角田裕毅選手、メキシコGPは悔やまれる結果に
角田裕毅選手のメキシコGPは、痛恨のレースでした。
パワーユニット交換によるグリッド降格ペナルティで、決勝では後方18番グリッドからのスタート。
しかしレースではスタートで2台をかわし、その後はうまくタイヤを持たせて31周目には入賞圏内の10番手まで上がっていました。
その直後にケビン・マグヌッセンのクラッシュが起きるわけですが、セーフティーカー導入となってもすぐさまピットインさせず、赤旗によるレース中断を待ったチームの判断も素晴らしかった。
この時点で角田選手は8番手。新品ハードを持っていたのは、首位を独走するマックス・フェルスタッペンと角田選手のみで、中古タイヤしかなかったライバルたちより有利な展開。まさに角田選手に、追い風が吹いていました。
ピアストリとのバトルが長引き、焦りが生まれたか
Getty Images
レース再開後は、中古ミディアムを履くオスカー・ピアストリを猛追します。明らかにAT04のペースはマクラーレンより速いのですが、空気が薄くDRSが平地ほどの効果を発揮しないこともあって、なかなか抜けない。
1秒以内で乱流も浴び続けたこともあって、ブレーキ温度が上昇し始めました。対照的にミディアムを履くピアストリは、路面温度がスタート時より10℃近く下がったこともあって、意外にペースが落ちません。
このままでは抜けない。しかしここでピアストリをパスできれば、この週末驚異的な速さを見せてきた僚友のダニエル・リカルドにも追いついて、抜けるはず。そんな焦りもあったのかもしれません。
48周目のターン1~2の攻防では、タイヤが接触する場面もありました。そして49周目、ターン1の飛び込みで2台は接触し、角田選手はスピン。これで入賞圏内から脱落してしまったのでした。
入賞圏内からのポジションダウンに落胆隠せず
Getty Images
前戦アメリカGPで一挙に5ポイントを獲得する大健闘を見せた角田選手は、この週末を前に「1ポイントを取るだけでも、ものすごく難しい」と語っていたばかりでした。本人もポイントを持ち帰ることの大事さを、十分にわかっていたということです。
しかしレースでは8番手に満足せず、なんとしてもピアストリを抜こうとした。チェッカー直後のインタビュー会場に来た角田選手は明らかに不機嫌そうな表情で“ピアストリとの接触に関してどう思うか”との問いにも「ノーコメント」と返すのみでした。
スチュワードが下した「両者お咎めなし」という裁定が不満だったのでしょう。しかし、たとえピアストリにペナルティが科されたとしても、角田選手の順位が戻ってくるわけではありません。
アルファタウリのチーフレースエンジニア、ジョナサン・エドルスはレース後のリリースで「残念ながらユウキは、ピアストリを抜くことに熱心すぎた。ペースは明らかに我々が速かったのだが」とコメントしています。控えめな表現ながら、貴重なダブル入賞をフイにした角田選手への落胆が滲み出ています。
あくまで結果論ですが、もし8位に留まってダブル入賞を果たしていたら、角田選手はドライバーズ選手権でニコ・ヒュルケンベルグ、バルテリ・ボッタスの2人を抜いて14位、そしてコンストラクターズ選手権ではハースとアルファロメオを上回り、アルファタウリは単独8位になっていました。
今の角田選手に求められる重要な要素とは
Red Bull Content Pool
今季の角田選手は確かに成長著しく、安定した走りを見せています。しかし自分の感情をコントロールする点においては、まだ大いに改善の余地があるように感じました。
一方で走っていない時の角田選手は、実に謙虚かつ穏やかな性格です。何より自分に対して非常に厳しく、かつての世界チャンピオンであるデイモン・ヒルも「フェルナンド・アロンソを参考に、もっと自分の身を守ってもいい」とアドバイスしているほどです。
それがコース上に出ていくと、アグレッシブさ全開になってしまう。もちろんレーシングドライバーにとって「攻撃性」は、欠くことのできない資質の一つです。しかしそのアグレッシブさをコントロールすることは、それ以上に重要と言えるでしょう。
必死に攻めている時にエンジニアが話しかけた際も、リカルドは穏やかに「サイレンス・プリーズ」と返していました。
またエステバン・オコンは、ブロックし続けるニコ・ヒュルケンベルグを前にして「これから抜くからと、ハースに伝えてくれる?」と、なんともユーモラスに言っています。
リカルドはレース終盤、前方を走る6番手のジョージ・ラッセルを0.5秒差まで追い詰め、オコンは数周後にヒュルケンベルグを仕留めています。
「攻撃性をコントロールする」(controlled aggression)とは、そういうことなのでしょう。
文・柴田久仁夫(しばた・くにお)
1956年静岡県生まれ。1980年代よりフランス・パリを拠点とし、TV番組制作の現場で手腕を振るう。1987年よりF1の世界にも足を踏み入れ、それ以来数々のレースを取材してきた。訪れたサーキットでは素足でトラックの感触を確かめるというライフワークも行っている。2016年より本拠地を東京に移し、現在は『DAZN』のモータースポーツ中継でも解説を務める。
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【レース情報】
F1 第21戦:サンパウロGP※日本時間
11月3日(金)23:30~フリー走行
11月4日(土)3:00~予選
11月4日(土)23:00~スプリントシュートアウト
11月5日(日)3:30~スプリントレース
11月6日(月)2:00~決勝
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日程・番組表
レース | フリー走行・予選 | 決勝 | |
---|---|---|---|
第1戦 | バーレーンGP | 3月3日(金) ~4日(土) | 3月5日(日) |
第2戦 | サウジアラビアGP | 3月17日(金) ~18日(土) | 3月19日(日) |
第3戦 | オーストラリアGP | 3月31日(金) ~ 4月1日(土) | 4月2日(日) |
第4戦 | アゼルバイジャンGP | 4月28日(金) ~ 29日(土) | 4月30日(日) |
第5戦 | マイアミGP | 5月5日(金) ~ 6日(土) | 5月7日(日) |
第6戦 | エミリア・ロマーニャGP | 5月19日(金) ~ 20日(土) | 5月21日(日) |
第7戦 | モナコGP | 5月26日(金) ~ 27日(土) | 5月28日(日) |
第8戦 | スペインGP | 6月2日(金) ~ 3日(土) | 6月4日(日) |
第9戦 | カナダGP | 6月16日(金) ~ 17日(土) | 6月18日(日) |
第10戦 | オーストリアGP | 6月30日(金) ~ 7月1日(土) | 7月2日(日) |
第11戦 | イギリスGP | 7月7日(金) ~ 8日(土) | 7月9日(日) |
第12戦 | ハンガリーGP | 7月21日(金) ~ 22日(土) | 7月23日(日) |
第13戦 | ベルギーGP | 7月28日(金) ~ 29日(土) | 7月30日(日) |
第14戦 | オランダGP | 8月25日(金) ~ 26日(土) | 8月27日(日) |
第15戦 | イタリアGP | 9月1日(金) ~ 2日(土) | 9月3日(日) |
第16戦 | シンガポールGP | 9月15日(金) ~ 16日(土) | 9月17日(日) |
第17戦 | 日本GP | 9月22日(金) ~ 23日(土) | 9月24日(日) |
第18戦 | カタールGP | 10月6日(金) ~ 7日(土) | 10月8日(日) |
第19戦 | アメリカGP | 10月20日(金) ~ 21日(土) | 10月22日(日) |
第20戦 | メキシコシティGP | 10月27日(金) ~ 28日(土) | 10月29日(日) |
第21戦 | サンパウロGP | 11月3日(金) ~ 4日(土) | 11月5日(日) |
第22戦 | ラスベガスGP | 11月16日(木) ~ 17日(金) | 11月18日(土) |
第23戦 | アブダビGP | 11月24日(金) ~ 25日(土) | 11月26日(日) |