角田裕毅選手、オランダで奮闘も結果に結びつかず
今季、角田裕毅選手のレースは見終わったあとにモヤモヤしたり、残念な気持ちを抱くことが何度もありましたよね。
9位入賞も取り消されたスペインGP(※チョウ・グァンユを押し出したとして12位降格処分)がその代表ですが、そもそもあれだけ素晴らしい走りを連発しながら、最高位は3回の10位。角田選手の能力と実際の結果が、まったくシンクロしていない印象です。
今回のオランダGPもまさにそんなパターンでした。難しいコースコンディションの罠にハマることなく、速さで勝るライバルたちに一歩も引かず、マシン性能を100%引き出したにもかかわらず15位。その奮闘が報われることはありませんでした。
状況変化が難解…そして予選決勝ともペナルティ対象に
Red Bull Content Pool
オランダの週末、角田選手は予選から受難続きでした。Q1は期待通りトップ10内の速さ(9番手でQ2進出)を見せたものの、Q2はアタックのタイミングが早すぎたこともあり、結果として14番手タイム。
さらにルイス・ハミルトンのアタックを邪魔したとして、3グリッド降格ペナルティを科されて17番手スタートに。抜きにくいザンドフォールトで、ここからのポイント獲得はかなり厳しい状況でした。
しかし、決勝レースはスタート直後から大粒の雨が降り出し、角田選手は自らの判断で1周目終わりにピットに向かいました。フェラーリ同様雨用タイヤの準備が遅れ、10秒前後のタイムロスを喫したものの、それでも順位を9つ上げて8番手に躍進しました。
そこからはマクラーレンのランド・ノリスを延々20周以上抑え続け、8番手をキープします。すると後半42周目に、ノリスがアンダーカット狙いでピットイン。角田選手の前を走るエステバン・オコンも43周目に、そして44周目にはアレクサンダー・アルボンも続きました。
しかし角田選手は降雨が激しくなった60周目までステイアウトし続け、50周走ったソフトタイヤからインターミディエイトに交換。その時にはすでにノリスやハミルトン、オスカー・ピアストリらに次々に抜かれ、12番手まで後退。ジョージ・ラッセルとの接触事故を引き起こしたとして5秒ペナルティを受け、最終順位は15位となりました。
なぜソフトタイヤでロングランを選んだのか
Red Bull Content Pool
角田選手のこのレースにおける最大のポイントは「なぜソフトタイヤで走り切る戦略を取ったのか」です。
本人はレース後「フリー走行のデータで、ソフトのロングランがいいことはわかっていた。チームからこのままソフトで行くと言われ、同意した」と語っています。
確かにレース中はソフトでのペースは安定し、デグラデーションも非常に少なかった。とはいえレース序盤の10周目に履き替え、残り62周を走り切ることが可能だと、チームも角田選手も本当に思っていたのでしょうか。
背後にはソフト、あるいはミディアムに履き替えて、角田選手より1~2秒速いペースでノリスやオコン、アルボン、ピアストリらが迫っていたわけで、そのまま走り続けても入賞圏内に留まるのが難しいことはわかっていたはずです。
より理想的な展開としては、ノリスの入る1周前、それが無理でもノリスと同じタイミングの42周目にピットインし、再び新品ソフトに履き替えていれば、中古ソフトのノリス相手に再びいい勝負ができていたことでしょう。少なくともこちらの選択の方が、ポイント獲得の可能性はずっと高かったはずです。
もしFP2の、あのクラッシュがなかったら……
Getty Images
ここで思うのが、ダニエル・リカルドの不在です。もしリカルドが初日のFP2で左手骨折の重傷を負わず、2日目以降も出場できていたら……。ひょっとしたら事態は、もう少し違う展開になっていたかもしれません。
リカルドが欠場を余儀なくされ、代役リアム・ローソンが急遽F1デビューとなったわけですが、このスイッチへの対処で、チーム内がかなり混乱していたことは容易に想像できます。
FP2直後のデブリーフィングは、本来なら二人のドライバーのロングランのデータを基に、決勝レースの戦略の方向性を決める重要な機会になります。
翌日のFP3と予選がウェット路面になる可能性も高く、その対策、マシンセッティングの見直しも必須でした。
しかしリカルド不在の結果、予選、レースへの見通しでこぼれ落ちた視点はなかったか。角田選手ももちろん有益なフィードバックをしたに違いないですが、リカルドの経験はやはり貴重です。ソフトタイヤを過信する危険性を含め、議論に厚みが出て、もしかするとレース戦略も軌道修正がされていたかもしれません。
ハンガリーGPから加入したリカルドは角田選手のさらなる成長の機会になるはずですが、それもしばらくお休みです。
文・柴田久仁夫(しばた・くにお)
1956年静岡県生まれ。1980年代よりフランス・パリを拠点とし、TV番組制作の現場で手腕を振るう。1987年よりF1の世界にも足を踏み入れ、それ以来数々のレースを取材してきた。訪れたサーキットでは素足でトラックの感触を確かめるというライフワークも行っている。2016年より本拠地を東京に移し、現在は『DAZN』のモータースポーツ中継でも解説を務める。
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【レース情報】
F1 第15戦:イタリアGP※日本時間
9月1日(金)20:30~フリー走行1回目
9月2日(土)0:00~フリー走行2回目
9月2日(土)19:30~フリー走行3回目
9月2日(土)23:00~予選
9月3日(日)22:00~決勝
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チーム・ドライバー
日程・番組表
レース | フリー走行・予選 | 決勝 | |
---|---|---|---|
第1戦 | バーレーンGP | 3月3日(金) ~4日(土) | 3月5日(日) |
第2戦 | サウジアラビアGP | 3月17日(金) ~18日(土) | 3月19日(日) |
第3戦 | オーストラリアGP | 3月31日(金) ~ 4月1日(土) | 4月2日(日) |
第4戦 | アゼルバイジャンGP | 4月28日(金) ~ 29日(土) | 4月30日(日) |
第5戦 | マイアミGP | 5月5日(金) ~ 6日(土) | 5月7日(日) |
第6戦 | エミリア・ロマーニャGP | 5月19日(金) ~ 20日(土) | 5月21日(日) |
第7戦 | モナコGP | 5月26日(金) ~ 27日(土) | 5月28日(日) |
第8戦 | スペインGP | 6月2日(金) ~ 3日(土) | 6月4日(日) |
第9戦 | カナダGP | 6月16日(金) ~ 17日(土) | 6月18日(日) |
第10戦 | オーストリアGP | 6月30日(金) ~ 7月1日(土) | 7月2日(日) |
第11戦 | イギリスGP | 7月7日(金) ~ 8日(土) | 7月9日(日) |
第12戦 | ハンガリーGP | 7月21日(金) ~ 22日(土) | 7月23日(日) |
第13戦 | ベルギーGP | 7月28日(金) ~ 29日(土) | 7月30日(日) |
第14戦 | オランダGP | 8月25日(金) ~ 26日(土) | 8月27日(日) |
第15戦 | イタリアGP | 9月1日(金) ~ 2日(土) | 9月3日(日) |
第16戦 | シンガポールGP | 9月15日(金) ~ 16日(土) | 9月17日(日) |
第17戦 | 日本GP | 9月22日(金) ~ 23日(土) | 9月24日(日) |
第18戦 | カタールGP | 10月6日(金) ~ 7日(土) | 10月8日(日) |
第19戦 | アメリカGP | 10月20日(金) ~ 21日(土) | 10月22日(日) |
第20戦 | メキシコシティGP | 10月27日(金) ~ 28日(土) | 10月29日(日) |
第21戦 | サンパウロGP | 11月3日(金) ~ 4日(土) | 11月5日(日) |
第22戦 | ラスベガスGP | 11月16日(木) ~ 17日(金) | 11月18日(土) |
第23戦 | アブダビGP | 11月24日(金) ~ 25日(土) | 11月26日(日) |