野球界には成績以上にそのキャラクターでカルト的な人気を博す選手がいる。昨シーズン限りで現役を引退した杉谷拳士(元日本ハム)はNPBにおける代表格で、日本人離れした天性の明るさは、オフのスポーツバラエティ番組になくてはならない存在だった。
MLBでもその手の名物選手はファンに愛され、成績で語るスター選手に負けずとも劣らない人気を誇ってきた。1976年に新人王に輝いたマーク・フィドリッチはマウンド上でボールに話しかけたり、敵味方関係なくファインプレーをした選手のもとへ駆け寄って握手を求めたりと、その天真爛漫なキャラクターで一世を風靡した。
野球人生において常に二番手捕手という立場だったサル・ファサーノは、球場に来た自分のファンにピザを振る舞う兄貴肌で、ファンクラブができるほどの人気を獲得した。
また、見た目でインパクトを与えるタイプも同じように愛され、力士のような体格で通算247勝を挙げたバートロ・コローンが近年ではその部門のトップランナーだが、ソフトバンクに加入したウィリアン・アストゥディーヨは彼の正当な後継者として、師匠に負けない珍獣ぶりで観客を楽しませた。
ニックネームの“トルトゥーガ”はスペイン語で「亀」
アストゥディーヨの魅力は、何と言っても一度見たら忘れられないユーモラスな体形だ。身長175㎝・体重102㎏のアンコウ型で、MLB時代はクルクルパーマをなびかせる姿がトレードマークだった。ニックネームの“トルトゥーガ”はスペイン語で「亀」を意味し、そのルックスは実写版の『忍者タートルズ』があれば間違いなくオファーが届くだろう。実際にミネソタ・ツインズ時代には球団がアストゥディーヨのために忍者タートルズの主題歌を用意し、登場曲に使用する催しも行われた。
そんなわがままボディでプレーは常に全力とあってはメディアが放っておくはずもなく、SNSではアストゥディーヨのプレーを切り取った動画がバズりにバズった。中でもヘルメットを飛ばし、自慢のカーリーヘアをなびかせて激走する動画は、コミカルかつ迫力満点で必見だ。
そんなアストゥディーヨはプレーの方もかなり個性的。滅多に三振しない選手として有名で、2021年は216打席でわずか12三振しか喫しておらず、通算でも588打席で28三振と驚異的な数字を残している。三振率に換算すると4.8%で、これは昨季NPBでベストだったDeNAの宮﨑敏郎の7.3%(482打席で35三振)を遥かに凌駕する数字だ。
当てる技術は非常に優秀だが、だからと言ってボールをじっくり見極めるタイプでは全くなく、通算の四球は三振よりさらに少ない11個。どんどん振ってコツコツ当てるというかなり特殊な打席でのアプローチになっており、豪快に振り回してホームランも三振も多い外国人選手のイメージとは一線を画す存在だ。
ソフトバンクには近藤健介、中村晃といったコンタクト能力に優れた打撃職人がおり、彼らとの共演も楽しみ。また、アストゥディーヨがどこを守るか、これも注目のポイントだ。
MLB公式サイトはアストゥディーヨのポジションを三塁手としているが、キャリアではほぼ同じくらい捕手と一塁でも出場しており、昨季に関しては二塁での出場が最も多かった。キャンプ前に行われた新外国人選手の会見でも「(キャンプには)サード、セカンド、ファースト、外野。捕手は必要なら持っていく」とマルチぶりをアピールしており、俊敏な亀がダイヤモンドのどこに出現するか、試合ごとに要チェックしたい。
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