開幕3連勝を狙うパナソニックワイルドナイツか、初勝利を目指すキヤノンイーグルスか。3月6日、7日開催のトップリーグ第3節では、ホワイトカンファレンスからこの両チームの激突に注目したい。
チームの状態は対照的だ。
パナソニックは連勝スタートを切った。開幕節はリコーブラックラムズを55対14、第2節は日野レッドドルフィンズを60対12で下した。どちらの試合でも3トライ差以上で得られるボーナスポイント(勝点1)を獲得し、ホワイトカンファレンスで首位に立っている。
日野戦はSOの山沢拓也が大活躍した。開幕戦は出場機会のなかった26歳は、2トライ、コンバージョンキック5本、ペナルティキック1本を決め、ひとりで23得点を叩き出した。ロビー・ディーンズHC(ヘッドコーチ)は「誰にも真似ができないプレーをしてくれる選手で、日野はプレッシャーをかけてきたが、チームをしんどい局面から打開してくれた」と評価した。
今節のキヤノン戦は、その山沢がリザーブにまわる。代わって10番を着けるのは、開幕節に先発した19年W杯日本代表の松田力也だ。前節から中5日で試合を迎えるショートウィークを考慮したものかもしれないが、どのポジションにもクオリティの高い選手を複数揃えているのは、パナソニックの大きな強みだ。
注目すべき選手の多いチームのなかで、新加入のLOジョージ・クルーズが機能している。キャプテンの坂手淳史が「ホントに頼もしい」と話すように、15年と19年のW杯に出場したイングランド代表は、そのポテンシャルを発揮している。また、同じく新加入の19年W杯ウェールズ代表CTBハドレー・パークスも、第1節ですでにトライを決めている。
さらに、前節はメンバー外だった福岡堅樹がスターターに戻ってきた。15-16シーズン以来の優勝を目指すチームに死角はない。
一方のキャノンは、苦しい序盤戦となっている。NTTドコモとの開幕節を24対26で落とすと、第2節は神戸製鋼に11トライを許して10対73で大敗した。
18-19シーズンを制した神戸は、今シーズンも優勝候補にあげられている。難しいゲームになることは想定済みだっただけに、就任1年目の沢木敬介監督は、「我々はまだこのレベルだという現状を、しっかり受け入れなければならない。レベルアップしていくしかないので、やるべきことをやって次の一戦に向けて準備していく」と分析した。
パナソニック戦に向けては、前節メンバー外だった3人がスターターに復帰している。キャプテンのSO田村優、南アフリカ代表として15年と19年のW杯に出場したCTBジェシー・クリエル、トンガ出身のWTBホセア・サウマキの3人が、スターターに名を連ねている。
古巣対戦となるSH田中史朗を含めたバックス陣が、パナソニックをどこまで苦しめることができるか。劣勢が予想されるキャノンが食い下がることで、ゲームは面白みを増していくだろう。
文・戸塚啓(とつか・けい)
1968年生まれ。『サッカーダイジェスト』編集部を経て1998年秋よりフリーに転身。サッカー日本代表の国際AマッチとJリーグを中心に取材しつつ、フィジカルトレーニング、ラグビー、ランニングなどに関連した取材と執筆も行っている。サッカーW杯は98年より6大会連続で、アジアカップ、ユーロ、コパ・アメリカなども取材。ラグビーW杯は19年大会を取材。『日本サッカー代表監督総論』(双葉社)など著書多数。
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