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【インタビュー】衝撃的だった佐々木朗希と松川虎生の完全試合。専門家が明かす高卒ルーキー捕手の凄さ|プロ野球

【インタビュー】衝撃的だった佐々木朗希と松川虎生の完全試合。専門家が明かす高卒ルーキー捕手の凄さ|プロ野球時事通信
【野球 インタビュー】2022シーズンのプロ野球前半戦で最大のトピックは“投高打低”ではないだろうか。引退後に読売ジャイアンツ(巨人)でバッテリーコーチを務め、現在はDAZNで解説を担当する秦真司氏にその要因を伺った。
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2022シーズンのプロ野球は、7月29日のカードから後半戦に突入した。前半戦では、千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希、松川虎生バッテリーによる完全試合に始まり、ここまで4組がノーヒットノーランを達成するなど“投高打低”のシーズンとなっている。

そこで、DAZNで解説を担当する秦真司氏にインタビューを実施。今季達成された大記録のなかでも特に印象に残ったという若手バッテリーの完全試合を振り返った。

(インタビューは7月19日に実施)

高卒ルーキー・松川虎生の凄さ

──投高打低についてお伺いしていますが、今年はすでに完全試合が1試合、ノーヒットノーランが4試合達成されています。中でも秦さんの印象に残った試合はどれでしょうか?

秦真司(以下、秦) やはり佐々木朗希と松川虎生の若手バッテリーによる完全試合です。160キロのストレートに150キロのフォークを投げるような佐々木の投球も素晴らしいのですが、個人的には松川の能力の高さを感じた試合でした。

──具体的に松川選手の良さを感じられた場面とは?

高卒ルーキーなのに、バタバタせずに落ち着いています。捕手としての能力も高く、キャッチングやブロッキングもしっかりできていました。

捕手はいろいろなことを考えないといけない。あの阿部慎之助でさえサインを出すのにイップスになったほど神経を使うポジションです。しかし松川は、高卒ルーキーながらもしっかりとできている。構え方も動けるような構え方でブレがない。ボールも止められるし取れる。18歳には思えない技術を培っている。

よく「捕手が育たない」という言葉を聞きますが、それは育成年代からいい指導ができる人がいないから。でも松川の場合は、いい指導者に巡り合ったんだと思います。止める、捕る、投げる。キャッチャーとしてのスキルをちゃんとできる選手はなかなかいない。

──先ほどおっしゃっていたように、高卒1年目で160キロのストレートや150キロのフォークボールを捕球するだけでもすごいことですね。

普通の高卒1年目にはできないですよ。真っ直ぐだけならなんとか取れるかもしれないですが、どこに落ちるかわからないボールをしっかりキャッチできる。相当に高いレベルです。

一方で配球に関しては、これから学んでいくことが必要だと思います。今は恐れを知らないからできる部分もある。これから色々な経験をすることで引き出しは増えてくるでしょう。

 早いカウントで勝負をするイメージですが、ストライクゾーンに投げるだけが野球ではない。ボール球でも振ってくれるとわかればその球を使うべきですし、うまく押し引きを学んでいくでしょう。必要に応じてボールから入る、ボール球で誘う。それは日本野球のいい部分だと思います。

ゾーン内だけで勝負するメジャー流の考えもありますが、引き出しを増やすことでよりよく投手を導ける。松川くんにはそういう、打者との駆け引きや投手能力、状況判断など様々なことを考えてからリードするようにしてもらいたいですね。

──今回は前半戦に見られた投高打低について伺ってきましたが、後半戦に向けて、この状況はどのように変化していくでしょうか?

バッターの対応能力は上がってくるでしょう。相手投手との対戦の回数が増えれば増えるほど、バッターの経験になって対応能力が上がり、対策も練りやすくなります。同じようにやられている場合は、対策が足りないということです。

例えば、前回の対戦でやられた配球、凡打に仕留められた球など、前半戦を終えて新たにデータが蓄積されています。自分の経験としても、やられたボールは覚えているはず。

一方でバッテリーは、よほどのことがなければ打ち取った配球を続けるものです。成功していることをあえて変更するのは勇気がいる。また、抑えた投手もいいイメージがあるので、その球を使ってきます。

そこを打者がわかっていれば、かなり有利になるでしょう。もちろん、わかっていてもその球をヒットにできるかできないかの問題もありますが、ボールを捉えやすくなる。なので後半はバッターがやられた球にどう対応するか。一方で投手は違った配球で来るのか、同じでくるのか。そこに注目して観ると面白いと思います。

インタビュー= 川嶋正隆

1986年5月9日生まれ、福岡県福岡市出身。大学卒業後に携帯サイト『超ワールドサッカー』でライター兼編集者として勤務。2018年からフリーライターとしての活動を開始し、2020年からは念願かなってDAZN NEWSでプロ野球を担当している。

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