元世界ランク1位が復活の狼煙を上げた。JLPGAツアーの2023シーズン開幕戦「ダイキンオーキッドレディス」(沖縄県南城市/琉球ゴルフ倶楽部)は5日に最終ラウンドを行い、単独首位から出た申ジエ(韓国)が「71」でプレーし、通算10アンダーで優勝。日本ツアー会員として通算27勝目を挙げた。
世界の主要ツアーで60勝以上をマークした実力者が漂わせたのは安堵感だった。1打リードの最終18番(パー5)、5mのバーディパットをジャストタッチで沈めるとゆっくり右の拳を上げた。サングラスを取ると真っ青な空にいつもの優しい笑顔がよく映えた。同組選手と抱擁し、表彰式では感謝の言葉を並べた。
「去年は優勝がなかった。久々の表彰式なのでドキドキしています。いい天気の中でギャラリーさんに応援してもらい、1人ではない感じで最後まで頑張れた」と言った。日本参戦後のキャリアワーストで終えた昨季はメルセデスランク16位、賞金ランク18位。アジア人初の世界1位に上り詰めた現役レジェンドには屈辱と思える数字だった。
理由は昨年3月に慢性的な痛みをとる両肘の手術を行ったため。今年4月で35歳の年齢を考えれば完全復活の保証はなかったが、状態を上げて開幕戦で早速結果を残した。下り4mを決めてバーディを奪った7番で一度は並ばれた上田桃子から再リードを奪うと真骨頂は終盤15番に訪れた。
ティーショットを左の木に当てると、第2打はその木の枝の下を通した低い弾道がグリーン奥まで達した。下り傾斜をつたう難しいアプローチで力感をコントロール。ボギーやむなしの5mのパーパットをねじ込み、拳を握った。
米ツアー選手時代の勝ち星を含めると日本ツアー通算29勝目になるが、会員として30勝が必要になる永久シードまでは残り3勝だ。盟友イ・ボミは今季限りの日本ツアー引退を発表。キム・ハヌルらもすでに現役を退き、双子を出産したアン・ソンジュも試合に出場していない。
それでも申は戦い続ける。「今年は開幕戦から良い結果で始まったので最後まで頑張ります」。日本のファンに約束した年間タイトルの獲得、さらに”もう二度と誕生しないかもしれない”と言われた史上7人目になる永久シードへ。現実味が帯びてきた。
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