第12戦ハンガリーGPより、アルファタウリのドライバーは角田裕毅&ダニエル・リカルドとなった。この状況を受け、リカルドの母国メディアがリカルドにとっての今後の見通し、そして“可能性は低い”としつつも起こり得る最悪の事態について考察している。
アルファタウリは現地時間11日、ニック・デ・フリースが離脱し、次戦ハンガロリンクからリカルドがシートに収まると発表した。28歳のオランダ人ドライバーは今季10レースで離脱となり、ここからは34歳のオーストラリア人ドライバーがアルファタウリのAT04を駆ることに。
オーストラリア『FOX SPORTS』は今回リカルドがアルファタウリに加わったことについて「明確な目的が一つある。それは、2014年~2018年まで在籍したレッドブルに再び乗ること」と記している。
「冒険心溢れるオールアクションレーサーとして、役割を再度果たせるだけの力を有していると、首脳陣に証明するためだ」
「セルジオ・ペレスの現状を踏まえると、潜在的にはその座が安泰とは言い難い。そのため、リカルドは遅いマシンであろうとも、自身のキャリアを懸けて今回の決断を下したと言える」
Red Bull Content Pool
そして記事では、新たな僚友となる角田裕毅の存在が、リカルドにとっては明確な評価基準になるとしつつ、日本人ドライバーの現状を紹介した。
「角田が成長しているのは明らかだが、彼のパフォーマンスがどれほど高いのかはまだ疑問符がつく」
「彼は2020年にF2で3位となった。ミック・シューマッハ、カラム・アイロットに次ぐ3番手という位置を確保し、2021年よりアルファタウリからF1昇格を果たした」
「このシーズン、F2から上がったドライバーは冷淡な評価しか得られていない。F2王者のシューマッハはF1において2年走ったが十分な安定感はなく、F2で5位だったニキータ・マゼピンについてはポジティブな要素が語られる状況でもない」
「しかしながら角田が示したスピードの才能に疑いの余地はなく、デビュー戦からポイントを手にしたこともあり、F1昇格は最初から大成功のように見えた」
「その後はジェットコースターのような浮き沈みを見せ、ポイントを手にした一方で、別のレースでは不用意なクラッシュを引き起こしたこともあり、一時はシートを危ぶむ声もあった」
「結果として彼は2023年の契約も更新となった。チーム代表のフランツ・トスト氏は以前から“F1ドライバーとして力を発揮するには3年が必要”と語っていたこともあり、角田にとって2023年は一か八かの試練となっていた」
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今季のAT04は10チーム中最も遅いマシンという評価となっている。同メディアでは、その中で2度入賞を果たした角田について、こう説明した。
「F2、そしてフォーミュラEのチャンピオンであるデ・フリースが新たな僚友となった。ヘルムート・マルコ博士はこのオランダ人が新たなチームリーダーになると期待を寄せたが、蓋を開けてみると結果は明らかに異なっていた」
「10戦でデ・フリースが角田を上回る結果を残せたのは2戦のみ。内容で角田が明確に圧倒し、シーズン半ばでドライバーの交代劇が起こった」
「日本人が手にした2ポイントという成果は、ペースと安定性という点で一歩前進したとは言えない。だが、最初の2シーズンで散見されたような不用意なミスは見られなくなった」
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そしてリカルドの母国メディアということもあり、34歳のベテランに期待を寄せる内容で強調した。
「自信に満ちたリカルドは侮れないドライバーである。彼がマクラーレン時代と同様に、再び苦戦するとは思わない人が多い」
「レッドブルのサードドライバーとして、ここ数カ月はシミュレーターセッションを行い、先日はピレリのタイヤテストでRB19を駆った。オーストラリア人ドライバーはマクラーレン時代の蜘蛛の巣を吹き飛ばし、元の姿に戻った」
「リカルドが優れたドライバーであるという考えがあったから、レッドブル首脳陣は今回デ・フリースとの契約を解消し、リカルドを呼び寄せた」
「それに彼は232回レースに出走し、8度の優勝を飾っている。今さらその力について懐疑的な見方をする必要はないだろう。それに以前、このチームでレースをしたこともあり、実際にレッドブル昇格を勝ち取ったという実績がある。それを再び実現するのが理想的なシナリオと言える」
そしてアルファタウリにおけるチーム内争い、角田vsリカルドがここから要注目だと主張した。
「リカルドが説得力ある走りを見せたとして、角田がそれに食いつくことができたら、たとえ角田が敗れてもキャリアの終止符につながるようなものではないだろう」
「チームにリカルドが加わったという状況は、相対的に角田のポテンシャルを図るための目的もあるからだ。ただ、角田がここで敗れた場合は、大きなケガとなる。F1を目指すレッドブルジュニアのリアム・ローソン、そしてF2で戦っている後輩の岩佐歩夢に対して、立場は弱くなってしまうはずだ」
Red Bull Content Pool
一方、角田がリカルドに対してアドバンテージを示すシチュエーションについても記した。豪メディアはこれが「リカルドにとって最悪のシナリオ」と紹介している。
「F1において3シーズン目を迎えているドライバーとリカルドが同条件で戦ったのは、これが初めてではない。ランド・ノリスは2021年、マクラーレンでリカルドから多くのことを教わるものと見られていた。だがシーズンが始まると、この英国人ドライバーは度々上位争いを展開し、トップドライバーの一人としての評価を得るようになった」
「リカルドが角田にアドバンテージを奪われる可能性は低いだろう。それでもこの勝負で敗れたほうは失敗と見なされ、F1でのキャリアに終止符が打たれる可能性は高い」
「角田にとっては、改めて才能を示す時とも言える。疑問の余地がないほど優勢となった場合、彼は誰もが認めるアルファタウリのチームリーダーとして、新たな契約をつかみ取ることになる」
「また、ホンダがアストンマーティンにパワーユニットを供給する2026年まで、F1の舞台で戦い続ける状況を後押しすることにもなる。今後、レースに勝利できる可能性も十分にあるだろう」
「ノリスは対リカルドという一つの基準を利用して、確固たる評価を手にした。角田が勝利するようなら、1シーズンに2人のチームメイトを破ったことで、改めて高く評価されるはずだ。そのチャンスはとても大きい」
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そして『FOX SPORTS』は、勝敗どころではない異なるシナリオも起こり得ると冷静に考察している。
「さらに異なる、考えられる3つ目の結果として、チームそのものが完全に行き詰まっていて、力を発揮するどころじゃないという展開だ」
「角田はAT04に慣れていて、ある程度早い段階でリードを示すかもしれない。リカルドがそこから順応したとしても、結果を出すにはマシンがあまりに遅すぎるというジレンマに陥ることもあり得る」
「リカルドが力を示したくても、マシンがあまりに遅い場合は、結果を出すことそのものが困難になってしまう。このシナリオの場合、角田が最大の勝者となるだろう」
Red Bull Content Pool
そして改めてレッドブルグループ、アルファタウリが抱えている問題について冷静に記しつつ、リカルドに期待を寄せた。
「今回、なぜアルファタウリにリカルドが加わったのか、それはシーズンが終わるまで、リカルドが引き続きレッドブルで戦うのに相応なのかを見極めるためだ。そして状況が適切であれば、彼は再びレッドブル行きの切符を掴むことができるかもしれない」
「一方で若手にチャンスを与えるべきなのかを考える一つの基準でもある。角田というドライバーが長期的に任せるべき人物なのか、それとも限界に達しているのか、その答えが求められている状況だ」
「ローソンと岩佐は、引き続きF1昇格の道を模索して懸命にプッシュし続けるだろう。もし、角田とリカルドが互いに説得力のない膠着事態に終わった場合、このラインナップそのものにも難しい決断が迫られることになる」
「成長軌道を見せている角田を降板させるのか、それともベストチームへの復帰を目指すリカルドを見限るのか。一方でF1のために時間と資金を費やし、腕を磨いてきたジュニアたち(ローソン&岩佐)両方を失うことになるかもしれない」
「だからこそレッドブルの重鎮たちは、明確な結果を期待している。ここからの戦いにすべてが集約されており、そこから何が起こるのか、見てみよう」
10年前の2013年、前身であるトロロッソからレッドブルへの昇格を勝ち取ったリカルド。そのリカルドと角田が、新たな契約を懸けてハンガリーGPからの12レースで競っていく構図となる。
一方でスーパーフォーミュラ参戦中のローソンや、F2で総合3位に付けている岩佐も、レッドブルジュニア所属のドライバーとして、F1の枠を虎視眈々と狙う状況が続く。
豪メディアだけに視点はリカルド寄りながら、オーストラリア人にとって“起こり得る最悪のシナリオ”についても明確に記している。角田は大先輩リカルド相手にも、相対的な速さを示すことができるのだろうか。今季ここからの戦いは、毎レース未来を懸けた重要な戦いになることは間違いない。
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チーム・ドライバー
日程・番組表
レース | フリー走行・予選 | 決勝 | |
---|---|---|---|
第1戦 | バーレーンGP | 3月3日(金) ~4日(土) | 3月5日(日) |
第2戦 | サウジアラビアGP | 3月17日(金) ~18日(土) | 3月19日(日) |
第3戦 | オーストラリアGP | 3月31日(金) ~ 4月1日(土) | 4月2日(日) |
第4戦 | アゼルバイジャンGP | 4月28日(金) ~ 29日(土) | 4月30日(日) |
第5戦 | マイアミGP | 5月5日(金) ~ 6日(土) | 5月7日(日) |
第6戦 | エミリア・ロマーニャGP | 5月19日(金) ~ 20日(土) | 5月21日(日) |
第7戦 | モナコGP | 5月26日(金) ~ 27日(土) | 5月28日(日) |
第8戦 | スペインGP | 6月2日(金) ~ 3日(土) | 6月4日(日) |
第9戦 | カナダGP | 6月16日(金) ~ 17日(土) | 6月18日(日) |
第10戦 | オーストリアGP | 6月30日(金) ~ 7月1日(土) | 7月2日(日) |
第11戦 | イギリスGP | 7月7日(金) ~ 8日(土) | 7月9日(日) |
第12戦 | ハンガリーGP | 7月21日(金) ~ 22日(土) | 7月23日(日) |
第13戦 | ベルギーGP | 7月28日(金) ~ 29日(土) | 7月30日(日) |
第14戦 | オランダGP | 8月25日(金) ~ 26日(土) | 8月27日(日) |
第15戦 | イタリアGP | 9月1日(金) ~ 2日(土) | 9月3日(日) |
第16戦 | シンガポールGP | 9月15日(金) ~ 16日(土) | 9月17日(日) |
第17戦 | 日本GP | 9月22日(金) ~ 23日(土) | 9月24日(日) |
第18戦 | カタールGP | 10月6日(金) ~ 7日(土) | 10月8日(日) |
第19戦 | アメリカGP | 10月20日(金) ~ 21日(土) | 10月22日(日) |
第20戦 | メキシコシティGP | 10月27日(金) ~ 28日(土) | 10月29日(日) |
第21戦 | サンパウロGP | 11月3日(金) ~ 4日(土) | 11月5日(日) |
第22戦 | ラスベガスGP | 11月16日(木) ~ 17日(金) | 11月18日(土) |
第23戦 | アブダビGP | 11月24日(金) ~ 25日(土) | 11月26日(日) |