3月26日から28日にかけて開催されるトップリーグ第5節で、トヨタ自動車ヴェルブリッツ対サントリーサンゴリアスの全勝対決が実現する。
トップリーグは全16チームが8チームずつふたつのカンファレンスに分かれ、総当たりのリーグ戦を行なっている。レッドカンファレンスではサントリー、クボタ、トヨタの3チームが4連勝を飾っているが、総勝点はサントリーの「20」に対してクボタ、トヨタは「19」だ。対戦相手に3トライ差以上を付けた際のボーナスポイント「１」を、サントリーだけが４試合すべてで獲得しているからだ。
現役ニュージーランド代表のSOボーデン・バレットは、今節もスタートリストに名を連ねている。この世界的スーパースターは、ここまでランキングトップの76点を記録しており、17-18シーズン以来の優勝を目ざすチームを力強く牽引している。
パワフルなランでトライを取り切るＷTBテビタ・リーも、好調を維持している。今節はオーストラリア代表CTBの“重戦車”サム・ケレビがリザーブからのスタートとなるが、それでもバックス陣は充実の顔触れが並ぶ。
小さな気がかりは試合日程か。トップリーグは3月第2週の13、14日に第4節を消化し、3月第3週は試合のないバイウィークとなっていたが、サントリーの第3節は雷の影響で中止となってしまった。このため、代替試合が20日に開催されている。
サントリーの状況について問われたトヨタのサイモン・クロンＨＣ（ヘッドコーチ）は、「ひとつ試合が増えたような感じなのかな。ストレスが溜まるところがあったかもしれないが、中7日なのでさほど影響はないかなとも思う」と見ている。「サントリーは様々な場面、様々な面で優れている。選手層が厚く、チームとして成熟している」と分析しており、試合日程の違いをアドバンテージとはとらえていない。
トヨタはスーパースター3人を擁する。オーストラリア代表主将のＦＬマイケル・フーパー、ニュージーランド代表主将の経験を持つNO.8キアラン・リード、それに南アフリカ代表でW杯2度出場のＦＢウィリー・ルルーだ。
もっとも、日本以外の代表歴を持つ選手は、同時に2人までしか出場することができない。サイモンＨＣは第1節と2節でリードとルルー、第3節でフーパーとルルー、そして前節でフーパーとリードの組み合わせを選んできた。
24日の合同取材で彼らの起用法について聞かれると、「チームにとって何が一番いいコンビネーションなのかを考えている。リードとフーパーが同時にピッチに立つと、いい点がある。同時に、ルルーを15番（ＦＢ）に置くことで違った形のダイナミックな展開ができる」と、笑顔を浮かべながら説明した。
すでに発表されたスタートリストでは、フーパーとルルーが先発に名を連ね、リードはメンバー外となった。リードに代わっってNO.8で先発するフェツアニラウタイミは、「サントリーはすごくボールを動かすチーム。それを止めてフィジカルで勝てれば」と話す。
これまで戦ってきた４チームとは明らかに次元の違うサントリーに対して、トヨタがどこまで対抗できるのか。トップリーグ初優勝を狙うチームにとって、進化の問われる一戦である。
文・戸塚啓（とつか・けい）
1968年生まれ。『サッカーダイジェスト』編集部を経て1998年秋よりフリーに転身。サッカー日本代表の国際AマッチとＪリーグを中心に取材しつつ、フィジカルトレーニング、ラグビー、ランニングなどに関連した取材と執筆も行っている。サッカーW杯は98年より6大会連続で、アジアカップ、ユーロ、コパ・アメリカなども取材。ラグビーW杯は19年大会を取材。『日本サッカー代表監督総論』（双葉社）など著書多数。
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