2023シーズンのF1は当初24戦で行われる見通しだったが、新型コロナウイルスの影響で中国GPが見送りとなり、エミリア・ロマーニャGPは豪雨災害により中止に。これで22戦での開催となった。
そして2024年は全24戦で実施される予定。これは過去最多のグランプリ数となる。
第11戦オーストリアGP 概要
拮抗したレースとなったスペインGPが終わり、ヨーロッパ3連戦の初戦を制したのは現王者であるマックス・フェルスタッペン。
予選で惜しくもポールを逃し、2番グリッドからスタートしたフェルスタッペンは3周目でトップに躍り出ると、レース巧者の力を遺憾なく発揮して、猛追するランド・ノリスを退け今季7勝目を記録。
3位でフィニッシュしたメルセデスのルイス・ハミルトンは久々の表彰台に上がったことに加えて、自身が持つ歴代最多表彰台記録を198回に伸ばし、メルセデス復調をアピールした実りある週末となった。
次戦のオーストリアGPが開催されるレッドブル・リンクは3箇所のDRSゾーンがある高速サーキットであり、アクセル全開で繰り広げられるオーバーテイクショーはこのコースの大きな魅力だ。また、今季6回計画されているスプリントレースの3回目も今週末に開催されることから、大量ポイントを持ち帰るのはどのチームになるのか注目が集まる。
第11戦 オーストリアGP(スプリントフォーマット)
F1 第11戦 オーストリアGP / レッドブルリンク
日時(日本時間) | 配信内容 | 解説・実況 |
---|---|---|
6月28日(金)19:30~ | フリー走行 | 実況:笹川裕昭 コメンテーター:浅木泰昭 |
6月28日(金)23:30~ | スプリント予選 | 実況:サッシャ 解説:柴田久仁夫 |
6月29日(土)19:00~ | スプリントレース | 実況:サッシャ 解説:小倉茂徳 |
6月29日(土)23:00~ | 予選 | 実況:サッシャ 解説:中野信治 |
6月30日(日)22:00~/配信開始21:20 | 決勝 | 実況:サッシャ 解説:中野信治 |
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サーキットのレイアウト(レッドブルリンク)
DAZN/Getty Images
レッドブルリンクは1周が4.318kmと距離が短いこともあり、最速ラップは65秒ほど。予選Q1ではトラックに出たマシンによる渋滞が起こることも。
予選時にはちょっとしたミスでタイムを落とした場合、グリッド順が大きく変わる可能性もある。それだけに、ドライバーにとってはミスなく予選時から前方のポジションを確保したいところ。トラフィックを避けながらアタックラップに入るタイミングも重要となる。
決勝のDRSゾーンは3カ所設定されており、各セクションでオーバーテイクのチャンスが訪れることになる。中でもストレートエンドのターン3でインを突けるかどうかが大きなポイント。ここは長い上り坂のてっぺんとなっており、ここでの積極果敢なブレーキ勝負は要注目。見応え十分の飛び込みが散見される。
また、2022年にグランドエフェクト要素が強まってからは、2つのDRS区間を利用して近づいてからターン3の立ち上がりをトラクション重視にして、ターン4で仕掛けるという展開も多く見られるようになった。
高速と低速の特性をうまく複合させた、チャレンジングなコースでもある一方、オーストリアカラーのあしらいが特徴であるターン9~10はトラックリミットの違反が取られやすいことから、その点は留意が必要となる。
2023年第10戦オーストリアGP結果
Red Bull Content Pool
2023年のF1第10戦、オーストリアGP決勝は2023年7月2日に行われた。
日曜日の現地シュピールベルクは晴れ。F2のレース2から引き続きドライコンディションで決勝の時間を迎えた。
決勝では20人中17名がミディアムを第1スティントに選択。7番グリッドのフェルナンド・アロンソ、14番グリッドのバルテリ・ボッタス、ピットスタートのケビン・マグヌッセンの3人がハードを選んでいる。
レースがブラックアウトとなり、上位勢は大きな混乱なくレースを進める。だが1周目のターン1で角田裕毅はエステバン・オコンの右リアに触れ、フロントウイングの左翼端板を失う。その後ターン4ではグラベルへと飛び出してしまった。角田はダメージを無線で申告し、ピットへと入ってフロントウイングを交換。タイヤをミディアムからハードにスイッチし、順位を19番手まで下げた。
そして2周目に入るタイミングでセーフティーカー導入となり、4/71周目からグリーンフラッグとなった。19番手の角田は再開後に僚友ニック・デ・フリース、そしてバルテリ・ボッタスも抜いて17番手までポジションを上げた。
マックス・フェルスタッペンがレースを先導し、2番手チャールズ・ルクレール、3番手カルロス・サインツでフェラーリ勢が続く。4番手ルイス・ハミルトン、5番手ランド・ノリス、6番手アロンソという順番でレースは進んだ。
13/71周目の途中、ニコ・ヒュルケンベルグがターン3過ぎでマシンをストップさせる。これでセクター1&2はイエローフラッグとなり、14周目の途中からバーチャルセーフティーカーとなった。
このタイミングでピットストップを行うマシンが続出する。トップのフェルスタッペンはステイアウトとなり、2番手には17秒後方でルクレール。そこからセルジオ・ペレス、ハミルトン、ノリスという順番になる。角田も8番手までポジションを上げた。
一方で同レースではターン9~10のトラックリミット違反が多発。18/71周目にはハミルトンに、19周目には角田に5秒ペナルティと発表された。また、黒白旗の警告も複数のドライバーに出されている。
角田はレースペースが上がらず、24周目にミディアム、ハード、ハードとつないで第3スティントに入った。
トップのフェルスタッペンは25周目に最初のピットイン。ハードへとチェンジし、3番手でトラックへと戻った。ここから前のフェラーリ2台を追いかける展開となる。26周目にはサインツを抜き、2番手に浮上した。
35/71周目に入るとフェルスタッペンはルクレールとの差を詰め、DRS圏内に入る。36周目のターン3でオーバーテイクに成功し、フェルスタッペンがトップに返り咲いた。
後方では16番手まで順位を下げた角田が、第3スティントはクリーンエア状態で走れていることもあり、レースペースは悪くなく、前のデ・フリースとの差をラップごとに約1秒ずつ詰めていった。
トップのフェルスタッペンはハードタイヤでレースペースが落ちず、2番手ルクレールとの差を徐々に広げていく。2番手ルクレールからサインツ、ノリス、ハミルトン、アロンソ、ペレスという順番でレースは進んだ。
多くのドライバーにトラックリミット違反での5秒ペナルティが科される状況となり、トラックマップ上とも異なる位置関係で各ドライバーは戦況を見る流れに。
45/71周目、角田はピットに入り、第4スティントのミディアムにつないだ。18番手までポジションを落とし、ここから最後まで走り切る狙いとなる。
トップを走るフェルスタッペンは2番手ペレスとの差が26秒まで開いたところで、ミディアムの第3スティントに入った。トップで危なげなくトラックへと復帰している。
レースが終盤に入ってもターン10のトラックリミット違反となるケースが多発。角田にも再びペナルティが科され、今度は10秒加算とアナウンスされた。
61/71周目には4番手ペレスがサインツをパスし、3番手に浮上した。残り10周でトップはフェルスタッペン、21秒後方に2番手ルクレール、そこから13秒差でペレス。その後ろにサインツというトップ4の並びになった。
69周目の終わりに24秒差でトップのフェルスタッペンはピットインを行い、ソフトへとチェンジ。ファステストラップの1ポイントを狙いにいく。ルクレールの4秒前でコースに復帰し、71周目の最終ラップでは最速ラップをマーク。そのままトップチェッカーを受け、同年の7勝目を記録している。オランダ人ドライバーのF1通算勝利数は42に達し、故アイルトン・セナの41勝を抜き、歴代F1勝利数で単独5位(当時)に浮上した。
2位ルクレール、3位ペレスまでが表彰台に上がった。レース後にトラックリミット違反で改めてペナルティが科されるケースが続出し、4位ノリス、5位アロンソとなり、サインツは6位降格。7位ジョージ・ラッセル、8位ハミルトン、9位ランス・ストロール、10位ピエール・ガスリーまでがポイントを手にした。
角田は複数回のペナルティが科された上にレース後のタイム加算も発表され、19位での完走となっている。