JLPGAツアー2022シーズン第34戦「樋口久子 三菱電機レディス」は30日(日)、埼玉県飯能市の武蔵丘ゴルフコース(6650yd/パー72)で最終ラウンドを行なった。33歳の金田久美子が、11年189日ぶりとなるツアー最長ブランク優勝を遂げた。
元天才少女の目から涙がこぼれ落ちた。2.5mのバーディパットを外し、返しのウィニングパット。14歳下で、最終組で優勝を争った川崎春花が視線を注いだ。慎重にカップを鳴らすと、グリーン脇で見守る観客から万雷の拍手が聞こえた。堪えられず、手をそっと目元に当てた。月日の長さを噛み締めた。
「2勝目をできることを目標に日々トレーニングに練習を諦めずに頑張ってきてよかったです。(優勝スピーチを)考えていなかった、しゃべるのが苦手で」。優勝インタビューでは何度も言葉に詰まった。5年も前から賞金シード落ちを繰り返した。”全盛期は過ぎた”、”もう終わった”。誰もがそう思った。
派手な見た目で”ギャルファー”と言われた33歳は、必死に練習を積み重ねた。一度は壊れたスイングを作り直した。結果を残せないとSNSでは、他の選手より嫌味とも思える書き込みが増えた。それでも耐え抜いた。
勝敗を分けたのは、終盤17番だった。2ホール前にボギーをたたき、1打差に詰められていた。ティショットをしっかりフェアウェイに置くと、先に3mのバーディチャンスにつけた川崎よりさらにピンに近い2mに絡めるスーパーショットを披露した。勝利への執念が、勢いのある若手を飲み込んだ。ベテランの意地だった。
初優勝は2011年の「フジサンケイレディスクラシック」で21歳のとき。日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)によると”11年189日ぶりV”は、中嶋千尋の”9年297日ぶりV”を上回りツアー制度施行後の最長ブランク優勝になった。ここ数年は下部ステップアップツアーにも出場していた立場。何より来季のシード権を確保したことが嬉しかった。
目を真っ赤に腫らした金田は、とびっきりの笑顔で言った。「これからも3勝目を目指します。ベテランですが、若い子に負けないように頑張ります」。割れんばかりの拍手が何度もこだました。
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