オールスターブレイクを終えて、パ・リーグの後半戦が7月22日から始まった。オールスターブレイク前のセ・リーグ前半戦を振り返りつつ、勝負の8月、9月に向けた展望を、DAZNで解説を務める秦真司氏に解説してもらった。
※インタビューは7月18日に実施
広島好調の要因は投手の立て直し
──前半戦のセ・リーグを振り返りをお願いします。序盤の阪神タイガースと横浜DeNAベイスターズの戦いからこの2チームが抜けていくかと思われましたが、ここにきて広島東洋カープが追い上げを見せています。
広島はすごいですね。特に栗林良吏の起用について驚かされました。これまで守護神で起用してきましたが、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の離脱もあり、シーズンに入ってからは思うように結果が出せていなかった。すると思い切って中継ぎで起用し、そこで力を取り戻している。この決断は本当にすごいなと。栗林にとって力を出しやすいように、なおかつチームが勝てるように。その結果が中継ぎでの起用になったのだと思います。
──秦さんから見ても今の広島は勢いがある?
今年の広島は攻撃力が突出しているわけではありませんが、全体的な年齢が若くこれからのチームだなと見ていました。若い力が育ってきたら、来年や再来年は楽しみなチームになるなと。そのなかで、今結果が出ている要因は、先ほど話したように投手の立て直しがうまくいったからでしょう。
栗林は絶対的な守護神ですが、今年は本調子じゃないので厳しいと思っていました。ところが栗林の配置転換を機に息を吹き返しました。去年の高津臣吾監督のように、適材適所で投手を使いながら後半を乗り切れる投手を構築できた点が大きいです。ある程度リードしていたら勝てるなという計算が立つので、相乗効果で打線にもいい影響を与えていると思います。安定した投手力が、若い打者を育てているチームだと思います。特に前半戦最後のDeNA戦では、1点差ゲームで3連勝。勢いを保ったまま折り返しを迎えました。
──それだけ栗林選手の中継ぎ起用がチームに大きな影響を与えた?
大成功でしたね。この決断がチームを鼓舞したように思います。広島だけでなく、侍ジャパンの抑えを任されるほど能力が高い選手です。そんな選手を配置転換する決断はかなり勇気が必要。もう何年も守護神をやっていて経験がありますが、今年は春先から数カ月間調子が悪かった。そこで彼のこととチームのことを考えて配置転換を決断しました。栗林はいつかは抑えに復帰するでしょう。そこまでに選手を育てながら、試合にも勝つ。ものすごく大きな財産になると思います。
DeNAは優勝できるだけの力はあるが…
──前半戦最後に3位転落となったDeNAについてはどのようにご覧になっていますか?
優勝できるだけの力はあると思っています。広島とは逆で、DeNAは攻撃力で投手力をカバーするチームです。投手の能力が劣っているわけではなく、先発の頭数が足りない状況でした。ただ、バウアーが入って先発にも目処がたった。一方で、私は守護神の山崎康晃の力が落ちてきていると見ていて、抑え投手が不安材料でした。適度な休養を与えたり、配置転換してみたり、相手によって変えてみたりしたほうがいいと思います。
また、チーム全体で見ても中継ぎの枚数が少ないように思います。そこは先発投手を1人でも後ろに回すなどして手を打つべきなんじゃないかなと感じますね。
──特にDeNAにとっては前半戦最後の広島戦3連敗が響きました。
最後の6連戦は総力戦で勝ちにいかないといけませんでした。それをやらなかったことが非常にもったいないですし、後々響きそうだなと。特に最後の広島戦は、先発投手を中継ぎで使ってでも勝ちにいく姿勢が必要。最後の6連戦は全員で勝ちにいく、オールスターでしっかり休んで、さぁ後半戦へという流れを作ったほうが良かったように思いますね。
1番優勝に近いのはDeNAだと思っていましたが、ここ数試合を見ていると接戦に弱い。そこを勝ち切れるようにならないと厳しいですし、そのためには中継ぎ、抑えをしっかりと立て直す必要があると見ています。
──首位で折り返した阪神はいかがでしょうか?
阪神は安定していますね。若い投手が台頭してきて、全体的に力のある選手が多い印象です。若い投手が夏を乗り越えて勝負の9月まで投げ抜けるかは疑問が残りますが、そこを乗り越えられたらかなり優勝に近づいていくと思います。
野手は前半から調子が良く、その結果、序盤は走りましたが、ここにきてやや落ちてきている。とはいえ、堅実な野球でしっかりと勝ち星を拾っている印象です。投手力の安定が際立っているので、野手の力がついてくると一気に抜け出す可能性もあります。後半も楽しみなチームの1つです。
インタビュー= 川嶋正隆
1986年5月9日生まれ、福岡県福岡市出身。大学卒業後に携帯サイト『超ワールドサッカー』でライター兼編集者として勤務。2018年からフリーライターとしての活動を開始し、2020年からは念願かなってDAZN NEWSでプロ野球を担当している。
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