話題をさらい結果を出す-。女子ゴルフだけでなく全プロスポーツに共通するスターの条件だろう。本人が狙ったものでなくても、周囲が盛り上がる。そんな資質は”持っている”と表現される。
史上初の72ホール4日間競技でノーボギー優勝を達成した勝みなみは、女子ゴルフ界の中では”持っている”選手の1人だと思う。実力がトップクラスなのは大前提だ。ただ黄金世代の第一人者として知られる勝の優勝時には毎回、何かしらのトピックスがあるのだ。
史上最年少の15歳でプロツアーを制した2014年の「KKT杯バンテリンレディスオープン」。当時、入学したての高校1年生の快挙だった。事象だけでもニュースになったが、勝のキャラクターもメディアに親しまれた。
プロでも緊張する優勝争いの終盤17番で、直前に頬張ったおにぎりが口に残ったままティショットを放つ大物ぶり。お気に入りの曲を口ずさみプレーする天真爛漫な姿に、メディアは食いついた。「おにぎり」や「歌」は当時の勝の代名詞に。人前での話すのが得意で、会見ではいつも爆笑を誘った。
プロ初優勝はどん底からの復活というストーリーがあった。2018年の「大王製紙エリエールレディスオープン」。同年の夏場にドライバーが極度のスランプに陥った。優勝前の直近12大会のうち9試合で決勝ラウンドに進めていなかった。アマ時代に実績を残した選手でも不調に陥り、そのまま第一線を退くケースは多い。しかし、勝は数カ月で乗り越えた。
プロ2勝目を挙げた翌19年の「パナソニックオープンレディース」。最終日翌日の各紙の見出しは『勝みなみが令和初の優勝者』だった。同年5月1日に平成から令和に元号が変わり、その初戦。大会前から話題は「令和初の優勝者は誰になる?」だった。全美貞(韓国)をプレーオフで破り、新たな時代をけん引する存在と印象付けた。
19年の「中京テレビ・ブリヂストンレディス」や21年の「リゾートトラストレディス」は翌週に海外メジャーが控え、海外メジャーへの期待感を膨らませた。昨年「日本女子オープン」では6打差Vの圧勝劇を演じ、ついに国内メジャータイトルの称号を手に入れた。
そして今回の72ホールのノーボギーV。もちろん優勝者には誰しもストーリーがあるのだが、勝のトピックスはいつも”わかりやすい”。
プロ転向時に掲げた目標は「世界一愛されるプロゴルファーになる」。平均バーディ数は250で全体1位、平均飛距離は252.54ydで全体4位と”飛ばしてバーディを獲る”という攻撃力も魅力だ。観客を喜ばすためにバーディ数への強いこだわりを口にしたこともある。
今週は海外メジャー「AIG全英女子オープン」に挑戦する。世界をあっと驚かす結果を期待したい。
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