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【コラム】第40回「重鎮が次々に解任…アルピーヌ内部で何が起こっている?」F1解説者ムッシュ柴田のピットイン

【コラム】第40回「重鎮が次々に解任…アルピーヌ内部で何が起こっている?」F1解説者ムッシュ柴田のピットインDAZN
【F1 コラム】解説者も務めるモータースポーツジャーナリスト、柴田久仁夫がF1の今に迫る。
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アルピーヌ首脳が次々に離脱する事態に

7月末に発表されたアルピーヌ幹部の突然の解任劇には、かなり驚かされました。

オットマー・サフナウア代表が成績不振を理由に更迭されるのではという噂は、確かに少し前から出ていました。にしても同代表が就任したのは、わずか1年半前。評価の見極めを急ぎすぎた印象です。ベルギーGP初日の、これからフリー走行が始まろうというタイミングでの退任発表にも、唐突感が否めません。

さらにびっくりしたのが、ベテランエンジニアのアラン・パーメインの退任でした。パーメインは1989年のベネトンF1入社以来、ルノー、ロータス、再びルノーワークス、そして現在のアルピーヌへとチームオーナーが変わる中、34年間在籍し続けた生え抜きの人材です。

約10年前にレース現場の要であるスポーティングディレクターに就任してからは、その手腕はライバルチームからも高く評価されていました。

アルピーヌの公式リリースでは「相互の同意のもと、今回の決定に至った」とありますが、しかしこういう場合、普通ならあるはずの二人の退任コメントがないことからも、今回の人事は「解任」という表現が適切でしょう。

アルピーヌ内部にあるフレンチエリートの事情とは?

2023-08-07 Prost Alain F1 Formula 1Getty Images

ではアルピーヌはなぜ、このような人事を断行したのか。その根底には「フランス人エリートたちの驕り」があると、僕は思います。

ご存知の方も多いと思いますが、フランスには大学とはまったく別系統の「グランゼコール」(Grandes Ecoles)と呼ばれるエリート養成機関群があります。

フランスを代表する企業の重役たち、もちろんルノー幹部の多くもその出身者で、前CEOだったあのカルロス・ゴーン、ルノーF1のチーム代表だったシリル・アビテブール、そして先月までアルピーヌCEOだったローラン・ロッシもそうでした。

僕の知るグランゼコール卒業生たちは確かにとてつもなく優秀で、それゆえに強烈なエリート意識を隠さず(もちろん謙虚な人もいましたが)、何度も辟易させられたものです。

スペシャルアドバイザーとしてルノーF1に迎えられたものの、ロッシとの意見の相違から昨年離脱したアラン・プロストは「ロッシはF1のすべてを理解していると思い込み“勝つことなど簡単だ”と何度も言っていた」と、強烈に批判しています。ロッシへの個人的な悪感情を差し引いても、プロストのコメントはフレンチエリートの典型的な一面を語っている印象です。

時間を要するも完全復活とはいかず

2023-08-07 Ocon Gasly F1 Formula 1Getty Images

その点、アビテブールの方が、まだF1で頂点に立つことの難しさをわかっていました。しかし2016年のルノーF1ワークス復帰後、チーム代表に就任したフレデリック・バスールを、1年も経たず辞任に追い込んでいます。

ちなみにバスールもグランゼコール出身者ですが、卒業後すぐにレーシングチームを立ち上げ、多くのカテゴリーを制覇してきた生粋のレース屋であることが、ロッシやアビテブールとの決定的な違いでしょう。

その後はアビテブールがチームの指揮を執りますが、成績は低迷。初表彰台は、復帰から5シーズン目の2020年でした。アビテブールは不振の責任を負う形で、アルピーヌにブランド変更した2021年、ロッシに交代します。

野心満々のロッシは「100グランプリプラン」つまり5年以内にタイトルを獲得するという計画をぶち上げますが、今季になっても5位マクラーレンにほぼダブルスコアの差をつけられ選手権6位に低迷。

ついにルノーグループ総帥のルカ・デメオが乗り出し、7月にロッシを更迭してしまいます。今回のサフナウア、パーメインの解任は、その流れの一環と捉えていいと思います。

現アルピーヌが先々、大転換となるシナリオも?

2023-08-07 Flavio Briatore F1 Formula 1Getty Images

振り返ればルノーF1の黄金時代というべき2000年代の彼らは、フラビオ・ブリアトーレという“怪物”にチームの舵取りを任せるだけの懐の深さがあり、それが2年連続(2005年、2006年)の両タイトル獲得に繋がりました(最後はクラッシュゲートという壮絶な裏切りに遭うわけですが)。

しかし今のルノー・アルピーヌは自分たちの指導力に絶対的な信頼を置きすぎたことで、空白の8シーズンを浪費している状況です。

最新の報道では、2026年からのF1参入を申請中のアンドレッティ・キャデラックがアルピーヌ買収を計画し、株の買い占めを進めているとか。

トヨタやフィアット、VW(フォルクスワーゲン)グループでのし上がり、超現実主義者と評されるイタリア人のデメオ率いる今のルノーなら、そんな方針大転換もありうるかもしれません。

文・柴田久仁夫(しばた・くにお)

1956年静岡県生まれ。1980年代よりフランス・パリを拠点とし、TV番組制作の現場で手腕を振るう。1987年よりF1の世界にも足を踏み入れ、それ以来数々のレースを取材してきた。訪れたサーキットでは素足でトラックの感触を確かめるというライフワークも行っている。2016年より本拠地を東京に移し、現在は『DAZN』のモータースポーツ中継でも解説を務める。

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【レース情報】
F1  第14戦:オランダGP※日本時間
8月25日(金)19:30~フリー走行1回目
8月25日(金)23:00~フリー走行2回目
8月26日(土)18:30~フリー走行3回目
8月26日(土)22:00~予選
8月27日(日)22:00~決勝

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チーム・ドライバー

日程・番組表

 レースフリー走行・予選決勝
第1戦バーレーンGP 3月3日(金) ~4日(土)3月5日(日)
第2戦サウジアラビアGP 3月17日(金) ~18日(土)3月19日(日)
第3戦オーストラリアGP 3月31日(金) ~ 4月1日(土)4月2日(日)
第4戦アゼルバイジャンGP 4月28日(金) ~ 29日(土)4月30日(日)
第5戦マイアミGP 5月5日(金) ~ 6日(土)5月7日(日)
第6戦エミリア・ロマーニャGP 5月19日(金) ~ 20日(土)5月21日(日)
第7戦モナコGP 5月26日(金) ~ 27日(土)5月28日(日)
第8戦スペインGP 6月2日(金) ~ 3日(土)6月4日(日)
第9戦カナダGP 6月16日(金) ~ 17日(土)6月18日(日)
第10戦オーストリアGP 6月30日(金) ~ 7月1日(土)7月2日(日)
第11戦イギリスGP 7月7日(金) ~ 8日(土)7月9日(日)
第12戦ハンガリーGP 7月21日(金) ~ 22日(土)7月23日(日)
第13戦ベルギーGP 7月28日(金) ~ 29日(土)7月30日(日)
第14戦オランダGP 8月25日(金) ~ 26日(土)8月27日(日)
第15戦イタリアGP 9月1日(金) ~ 2日(土)9月3日(日)
第16戦シンガポールGP 9月15日(金) ~ 16日(土)9月17日(日)
第17戦日本GP 9月22日(金) ~ 23日(土)9月24日(日)
第18戦カタールGP 10月6日(金) ~ 7日(土)10月8日(日)
第19戦アメリカGP 10月20日(金) ~ 21日(土)10月22日(日)
第20戦メキシコシティGP 10月27日(金) ~ 28日(土)10月29日(日)
第21戦サンパウロGP 11月3日(金) ~ 4日(土)11月5日(日)
第22戦ラスベガスGP 11月16日(木) ~ 17日(金)11月18日(土)
第23戦アブダビGP 11月24日(金) ~ 25日(土)11月26日(日)