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【コラム】松田宣浩の魂を受け継ぐ柳田悠岐。キャプテンがクライマックスシリーズ突破に導く|プロ野球

【コラム】松田宣浩の魂を受け継ぐ柳田悠岐。キャプテンがクライマックスシリーズ突破に導く|プロ野球(C)球団提供
【プロ野球 コラム】ホークス取材歴20年を超える田尻耕太郎氏による鷹コラム。今回は、10月12日から始まるクライマックスシリーズファイナルステージについて。
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ギータの独壇場だったファーストステージ

柳田悠岐が打席に立てば、何かが起こる。バットを持った立ち姿に神々しさすら感じてしまう。ギータの頭文字「G」はゴッドの「G」だ。

CSファーストステージ(対ライオンズ)は独壇場と言ってもいいくらいの大活躍だった。8日の初戦は三回裏の1点を先制した直後、なおも2アウト二、三塁で高橋光成に2球で追い込まれながらも3球目の内角スライダーをすくい上げた。泳ぎ気味で体勢が崩されたように周りからは見えるが、体の軸はしっかり残って下半身の力も上手く伝導させるという、柳田ならではの“変態打ち”だ。確信歩きをしながら見送った打球は右中間のホームランテラスへ飛び込んでいった。この一発が効いて初戦は5-3で勝利。

そして第2戦も同じく三回裏だった。今度は0-0、2アウト満塁の先制点が欲しい絶好の場面。柳田は初球を思いっきり引っ張って大ファウルを打つと、続く2球目の同じスライダーに反応してコンパクトに振り抜いた。それなのに打球はものすごい勢いで右翼のホームランテラスへ。これも柳田独特の一発だ。「奇跡です。たまたまいい結果になった。厳しいと思ったんで、ダメで元々くらいの感じで行きました。それがいい結果になりました」とギータ節も炸裂させた。

また、この10月9日は柳田の34歳の誕生日だった。過去にもレギュラーシーズン中やクライマックスシリーズで(プロ入り後に一軍で)バースデー試合に臨んだことはあった。しかし昨年は3打数3三振(1四球)、20年も4打数無安打3三振と散々。19年こそ4打数3安打と活躍したが、16年も4打数無安打2三振。 計15打数3安打で8三振を喫していた。その嫌なイメージも今年で払拭。家族も観戦に訪れていたと明かし、「帰ってケーキでも食べたいな」と笑っていた。

松田宣浩の魂を受け継ぐ

20201011_NPB_hawks_MATSUDA(C)球団提供

明かしたといえば、2つのエピソードも披露された。

1つはPayPayドームでの選手ロッカーの件。今季限りでホークスを退団する松田宣浩が愛用していた場所を、柳田が引き継いでいるという。「場所がいいから。いい立地なんで、家賃は高いです」。そう言って取材する報道陣を笑わせた。

もう1つも松田にまつわるもの。松田は9月8日に出場選手登録を抹消されたが、その日から柳田は松田のバットを借りて試合に臨んでいる。その最初の日の第1打席では打席に入ってバットに口づけする姿も見られた。そして、その打席でいきなり本塁打を放った。

柳田の打撃は、その日を境にして急上昇している。

シーズン最終盤からこのCSファーストまで4戦連発なのは、あらゆるメディアでも報じられており周知のとおりだと思うが、じつは9月8日からレギュラーシーズン終了までの21試合の成績は75打数23安打、打率.307、8本塁打、19打点、出塁率.391をマークしている。

柳田の今季トータルの成績は117試合出場、打率.275、24本塁打、79打点だった。決して責められる数字ではないのだが、期待値からすれば正直物足りなかった。

それが今や、冒頭にも記したように“神様ギータ”と表現しても大袈裟でないくらい、ホークスの得点源となっている。

今季のプロ野球で“神”といえば「村神様」ことスワローズの村上宗隆だったが、今の柳田が醸し出す雰囲気は同等もしくはそれ以上だ。

“村神様”超えのゴッド・ギータ

もしやと思い、もう少し数字を追ってみた。

9月8日以降のレギュラーシーズンとCSファーストの2試合を加えた計23試合で、柳田は95打席に立って10本塁打を放った。

村上は今季612打席に立ち56本のホームランを放った。もし、柳田が同じ数だけ打席に立ったとして、仮に今の状態ならばどれくらいのペースになるのか……。

なんとじつに、本塁打64.42発という、まさかの“村神超え”という無双モードに突入しているのだ。同等以上の雰囲気というのも納得だった。

ところで、柳田はなぜ、松田のバットを愛用し続けているのか。

「振りやすいんです、単純に。普段の僕のバットとグリップの形が全然違います。トップの方は一緒なんですけど、持つところの感触がいい。そのバランスがいい感じなんです」

2人が同じメーカーをずっと使用しているのもあるが、松田と柳田は毎シーズンお互いを意識し合って「本塁打競争」を行っていたこともある。柳田はプロ入り当初から素晴らしい長打力が魅力だったが、しばらくは「僕は中距離バッターなので」と頑なに言い続けていた。今はホームランを期待され、それに応えようと必死になっている。松田の存在も意識を変えるきっかけの1つだった。

山本由伸攻略のカギは?

10月12日から始まるクライマックスシリーズ・ファイナルステージ。

対戦相手のバファローズは今季のパ・リーグ優勝チームだが、レギュラーシーズンの戦績76勝65敗2分で勝率.539は、ホークスも全く同じだった。今季直接対決の規定によりホークスが2位という結果になったが、力差は完全に互角といえる。

だからこそ、上位チームに与えられている1勝のアドバンテージが重くのしかかる。ホークスが下剋上を果たすカギとなるのは第1戦だろう。バファローズのエース・山本由伸をいかに攻略するか、だ。

柳田がどんな場面で、また最高の働きをしてくれるか。当然大きな期待がかかる。

柳田の対バファローズの成績は打率.315、6本塁打、15打点と好相性。一方で山本に対しては13打数2安打と抑え込まれた。しかし、5月3日の対戦では満塁ホームランも放っている。山本にとってはプロ初の満塁被弾で、その日は自己ワーストの7失点を記録した。

また、柳田の前にいかに走者を溜めるかもポイントになる。上位を打つことが濃厚な三森大貴が対山本・15打数5安打、牧原大成が15打数6安打とよく打っており、彼らも勝機を広げるキーマンとなりそうだ。

文・ 田尻耕太郎

1978年生まれ、熊本市出身。法政大学卒。ホークス球団誌の編集を経て、2004年夏にフリーに。一貫して「タカ番」スタイルの現場主義を大切に取材活動を続けており、2021年にちょうど20年目のシーズンを迎えた。「Number」など雑誌・ウェブ媒体への執筆のほか、ラジオ出演やデイリースポーツ特約記者も務める。

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