2020-21シーズンのリーグアンを制したのはリール。パリ・サンジェルマン(PSG)の4連覇を阻止し、10-11シーズン以来10年ぶり4回目のリーグ王者に輝いた。
個のパフォーマンスを振り返れば、攻撃陣は実績のある中堅・ベテラン、守備陣は若い才能の活躍が目立った。今回選出したベストイレブンはその傾向を反映させた顔ぶれに。システムは4-2-3-1を採用した。
CF ブラク・ユルマズ(リール|35歳)
35歳にして欧州5大リーグ初挑戦となった「トルコの王様」は、DFゼキ・チェリク、MFユスフ・ヤズジュという同胞の存在もあり、新天地のリールに早々とフィット。188cm・81kgの体格を生かしたポストプレーに加え、サイドに流れる動きや裏抜けも冴え渡った。右でも左でもシュートを決め、さらには直接FKまで叩き込む万能ぶり。終盤のリヨン戦の出来は圧巻だった。
リーグ成績:28試合出場|16得点・5アシスト
左ウイング キリアン・エンバぺ(PSG|22歳)
ラインを深く設定する相手のPSG対策に苦しめられ、なかなか単独突破できずにストレスを溜めた1年だったが、27ゴールで3シーズン連続の得点王に輝いた。圧巻のスピードとゴール前の冷静さが際立ち、終盤になるにつれて仕掛けでも魅せるシーンを増やしたのはさすが。
リーグ成績:31試合出場|27得点・7アシスト
トップ下 メンフィス・デパイ(リヨン|27歳)
このオランダ代表がシーズン終了まで残留したことが、リヨンにとって最大の「補強」になった。絶妙なターンからのスルーパス、精度の高いフィニッシュ、セットプレーが冴えただけでなく、中盤に下りてのサイドチェンジパスでSBやウイングを躍動させるなど司令塔の役割もまっとう。今夏の退団が既定路線で、次の行き先が注目される。
リーグ成績:37試合出場|20得点・12アシスト
右ウイング ケヴィン・フォラント(モナコ|28歳)
ニコ・コヴァチ監督たっての希望で、昨年9月にモナコの一員となったレフティ。阿吽の呼吸を見せたFWウィサム・ベン・イェデルとリーグトップクラスのコンビネーションを見せ、指揮官の期待に応えた。サイドに流れて起点を作るだけでなく、前線に流動性を生み出すポジショニングは匠の域。
リーグ成績:35試合出場|16得点・8アシスト
最優秀若手に輝いた"ネクスト・ポグバ"
守備的MF オレリアン・チュアメニ(モナコ|21歳)
UNFP(全国プロサッカー選手連合)選出の最優秀ヤングプレーヤー賞に輝いた注目株。長い足を活かし、並みの選手では届きそうにない位置からボールを奪う守備に加え、軽やかにかわす足技、対角線まで見通せる視野、身体能力の高さも見せつけた。近未来のビッグクラブ行きが期待される"ネクスト・ポグバ"だ。
リーグ成績:36試合出場|2得点・4アシスト
守備的MF ブバカル・カマラ(マルセイユ|21歳)
対人能力と読みに優れた若手CBが、守備的MFとしての才能を開花。前線に鋭く打ち込むクサビのパスが光り、ホルヘ・サンパオリ監督からも高く評価された。地元が育んだマルセイユの至宝だが、残り1年となった契約&クラブの財政的な問題から今夏の移籍が濃厚。ユヴェントスが新天地候補として噂される事実が彼の充実ぶりを物語る。
リーグ成績:35試合出場|0得点・2アシスト
左SB ロマン・ペロー(ブレスト|23歳)
果敢に敵陣に攻め込むチームスタイルを支えた超攻撃型の左SB。縦への突破からの左足クロスに加え、急停止からの右足クロス、加速の素晴らしいカットインが際立った。SBとしてはリーグ最多の7アシストを決められたのは、190cmのスティーヴ・ムニエと188cmのガエタン・シャルボニエというハイターゲットの存在に拠るところも大きい。
リーグ成績:36試合出場|3得点・7アシスト
ユナイテッドが熱視線を送るCB
CB スフェン・ボトマン(リール|21歳)
CBのパートナーだった主将ジョゼ・フォンテと高さのある壁を築き、デュエルで圧倒的な強さを発揮。目を引いたのはモダンなプレースタイルで、みずからボールを運び、惚れ惚れするような柔らかい軌道のフィードを連発した。PSGとの2試合で完封に貢献した若手の最注目株に、マンチェスター・ユナイテッドが熱視線を送っている。
リーグ成績:37試合出場|0得点・0アシスト
CB マルキーニョス(PSG|27歳)
トーマス・トゥヘル前監督の下ではMFも務めたが、マウリシオ・ポチェッティーノ体制への移行後はCBに専念。チアゴ・シウヴァ(現チェルシー)のDNAを引き継ぎ、主将として最終ラインを引き締めた。良くも悪くも「陽キャ」なチームにあって、彼の不動のメンタルと安定感は光った。重要な試合でCKから決めたヘディングも印象深い。
リーグ成績:25試合出場|3得点・1アシスト
右SB ジョナタン・クロース(RCランス|28歳)
3バックが基本のRCランスで右ウイングバックを務めたスーパークロッサー。トラップの正確さ、ボディバランスの良さ、中の状況を見極める視野の広さがあり、カウンターの勢いを緩めずに上げるクロスで数多くのチャンスを作り出した。ペナルティーエリアへの斜めのランニングも秀逸だった。ちなみに、25歳にして初めてプロ契約を結んだ苦労人だ。
リーグ成績:33試合出場|3得点・6アシスト
GK マイク・メニャン(リール|25歳)
PKを含む至近距離弾への強さを示し、ハイボールへの対応、元FWならではの足元の技術も冴えたリールの正守護神。リーグ最少失点に貢献し、みずからの力でEURO2020のメンバー入りを勝ち取った。2021-22シーズンのミラン加入が決定した。
リーグ成績:38試合出場|23失点・21完封
監督 クリストフ・ガルティエ(リール)
開幕前にFWヴィクター・オシムヘン(現ナポリ)、DFガブリエウ(現アーセナル)という攻守の両輪を失い、シーズン途中でオーナーと会長が交代するという激動の中、定評ある人心掌握術でベテランと若手を融合させたチームを構築。自身初のリーグタイトルを獲得した。ナポリ行きの噂がある。
後半戦だけで11ゴールの俊英
リーグアンは18-19シーズンから「The League of Talents」のキャッチフレーズを掲げ、新たな才能が登場するリーグとしての魅力をアピールしている。そこで最後に、次代を担うタレントを数名紹介しておこう。ぜひ新たな才能を発掘して欲しい。
FW ジョナサン・デイヴィッド(リール|21歳)
シーズン後半に11ゴールを量産したカナダ代表の俊英。枠を正確に捉える左右両足のシュートに加え、鋭いカットインも際立った。
リーグ成績:37試合出場|13得点・3アシスト
FW アミーヌ・グイリ(ニース|21歳)
リヨンアカデミー出身のCF兼ウイングは、昨夏に加入したニースでブレイク。水準以上の加速力や精度の高い右足のキックを武器に、ゴールもアシストもキャリアハイの数字を残す。
リーグ成績:34試合出場|12得点・7アシスト
MF ロマン・フェーヴル(ブレスト|22歳)
周囲の状況をしっかり把握したうえで、縦への推進力がある突破から数多くの決定機を作り出した。左足のFKも脅威に。
リーグ成績:36試合出場|6得点・5アシスト
MF エドゥアルド・カマヴィンガ(レンヌ|18歳)
若いながら冷静で、ピッチを俯瞰で見る能力を備える。今季はやや伸び悩んだが、来季以降も期待したいセントラルMFの逸材だ。
リーグ成績:35試合出場|1得点・2アシスト
MF パペ・サール(メス|18歳)
カバー範囲が広いだけでなく、展開力やミドルも持ち味とするセントラルMF。今季途中からメスでプレーし、一気にセネガル代表デビューも果たした。
リーグ成績:22試合3得点0アシスト
DF ブノワ・バディアシル(モナコ|20歳)
身体能力が高いCBで、デュエルで相手を圧倒した。昨冬に届いたマンチェスター・Uからのオファーを断る。
リーグ成績:35試合出場|2得点・1アシスト
文・西 達彦
ボイスワークス所属(局アナ経験なし)。Jリーグ・リーグアン(DAZN)ONE(abemaTV)なでしこリーグ(YouTube)マリーンズナイター・高校野球(チバテレ)西武ファームなど実況。趣味は乗り物全般、渋谷系音楽。
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