虎のエースがついにマウンドに帰ってくる。15日の巨人戦(甲子園)が今季初登板となる阪神・青柳晃洋投手(28)は「僕のなかでは楽しみだなという感じです」と心を躍らせた。
昨年セ・リーグトップタイの13勝で最多勝利に輝いた右腕は今季、プロ7年目で自身初の開幕投手を任された。オープン戦3試合に登板し、防御率は0.69。シーズンに向けた準備は整っていた。しかし、開幕1週間前の3月17日、新型コロナウイルス「陽性」を確認。今季限りで退任を発表した矢野燿大監督の「最後の開幕投手」を務めることはできなかった。
チームは急きょ先発ローテを組み替えて開幕を迎えたが、セ・リーグワーストを更新する開幕9連敗。10試合目でようやく勝利を手にしたが、リーグ史上最も早い11試合で10敗目を喫した。13試合目で借金が2ケタに到達するのもリーグ史上最速となり、17試合消化時点で1勝15敗1分で勝率6分3厘。開幕から6カード勝ち越しなしは、1972年と1990年を超える2リーグ分立後の球団最長となった。
「開幕予定だったのが、これだけ遅れてしまったので、申し訳ない。チームがどん底から、さらにどん底になっている。僕は暗く野球をやらないように、変えられたらなと思います」
チームから離れていたからこそ、見えてくるものもあれば、悔しさもあった。「僕のできることはしっかり投げて、しっかり抑えること。自分ができることを最大限やる」。調整期間にはウエスタン・リーグで2試合に登板。7イニングで2失点と感覚を戻しつつあった。
兵庫・鳴尾浜での練習では後輩たちとのコミュニケーションも大切にした。「みんな上を目指して頑張っているなって」。ドラフト5位で入団したが、今では先発陣の大黒柱。当時の自分と重なる部分があったのだろう。「話を聞きにきてくれる子もいましたし、ピッチングを見に来てる子もいた。僕も7年目なので、中堅として、若手の手本となれるようにやらなきゃなという気持ちにはなった」と後輩から刺激を受け、さらなるレベルアップを誓った。
今季初登板が甲子園での伝統の一戦。右腕は「一番はチーム状況的に勝つというところ。どんな試合でも勝ちにつなげられるピッチングが大事だと思う。たくさんのファンの前で投げられるというのはすごく楽しみ」と笑みを浮かべた。チームの期待、虎党の期待を力に変えることができる青柳だからこそ、ナインを鼓舞する投球をしてほしい。
さらに注目してほしい選手がいる。16日の巨人戦(甲子園)で先発予定の新助っ人・ウィルカーソンだ。140キロ台のキレのある直球はもちろん、チェンジアップ、スライダー、カーブと変化球の制球力も抜群。ウエスタン・リーグでは2試合に登板し、1勝無敗で防御率0.00。登板日4日前にも関わらず、12日の中日戦(鳴尾浜)では先発マウンドに上がり、1回無安打無失点と好投し、打者3人を13球で打ち取った。
「すごいワクワクしていて、ちょっと心配というのもある。しっかり準備してきたんで本当に楽しみ。マウンドに立って、球場の雰囲気っていうのに入り込むと思うけど、本当に楽しみ」と白い歯をこぼした。ウィルカーソンは「マトリックス」シリーズで有名なキアヌ・リーブスに似ていると言われたことがあるイケメン歴を持つ。きっと虎党のハートを奪う投球をしてくれるはずだ。
助っ人右腕にとって「楽しみ」な理由がもう一つある。宿敵・巨人との関係についても知っており、「アメリカでいうレッドソックスとヤンキースみたいな感じでライバルと聞いている。そんな試合で投げられるのは本当に楽しみ。ライバル相手に投げることができる、それに向けて準備ができるのはすごく楽しみですし、頑張っていきたい」と来日初登板に目を輝かせた。
復帰戦となる青柳、デビュー戦のウィルカーソンがチームを苦境から救い出せるか。
文・森脇瑠香(スポーツ報知)
1997年10月15日生まれ。24歳。和歌山県出身。和歌山大学から2020年に報知新聞社入社。21年から阪神担当。
関連ページ
● 直近のDAZN番組表(プロ野球)
● 直近のDAZN番組表(全般)
DAZNについて
DAZNなら好きなスポーツをいつでも、どこでもライブ中継&見逃し配信!今すぐ下の記事をチェックしよう。
● 【番組表】直近の注目コンテンツは?
● 【お得】DAZNの料金・割引プランは?