天下分け目の戦いへ、武者震いが止まらない。8日からの首位ヤクルトとの直接対決(神宮)。矢野燿大監督の目がぎらつく。
「1個の勝ちが大きいし、1個の負けも大きい。今までやってきた野球を思いきりぶつけることしかできないんでね。みんなの思いは、本当に必死な思いっていうのは俺も重々分かっている。直接対決でしか上にいくチャンスは現状少ない。ヤクルトも負けないんで。目の前の1試合を勝つしかない」
7日のDeNA戦(横浜)に敗れ、5連勝でストップ。8日の初戦で●か△なら、自力Vの可能性は消える。崖っぷちに立たされ、もう勝つしかない―。タテジマ軍団は“全集中”で一戦一戦に臨む。
ここまでの対戦成績は11勝6敗3分けと有利に運ぶ。しかし、直近の2カードは勝ち越せず、1勝3敗1分け。勝利のカギはやはり、最大のストロングポイントである先発陣だろう。
チームは70勝のうち54勝を先発投手が稼ぎ、それは12球団トップの数字を誇る。スターターが試合を作り、勝利の方程式のセットアッパー・岩崎、守護神・スアレスにつなぐ先行逃げ切りが勝ちパターンだ。大事な先陣を担うのは、高橋遥人投手。中5日の登板間隔に狭めて託される。
4年目サウスポーは毎年、故障に悩まされて出遅れるものの、伸びのある150キロ超の直球をはじめ、ポテンシャルは虎投屈指だ。今シーズンは9月に戦列に加わり、同月25日の巨人戦(東京D)でプロ初完封をマークすると、今月2日の中日戦(甲子園)ではわずか97球でシャットアウト勝ち。2戦連続完封は、球団だと1992年の湯舟敏郎以来という快挙を成し遂げた。
ただ、ヤクルト相手となった復帰初戦(9月9日、甲子園)は初回に5点を失うなど、4回9安打6失点と打ち込まれた。それだけに、リベンジへの思いは強い。「前回の対戦を踏まえて、しっかり打者に向かって攻めた投球をしていきたい。最低でも試合を作るということが大事ですし、その中でしっかりゼロで帰って来れたら一番良いので、そこを目標に投げていけたら」と鼻息を荒くする。
背番号29からバトンを受け、2戦目の先発マウンドに上がるのは、2年連続2ケタ勝利を達成した秋山拓巳投手だ。今季はヤクルト戦初登板だが、昨季は4勝無敗と好相性だった。3戦目を務めるジョー・ガンケル投手も、燕打線には2勝0敗、防御率1・80と得意にしている。一戦必勝のローテで牙をむく。
打撃陣にも、頼もしい“燕キラー”は多い。1番・近本光司外野手が打率3割4分9厘、3番のジェフリー・マルテ内野手は同3割3分8厘で6本塁打、4番・大山悠輔内野手も同3割2分3厘と好成績を残す。ここにきて、打線は低調ながら、一発攻勢で白星を拾っている。9月14日の神宮での一戦で、マルテが9回に起死回生の同点3ランを放ったことも記憶に新しい。再び勝負所の一打に期待がかかる。
泣いても笑っても、残り14試合。矢野監督は優勝争いの佳境に入り、力強い言葉を発している。
「本当に残りも少なくなってきている。大きなことは言えないですけど、僕たちの戦いからみなさんに元気を届けて、そして最後には優勝します」
就任3年目。3位、2位と順位を上げ、見据えるは頂点だけ。チーム一丸となって天王山を制し、逆転Vを狙う。(報知新聞社・小松真也)
文・小松真也
1985年7月6日生まれ。36歳。18年に報知新聞社に入社。プロ野球遊軍記者を経て、20年から阪神担当。
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