6月26日の巨人戦(神宮)で、史上初となる11球団連続カード勝ち越しを達成。圧倒的強さで首位を独走するヤクルトに9日、激震が走った。高津監督、山田、塩見らが新型コロナウイルスに感染した。9、10日の阪神戦(神宮)は中止。選手、コーチ、スタッフら球団からの陽性者は計29人と、不測の事態に陥った。
0-8で敗れた8日の阪神戦(神宮)にスタメン出場した野手8人中5人が戦線離脱。2軍から14選手を登録する大量入れ替えで臨むも、ここまで4戦4敗(2試合が雨天中止)で、チームは5連敗中。チャンスであと一本が出ず、打線がつながりを欠いている。
連敗脱出へ、打線のキーマンには12日に今季初昇格した内川聖一内野手(39)を挙げる。2008年と2011年に史上2人目となるセ・パ両リーグで首位打者を獲得したベテランは、直近3試合で3番と5番に座った。「体の状態はいい。バットもしっかり振れている」と話すように、「3番・左翼」で今季初スタメンとなった14日の中日戦(バンテリンドーム)の初回1死一塁で、右翼線への二塁打を放ち、先制をお膳立て。「5番・左翼」に入った16日のDeNA戦(横浜)では、同点の6回2死一塁で、右前打を放ちチャンスをつくった。
主力が大量離脱する中、31本塁打82打点でリーグ2冠の4番・村上が離脱しなかったことが不幸中の幸い。4番の前に走者をため、チャンスを広げる意味での3番。4番が勝負を避けられた時の5番。高い技術と豊富な経験を持つ内川だからこそ託された役割だ。「どれだけ4番の前にランナーをためられるかを考えている」と話す松元ユウイチ監督代行も「さすがのバッティング」とうなった。
今季は開幕から2軍戦出場が続いたが、イースタン・リーグでは45試合で打率3割3分3厘、3本塁打と好調を維持。今オフは体の使い方を見直し、新しく『4スタンス理論』を取り入れた。スポーツ整体師の廣戸聡一氏が提唱した理論で、重心が足の前後、内外のどちらにかかっているかで4つのタイプに分類し、それぞれに適したトレーニング法や体の動かし方を推奨するというものだ。
「今までの自分の形が感覚的に崩れた部分もあったので、もう1回新しいものを作る気持ちでやろうと。現役をやるにしても、将来指導者として何かを伝える時に役立つと思っている。常に知識を入れ続けられれば」と貪欲に進化を求める。
技術を学ぼうと助言を求めてくる若手には親身に答えながらも、「若い選手たちにはまだまだ負けないぞって気持ちにさせてもらっている」と衰え知らずの39歳。キャリアを重ねても変わらない探究心こそ、内川が結果を残し続けられる理由だろう。
2軍調整が続く中、激励の連絡をくれていた青木らが陽性判定を受けた。不測の事態にも、首位を独走するチームの勢いを止めるわけにはいかない。「(コロナに罹患した)選手にとっても悔しいことだし、その気持ちも受け取って、チームスワローズの一員として頑張りたい」。百戦錬磨のヒットマンが、チームのピンチを救う。
文・森下知玲(スポーツ報知)
1995年10月6日生まれ。26歳。福井県出身。2018年に報知新聞社入社。19~21年まで西武担当、22年からヤクルト担当。
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