すさまじい打球が突き刺さった。「真っすぐ、待っていましたので…」と明かしたのはオリックス・吉田正尚外野手(29)だ。敵地・楽天生命パークで行われた9月13日の楽天戦。リプレイ映像を見るような2発を飛ばした。2回に先制の17号ソロ、4回は18号2ラン。ともに相手先発・早川の初球だった。
「少々低かったけど、タイミングはよかった」と低めの直球を振り抜き、着弾地点も右翼席だった。12日の最終打席から数え、プロ7年目で初の3打席連続本塁打。試合は延長12回で引き分けだったが、チームの全3得点をたたき出した。それでも自己評価が厳しい主砲は、延長11回の見逃し三振を反省。「最初(初球)に甘い所を見逃してしまった。ああいう1球を無駄にしないように、残り試合に臨んでいければ」と気を引き締めた。
9月16日現在で打率3割2分8厘、18本塁打、74打点はチームトップ。新型コロナウイルス陽性判定、左太もも裏筋損傷と2度の離脱を乗り越え、力強く打線を率いている。「1年間フルでいられなかったし、最後はいい結果が出ればと思います」。25年ぶりのパ・リーグ優勝を決めた昨年も9、10月にそれぞれ左太もも裏痛と右手首骨折。シーズン最終盤は戦力になれなかっただけに「何とか1日1本。あとは勝負所で打つことができれば」と思いは人一倍だ。
連覇を目指すチームは着実に力をつけ、9月10日のソフトバンク戦(京セラドーム大阪)で今季初めて単独首位に浮上。最大で11.5あったゲーム差を詰め切った。3回の15号ソロで決勝点を運んだのも吉田正。すでに優勝マジック点灯を許し、17日から本拠地で迎える首位・ソフトバンクとの3連戦は、最大の正念場となりそうだ。
ここまでの対戦成績は12勝10敗。ホームでは7勝3敗と地の利を生かしている。吉田正も打率3割6厘、4本塁打。初戦に先発する板東とは4打数2安打で、10日の対戦では一発を見舞った。「どの試合も落とせないですけど、勝ち切る試合はどんどん勝っていきたい」。夏場以降にきっちりと状態を上げ、7月からの月間打率も3割2分2厘、3割3分7厘、4割1分3厘と右肩上がり。「こういう(優勝争いの)試合をモノにして1位になるというのは、またチームとして強くなっていくと思う」と言葉に力を込めた。
最低でもカード勝ち越しを目指し、3連勝すればまた、立場を逆転させられるチャンスもある。昨季本塁打王の杉本は登録抹消となったが、ともに中軸を組むことが予想される中川圭と頓宮も好調をキープ。「ラスト1試合で1位になる可能性もあるし、下手をすれば4位、CS圏外の可能性もある。ここまで来たら、チームが勝てばいい」とはっきりと言った。一戦必勝を合言葉に向かう最佳境。大黒柱が逆転Vの道を切り開く。
文・長田亨
1981年4月11日生まれ。41歳。2004年に報知新聞社入社。ソフトバンク、阪神、DeNAなどを経て、今年からオリックス担当。
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