F1元王者デイモン・ヒル氏「冷静さを保つことさえ難しくなる」初タイトルに照準のフェルスタッペンを憂慮｜F1

元F1王者のデイモン・ヒル氏が、白熱している今季のタイトル争いについて自身の見解を示した。

初の総合優勝を狙うマックス・フェルスタッペンと、前人未到8度目の戴冠を目指すルイス・ハミルトンの一騎打ちは、第17戦を終えて287.5vs275.5でフェルスタッペンが12ポイントリードしている。残り5レースで、勝負の行方は最後までどうなるのか読めない状況だ。

1996年のワールドチャンピオン、デイモン・ヒル氏は『F1 Nation』のポッドキャストで「フェルスタッペンにとって、ここから落ち着きを保つことさえ簡単ではなくなる」と語った。

「両者の争いはとても激しいもの。その長い戦いがようやく終わりに近づいているんだ。トンネルの出口から光が差し込んでいるような状況だね。そこまで行き着いたらF1のワールドチャンピオンになれるんだ。だけど、そのような状況下では落ち着きを保つことだって容易ではなくなる」

「ドライバーとして、すべてのことが突然変わっていくんだよ。とてつもない緊張があり、ミスをできないというプレッシャーが、今まで以上の苦しみに変わっていく。王座を確かなものにするまで、すべてを失ってしまうかもしれないという考えが頭をよぎってしまうんだ」

ヒル氏は、初タイトルを狙うフェルスタッペンよりも7度の世界王者、大ベテランとなったハミルトンのほうが、心理的には負担が少ないと説いている。

「ルイスはこれまで何度もタイトルを手にしてきたという経験があり、それが自信につながっている。マックスはポイントをリードして残り5戦に入るという点で、心理的にもアドバンテージがあると言えるかもしれないけどね」

「もちろんマックスはそんな状況下でも速さを見せた。オースティンではメルセデスが下馬評では有利と見られていたにもかかわらず優勝したからね。メルセデスとハミルトンを倒すのに十分な力を持っていると示した」

「ただ、戦いはワールドチャンピオン決定に近づけば近づくほど、とても難しくなるもの。何気ないことから精神的な重圧を受けるだろう」

1994年～1996年にかけ、ミハエル・シューマッハやジャック・ヴィルヌーヴとタイトル争いを展開したヒル氏。自身のタイトルは1996年1度のみとなったが、タイトル争いがもつれる重圧をよく知るだけに、激戦となっている今季のフェルスタッペンvsハミルトンに、思うところがあるようだ。

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