲得したことは、とても嬉しく思っている。ダニエルとはずっと一緒にレースしてきた間柄だしね。それに彼のキャラクターが大好きなんだ」

2022年限りでF1引退を表明したベッテルは現在、第一線から距離を置いている。家族との時間を過ごす一方で、イベントではファンの前に姿を見せることも。現役時代からF1の安全性向上を呼びかけるなど、人一倍啓蒙活動やチャリティーに精力的だった元王者。グリッド上から去った今も、仲間を気遣う人格者であり続けているようだ。

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