アメリカGPで角田裕毅選手が8位+最速ラップで5ポイント奪取
アルファタウリの角田裕毅選手がアメリカGP決勝において、今季ベストの8位入賞。そしてキャリア初の最速タイムを最終周に叩き出しました。
初日の予選では僅差でQ3に進めず、スプリント予選もアタックに間に合わず19番グリッドと、不完全燃焼のセッションが続いていた角田選手。
それでも19周のスプリントレースではスタートでアルファロメオ勢を抜き、2つ順位を上げると、その後もハースの2台をかわして14位完走。本人もロングランペースに、確かな手応えを感じていたようでした。
決勝序盤、ライバル勢に動じずステイアウトした好判断
Red Bull Content Pool
迎えた日曜日の決勝レースは、まさにそのロングランペースの良さが最大の武器となりました。他のほとんどのドライバー同様、新品ミディアムで出て行った角田選手は、スタート直後チョウ・グァンユにかわされて12番手に後退するものの、すぐに抜き返して11番手に復帰。
そこからは直近のライバルであるチョウ選手やアレクサンダー・アルボン、バルテリ・ボッタス、ケビン・マグヌッセンらが10周前後という早めのタイミングで次々に最初のピットに向かう中、角田選手は17周目まで引っ張ります。
しかも単にミディアムタイヤを持たせただけでなく、フレッシュなハードタイヤに履き替えたアルボンやボッタスらとほぼ同等の1分43秒台前半でラップを刻み続けました。
普通は先にピットに入って新品に履き替え、タイムを更新した方が有利になり、順位を上げることが多い。いわゆるアンダーカットですね。しかし今回の角田選手はミディアムで走り続けても、ペースの落ちがほとんどなかった。それを確認して17周まで引っ張らせたチーム側も、好判断でした。
入賞圏内で周回も、追い上げてきたアストンマーティン勢に太刀打ちできず
Getty Images
その結果、角田選手は先に挙げたライバルたちの前で、コース復帰を果たすことができました。しかも同じタイヤの周回数において、彼らに対し7~8周もの優位を築くことができました(※TV解説でよく出てくる“タイヤのオフセット”です)。
これでほぼ、入賞圏内は確保できた。あとはどこまで順位を上げられるか。という展開だったのですが、思わぬ伏兵が現れました。
ピットレーンスタートだったアストンマーティンの2台が、角田選手より1周あたり約1秒速いペースで順位を上げてきたのです。
フェルナンド・アロンソは前戦カタールの車体仕様に戻し、ランス・ストロールもセッティングを大幅に変えたことで、予選で揃ってQ1落ちしたことがウソのような速さを取り戻したのでした。角田選手は次々にアストンマーティン勢2台に抜かれ、11番手に後退してしまいます。
終盤にアルファタウリはファステスト狙いを敢行…本人がしっかり結果で応える
Getty Images
ところがその直後、アロンソのマシンに異変が発生しまさかのリタイア。これで再び入賞圏内に入ると、チェッカー2周前にチームは角田選手にピットインの指示を出します。
本人は「え、トラブル発生?」「心臓が止まるかと思った」と述懐していましたが、11番手を走るアルボンとのギャップが20秒以上。加えてアルボンは5秒ペナルティを受けていたことから、ファステストで1ポイントを稼ぐ決断を下したのでした。
これまたチームの素晴らしい判断でしたし、それにしっかり応えて最終周に最速ラップを叩き出した角田選手もさすがでした。
そしてレース後には2番手ルイス・ハミルトンと6番手チャールズ・ルクレールが車両規則違反による失格となり、角田選手は10位から8位に繰り上がりました。
9位入賞目前で5秒ペナルティが課され、12位降格となったスペインGPをはじめとして、角田選手は今季何度も悔しい思いをしてきました。それだけに、たまにはこんなボーナスもあっていいでしょう。
とはいえ今季終盤を迎えたF1は、レッドブル、メルセデス、フェラーリのトップ3強に加えてマクラーレン、アストンマーティン、アルピーヌも上位にひしめいています。
この6チームですでに12台。彼らより明らかに戦闘力で劣るアルファタウリを駆る角田選手が予選10番手以内に食い込み、レースでも10位以内に入ってポイントを獲得するのがいかに難しいことか。
そんな状況での今回の8位入賞、そしてファステスト獲得。3年目の角田選手の成長ぶりが、まさに凝縮された1戦でした。
文・柴田久仁夫(しばた・くにお)
1956年静岡県生まれ。1980年代よりフランス・パリを拠点とし、TV番組制作の現場で手腕を振るう。1987年よりF1の世界にも足を踏み入れ、それ以来数々のレースを取材してきた。訪れたサーキットでは素足でトラックの感触を確かめるというライフワークも行っている。2016年より本拠地を東京に移し、現在は『DAZN』のモータースポーツ中継でも解説を務める。
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【レース情報】
F1 第20戦:メキシコGP※日本時間
10月28日(土)3:30~フリー走行1回目
10月28日(土)7:00~フリー走行2回目
10月29日(日)2:30~フリー走行3回目
10月29日(日)6:00~予選
10月30日(月)5:00~決勝
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チーム・ドライバー
日程・番組表
レース | フリー走行・予選 | 決勝 | |
---|---|---|---|
第1戦 | バーレーンGP | 3月3日(金) ~4日(土) | 3月5日(日) |
第2戦 | サウジアラビアGP | 3月17日(金) ~18日(土) | 3月19日(日) |
第3戦 | オーストラリアGP | 3月31日(金) ~ 4月1日(土) | 4月2日(日) |
第4戦 | アゼルバイジャンGP | 4月28日(金) ~ 29日(土) | 4月30日(日) |
第5戦 | マイアミGP | 5月5日(金) ~ 6日(土) | 5月7日(日) |
第6戦 | エミリア・ロマーニャGP | 5月19日(金) ~ 20日(土) | 5月21日(日) |
第7戦 | モナコGP | 5月26日(金) ~ 27日(土) | 5月28日(日) |
第8戦 | スペインGP | 6月2日(金) ~ 3日(土) | 6月4日(日) |
第9戦 | カナダGP | 6月16日(金) ~ 17日(土) | 6月18日(日) |
第10戦 | オーストリアGP | 6月30日(金) ~ 7月1日(土) | 7月2日(日) |
第11戦 | イギリスGP | 7月7日(金) ~ 8日(土) | 7月9日(日) |
第12戦 | ハンガリーGP | 7月21日(金) ~ 22日(土) | 7月23日(日) |
第13戦 | ベルギーGP | 7月28日(金) ~ 29日(土) | 7月30日(日) |
第14戦 | オランダGP | 8月25日(金) ~ 26日(土) | 8月27日(日) |
第15戦 | イタリアGP | 9月1日(金) ~ 2日(土) | 9月3日(日) |
第16戦 | シンガポールGP | 9月15日(金) ~ 16日(土) | 9月17日(日) |
第17戦 | 日本GP | 9月22日(金) ~ 23日(土) | 9月24日(日) |
第18戦 | カタールGP | 10月6日(金) ~ 7日(土) | 10月8日(日) |
第19戦 | アメリカGP | 10月20日(金) ~ 21日(土) | 10月22日(日) |
第20戦 | メキシコシティGP | 10月27日(金) ~ 28日(土) | 10月29日(日) |
第21戦 | サンパウロGP | 11月3日(金) ~ 4日(土) | 11月5日(日) |
第22戦 | ラスベガスGP | 11月16日(木) ~ 17日(金) | 11月18日(土) |
第23戦 | アブダビGP | 11月24日(金) ~ 25日(土) | 11月26日(日) |