3月13、14日開催のトップリーグ第4節では、日本ラグビー界伝統の一戦である東芝ブレイブルーパス対サントリーサンゴリアスの府中ダービーが最注目カードだ。
ともにトップリーグ5度優勝の名門だが、今シーズンはサントリーの強さが際立つ。三菱重工との開幕節は、大量11トライで75対7と大勝した。第2節でもHondaを31対14で退けると、先週開催の第3節では宗像を75対10で退けた。3試合すべてでボーナスポイントを獲得しており、勝点15はカンファレンスの首位だ。
好調なチームを引っ張るのは、現役ニュージーランド代表のSOボーデン・バレットだ。世界のラグビー界の頂点に立つスーパースターは、3試合連続先発出場で2つのトライと21本のゴールを決めており、リーグトップの52得点を記録している。
バレットを観ずして、今シーズンのトップリーグは語れない。ただ、サントリーには彼以外にも魅力的なタレントが揃っている。キャプテンで日本代表のCTB中村亮土は、鋭いタックルでチームを鼓舞する。中村とともに19年W杯に出場したSH流大は、テンポの良い配球で攻撃にリズムを生み出す。オーストラリア代表の重戦車CTBサム・ケレビは、屈強なフィジカルを生かして前へ、前へと突き進む。
背番号11を着けるテビタ・リーも好調だ。ここまで6トライはリーグ3位だ。ニュージーランド出身の弾丸フィニッシャーは、東芝の脅威となるだろう。
3連勝でカンファレンス首位を走るサントリーとは対照的に、東芝は前節にようやく初勝利をつかんだ。トヨタとクボタに連敗して迎えた3月6日開催の三菱重工戦で、58対7の大勝をあげたのだった。
東芝と言えば、日本代表主将でもあるFLリーチマイケルが看板選手である。彼の存在がチームを鼓舞し、対戦相手の警戒を呼ぶ。
そのうえで言えば、経験と実績を備えた選手はリーチだけではない。FLマット・トッドは19年W杯のニュージーランド代表で、SOジャック・ストラトンはゲームの流れを変えることのできるタレントだ。ここまで2トライ5ゴール1ペナルティゴールで、チーム最多の23点をマークしている。また、14番を着けるWTBジョネ・ナイカブラは、パワフルな突破力を誇る。
サントリー戦に向けて、リーチは「本当にタフな試合になる」と覚悟を決めている。前節の三菱重工戦後の反省点に「ディシプリン」をあげたのは、サントリーのバレットを意識したものだったかもしれない。不用意な反則でペナルティをおかしたら、優秀なキッカーであるバレットに得点のチャンスを与えてしまうことになるからだ。
プライドと意地が真正面からぶつかり合うダービーマッチは、その時々の力関係や順位が当てはまらないところがある。東芝がサントリーに挑む構図となる今回は、果たしてどのような結末を迎えるのか──。
文・戸塚啓(とつか・けい)
1968年生まれ。『サッカーダイジェスト』編集部を経て1998年秋よりフリーに転身。サッカー日本代表の国際AマッチとJリーグを中心に取材しつつ、フィジカルトレーニング、ラグビー、ランニングなどに関連した取材と執筆も行っている。サッカーW杯は98年より6大会連続で、アジアカップ、ユーロ、コパ・アメリカなども取材。ラグビーW杯は19年大会を取材。『日本サッカー代表監督総論』(双葉社)など著書多数。
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