阪神は首位・ヤクルトを甲子園に迎えて後半戦のスタートを切る。最大借金16に低迷したチームはオールスター前の最後の試合で、ついに今季初の勝率5割に到達した。6月以降は26勝13敗1分けと好調の中、前半戦の終盤には新戦力も合流。新外国人のアデルリン・ロドリゲス内野手(30)が存在感を示した。
「チームメートとも少しずつ仲良くなっているし、一人一人を尊敬したい。チームスポーツだから、全員野球で頑張りたいね」
スムーズにナインに溶け込んだ助っ人は22日の広島戦(甲子園)でデビュー。代打で2点二塁打を放つと、23日の同戦はスタメン出場で2安打1打点と活躍した。矢野監督も「ベンチのムードもすごく盛り上がっていたし、ラッキーボーイになってくれたら」と今後に期待。8日に来日したばかりの背番号91は「(来日前に)試合をしなかった期間がけっこうあったので、ベストではなかったかも」と語りながらも好発進した。
米マイナーリーグでは通算215本塁打。阪神にとっては、待望の長距離砲だ。ここまでチーム59本塁打のうち、大半が大山(20本)と佐藤輝(15本)。6月は2人以外にアーチがなかった。マルテは故障が続き、ロハスも調子が上がらない。破壊力に欠ける状況で穴を埋める補強となった。「一発の魅力」を求められて加入したが、本人はさらに上の働きを見据えた。
「パワーはもちろん強みだけど、それだけじゃないところをしっかり出していきたい。パワーがある打者がいい打者というわけではない。しっかりいい打者になれるように」
フリー打撃で甲子園の外野中段まで打球を運ぶ一方、中堅を中心にライナー性の打球を打ち返す姿が目立つ。デビュー戦では際どいボールを見極め、ファウルで粘った末に8球目を右越え二塁打。ここまでの内容から矢野監督も「すごく落ち着いてボールを見て、状況も考えながら、中身もしっかりした打撃。守備も走塁もけっこうしっかりやる。総合的にすごくいいんじゃないかな」と評価した。
意外な魅力を発揮している男は平田2軍監督が「練習も熱心」と証言する勤勉さも目立つ。「ビデオを見られる環境があるので。投手だけでなく、相手がどんなチームか知ることにより各打席で何をすべきか考えられる」と研究。試合直前に追加の打撃練習を行い「最後の確認のスイングをしたい。ルーティーンの1つ」と明かせば、日本人選手の打撃練習も熱心に観察して「ずっと芯にしっかり当てているイメージで、すごく勉強になった」と感謝することもあった。
20年はオリックスでもプレー。当時よりも「精神的に成長した。しっかり準備ができている」と自己分析するが、環境の違いも活躍を後押ししそうだ。前回の来日はコロナ禍の最初の年。「野球をさせてもらえることに喜びを感じたけど、やっぱり(コロナを)気にしないといけない。どうやって人間関係を築いていくかも悩みだった」。いまだに制限はあるものの、観客がスタンドを埋める球場の雰囲気を「最高だね」と喜び、前回はかなわなかった家族の来日も「支えてくれる人がいて心強い」とパワーに変えた。2年前は故障にも泣き、59試合で打率2割1分8厘、6本塁打に終わったが、これから発揮する真の実力が期待される。
チームにとっては、悪夢の開幕9連敗のスタートとなったヤクルト戦から再び始まる後半戦。矢野監督は「直接対決は残っているので大きく勝ち越すことが必要。(この3連戦次第で)さらに勢いを増すようなこともあると思う。そこがスタートというのはウエルカム」と意気込む中、新たな力が加わった虎の反撃に注目だ。
文・安藤理
1986年1月27日生まれ。36歳。2021年に報知新聞社入社。22年から阪神担当。
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