どちらにとっても、負けられない一戦だ。
2月27、28日開催のトップリーグ第2節では、神戸製鋼コベルコスティーラーズ対キヤノンイーグルスが注目カードにあげられる。
新型コロナウイルス感染拡大で大会方式が変更された2021シーズンのトップリーグは、16チームをレッド、ホワイトの両カンファレンスに分け、1回戦総当たりのリーグ戦を争う。その後、トーナメントで優勝を争う。
神戸とキヤノンはホワイトカンファレンスに属する。
優勝候補の一角にあげられる神戸は、20日の開幕節でNECを47対38で下した。客観的な力関係を考えれば、3トライ差以上で得られるボーナスポイント(勝点1)が欲しかった一戦である。ただ、「(チーム内に新型コロナウイルス感染者が出た影響で)1月11日から対外試合ができなかった」(デーブ・ディロンHC)ことを考えれば、本来の力を発揮できなかったのも許容範囲か。
一方のキヤノンは、NTTドコモに競り負けた。後半37分に24対23と逆転しながら、同41分にペナルティゴールを決められて24対26に引っ繰り返されてしまう。
就任1年目の沢木敬介監督は、サヨナラ負けの展開ではなく根本的な問題に触れた。「今日は自滅。自分たちで自分たちの首を絞めるようなラグビーをやってしまった。前半に4トライぐらい取れるチャンスがあって、そこでしっかりフィニッシュできていないのが現状」と分析している。18-19シーズンは12位に終わっているチームだけに、「まだまだ我慢強さが足りない。こんなものでしょう」と黒星スタートを冷静に受け止めた。
開幕節の結果は対照的ながら、試合内容に改善の余地を残すのは共通する。それだけに、今節に賭ける意気込みは両チームともに強い。
同じホワイトカンファレンスでは、上位を争うであろうパナソニックとヤマハが、開幕節で勝利の勝点4に加えてボーナスポイントを獲得している。神戸も今節は勝ち点5を奪いたい。
ポイントは試合の入り方だろう。NEC戦は開始早々に自陣でパスミスを冒し、先制のトライを許した。また、前半31分にLOブロディ・レタリックがイエローカードで10分間の一時退場となった時間に、ふたつのトライを許している。規律の部分も徹底したい。
注目選手はベン・スミスだ。15年と19年のW杯に出場した元ニュージーランド代表の万能BKで、NEC戦ではWTBでプレーして初トライをマークした。
NEC戦でマン・オブ・ザ・マッチに選ばれたSH徳田健太は、加入5年目でリーグ戦デビューを飾った。さらに、後半34分から途中出場した李承信(リ・スンシン)は、新加入の20歳で20歳以下日本代表に選ばれた逸材だ。ディロンHCも「練習で日々成長している楽しみな選手」と期待を寄せている。
徳田はキヤノン戦もスタメンに名を連ね、李もリザーブ入りしている。なお、開幕戦のケガでメンバーから外れた19年W杯日本代表のPR中島イシレリのポジションには、2年目の高尾時流が選ばれた。
一方のキヤノンは、メンバーを入れ替えてきた。
19年W杯日本代表でキャプテンのSO田村優は、NTTドコモ戦でふくらはぎに違和感を覚えたことによる欠場と見られる。さらに、南アフリカ代表として15年と19年のW杯に出場したCTBジェシー・クリエル、トンガ出身のWTBホセア・サウマキがメンバー外となった。
キャプテンを務めるベテランのSH田中史朗を中心として、格上の神戸相手にどこまで粘れるか。キヤノンにとっては試金石となる一戦だ。
文・戸塚啓(とつか・けい)
1968年生まれ。『サッカーダイジェスト』編集部を経て1998年秋よりフリーに転身。サッカー日本代表の国際AマッチとJリーグを中心に取材しつつ、フィジカルトレーニング、ラグビー、ランニングなどに関連した取材と執筆も行っている。サッカーW杯は98年より6大会連続で、アジアカップ、ユーロ、コパ・アメリカなども取材。ラグビーW杯は19年大会を取材。『日本サッカー代表監督総論』(双葉社)など著書多数。
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