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金か伝統か? LIV流失のゴルフ界、マネーゲームの行く末| LIVゴルフ

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金か伝統か? LIV流失のゴルフ界、マネーゲームの行く末| LIVゴルフDAZN
【ゴルフ LIV招待】中東マネーをバックに躍進を続けるLIV招待。彼らの出現で世界のゴルフ界は完全に二分された。「米ツアー vs LIV招待」の構図は今後どのように変化していくのだろうか。選手の発言をもとに探っていく。
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9月の第1週、米国マサチューセッツ州ボストンで開催されたプロゴルフの試合。個人戦とチーム戦をともに優勝したダスティン・ジョンソンが手にした賞金額は、6億円を超えていた。ジョンソンが長らく主戦場にした米ツアーより1日短い、予選落ちのない3日間54ホールの競技で、超高額を稼いだのだ。

サウジアラビアの政府系ファンドが支援する新ツアーの「LIV招待」。数百億円規模という契約金を背景に、米ツアーから選手の引き抜きを敢行している。サウジアラビアが人権問題などから目をそむけさせる『スポーツウオッシング』との批判の声も挙がるが、フィル・ミケルソンやジョンソン、ブライソン・デシャンボーといった超大物の獲得に成功した。

米ツアー側は移籍組を『お金に目がくらんだ裏切り者』として追放する対抗措置を決定した。LIVへ移籍した一部選手が、米ツアーの出場停止処分撤回を求めた裁判を起こしたが、これを棄却。LIV招待の試合が世界ランキングの加算対象になるか不明のため、LIV移籍組のメジャー大会出場も不透明な状況になっている。

完全に二分されたゴルフ界は、果たしてこの先どこへ向かうのか。勢いに乗るLIV招待は来年6試合増の14試合で賞金総額4億500万ドル(569億円)になると発表している。今年のフォーマットを継続すれば、54ホールの3日間大会で予選落ちはない。

さらにLIVは、選手の経費の負担を実施している。プロゴルファーは移動費、宿泊代、キャディー料金やプレー料金などを実費で支払っており、予選落ちで獲得賞金が0円の場合は”赤字”だ。しかし予選落ちがないLIVは、最低でも1000万円以上の賞金が約束される。その上にビジネスクラス以上の移動費や宿泊費をツアー側から支給されるのだ。

一方で危機感を募らせる米ツアーの2022-23シーズンは、メジャー4大会を除いてツアー史上最高の賞金総額となる。12試合の賞金総額を最低1500万ドル(約21億5000万円)に設定し、予選落ちした選手への最低補償や移動費のサポートなども打ち出した。シーズンの賞金総額は米ツアーがLIVを上回る。しかし、1試合あたりの賞金総額ではLIVが大きく上回っているのが現状だ。

世界ランキング3位のキャメロン・スミス(オーストラリア)はLIV参戦への理由を問われ「ビジネスの面は大きい」と金銭面を認めつつ、プライベート面にも言及した。「この3年は母国に帰れずに、友人の結婚式などにも参加できなかったんだ」。各国の移動に制限がかかったコロナ禍での苦悩を打ち明けた。

米国出身の選手ならば米ツアーは国内の移動のみで自宅にも帰れるだろうが、海外選手にとって帰国は人生を豊かに過ごす上で必要だろう。プロである以上はある程度プライベートを犠牲にして競技に打ち込むだろうが、仕事と人生の豊かさを天秤にかけるタイミングは誰にだってある。さらに若手が次々に出てくるプロスポーツの世界で、生活を保障させたい中堅・ベテランたちが稼ぐ場を求めるのも自然の流れと言える。

米ツアー残留を表明しているロリー・マキロイ(北アイルランド)は「米ツアーが世界で一番だと信じている。競争があり、良きライバルがいる。お金よりも大事なことがある」と主張する。マキロイの言い分は米ツアーが築いていたゴルフの伝統を重んじ、大切にしたいもの守るべきという正論だ。

しかしLIVへ移籍する有望選手が多いという事実は、金銭面やプラベートの充実といった総合面で、その伝統や正論を飲み込むほどの好条件だということも言えるだろう。

先週のLIV招待の試合で優勝し、400万ドル(約5億7300万円)の賞金を獲得したスミスは言った。「ここは10年後、20年後に世界一を決める舞台になっている可能性がある」。

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