今年もいくつものドラマが生まれたJLPGAツアー。21歳の山下美夢有は最年少で年間女王に輝き、新たな記録を打ち立てた。ベテランたちは意地の復活優勝を挙げて涙を誘った。その中で印象的だったツアールーキーたちの躍進を振り返る。
女子ゴルフ界は若手の突き上げが激しい。「黄金」、「ミレニアム」、「新世紀」と有望株を揃える世代が、次々と出現している。幼い頃からインターネットやスマートフォンに馴染み深くスイング確認は携帯動画。技術の向上速度は一層と早まり、若手の台頭は自然の流れなのかもしれない。
アマチュア時代からプロツアーで活躍した”黄金世代”や”ミレニアム世代”と比べ、今季のルーキーが期待されていたかといえば、そうではなかった。しかし、彼女たちは今年のツアーを盛り上げた存在だ。
最もセンセーショナルな活躍を見せたのが19歳の川崎春花だ。アマ時代は全国区と言えず94期生として昨年11月のプロテストに合格したときは無名。ただ8月末の下部ステップアップツアーで初優勝をマークすると、ニューヒロイン誕生のドラマはその2週間後に生まれた。
予選会を通過して出場した9月の「日本女子プロゴルフ選手権」(京都・城陽カントリー倶楽部)。地元で開催された国内メジャーは3日目を終え首位・山下から4打差の8位につけた。大勢の注目はもちろん山下。しかし最終日に「71」(パー72)と伸ばしあぐねた山下に対し、8アンダーを叩き出し、逆転したのが川崎だった。
大会最年少優勝。ノンプレッシャーだから逆転できたとの見方もあっただろうが、6戦後の「NOBUTA GROUP マスターズGC レディース」で初優勝より難しいと言われる2勝目をすぐにマークした。ポイントランキングは堂々の15位(賞金ランクは8位)。12月の新人戦も制し、94期生の第一人者となった。
この川崎の初優勝に最も刺激を受けたのが、同じく94期生で19歳の尾関彩美悠。「女子プロ選手権」を制した”同期”を祝福したが、同時に会場で悔し涙を流した。キャディに「#次は私」とSNSでメッセージを送ると、その翌週の「住友生命Vitalityレディス 東海クラシック」で初優勝。今季はこの1勝に留まったが、気持ちの強さは世代随一だろう。一歩先を行く川崎を追い、来季の躍進にも期待がかかる。
さらに下部ステップアップツアーで新記録となる5勝をマークし、来季レギュラーツアーに乗り込む櫻井心那も94期生の中でツアーを牽引した一人といえる。レギュラーツアーに注目はいきがちだが、渋野日向子も下部から這い上がった選手だ。年々レベルが増していると言われる場所で、新記録を作った実力は侮れない。
さらに94期生の一期前、昨年の6月にプロテストに合格した93期生も本格参戦1年目のツアールーキーだった。その中で夏場にツアーの主役に躍り出たのが、岩井ツインズの妹・岩井千怜だろう。8月の「NEC軽井沢72」から2連勝。ツアー初優勝からの連勝は史上3人目の快挙になった。
その後は予選落ちを続け、優勝争いに絡む機会はなかったが、ポイントランクは18位。姉の岩井明愛は未勝利だが、ランク40位でシードを獲得した。
ルーキーたちの活躍はツアーの新陳代謝を促し、ニューヒロインの誕生を予感させる。世代交代の波は今後も激しさを増すばかりだろう。今年の11月には日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)のプロテストに合格した95期生・20人の新人プロが誕生した。新たに誕生した20人のプロの”卵”は1年後、一体どんな景色を見ているだろうか。
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