2021年の阪神タイガースは、若虎たちの活躍が印象的だった。
中でもドラフト6位で入団した中野拓夢は、圧巻のパフォーマンスを見せた。シーズン途中から2番に定着すると近本光司との1、2番コンビで54の盗塁の山を築き、打線を牽引。さらに自身は30盗塁で新人ながらに盗塁王のタイトルを獲得した。
球団新人での30盗塁達成は、赤星憲広、近本に続いて3人目。さらに新人での盗塁王のタイトル獲得は2019年の近本以来、NPBでも3人目の快挙だ。
今やセ界を代表するスピードスターとして知れ渡った中野だが、プロ入り前は盗塁を意識していなかったという。阪神で外野守備走塁コーチを務める筒井荘が、入団当初の中野との秘話を明かした。
「社会人時代までそれほど盗塁をしてこなかったと。『この能力でもったいない。盗塁王を獲るくらい、近本光司を脅かすくらい盗塁ができる選手になろう』と言いました」
さらに筒井コーチは、中野の能力の高さのなかでも「帰塁のうまさ」が際立っていると証言する。
「帰る能力が高いので、普通の選手よりもリードの幅が大きい。入団当初からすると、半歩から一歩は大きくなっています」
リードが大きくなると、牽制死を怖がりスタートが遅れやすくなるデメリットもある。しかし「中野の場合は『このカウント、このシーンで行く』という思い切りの良さ」が、盗塁成功の大きな後押しとなっているようだ。
中野の思い切りの良さは守備にも現れる。9月24日に行なわれた読売ジャイアンツとの一戦は、6-6で迎えた9回裏に1死満塁のピンチを迎えた。
打席に立つ丸佳浩の強烈な打球が三遊間に飛ぶ。前身守備を敷いていた阪神の守備陣形を崩したかに思われたが、中野が渾身の横っ飛びでキャッチ。すぐさま立ち上がると本塁をアウトにしピンチを救った。
春季キャンプで臨時コーチを務めた野球解説者の川相昌弘氏が「ボールに対する反応スピードがいい。球際に強い」というように、中野の長所が発揮された場面だった。
攻守にわたって思い切りの良いプレーでチームを牽引する中野。『虎の素顔 -The Elements of Tigers-』では、中野の思い切りの良さが生まれた原点を探るべく、生まれ故郷である山形県天童市に向かった。
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