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【コラム】ランパードは一日も早く方向性だけは決めるべきだ | チェルシー | プレミアリーグ

【コラム】ランパードは一日も早く方向性だけは決めるべきだ | チェルシー | プレミアリーグ(C)Getty Images
【コラム】今夏の大型補強により、前線と中盤の人材があり余っているチェルシー。だが、フランク・ランパード監督はその豊富な戦力を活用しきれていない。プレミアリーグ解説者の粕谷秀樹氏は「一日も早く方向性だけは決めるべき」と警鐘を鳴らす。

不安・不満を抱いている者は少なくないはず

「この状況が続くのなら、来年1月には移籍を考えなくてはならない」

チェルシー オリヴィエ・ジルー が苦しい胸の内を明かした。

今シーズンは出場機会に恵まれていない。リーグカップ、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)ではスターターに顔を連ねるケースもあるが、プレミアリーグにおけるプレータイムはたったの36分だ。

それでもジルーはチームに悪影響を及ぼすような選手ではない。若手へのアドバイスを惜しまず、練習では誰よりも汗を流す。そんな姿勢を間近に見ているからこそ、CLのレンヌ戦でジルーがゴールを決めたとき、多くの選手が自分のことのように喜んだ。

しかし、不安・不満を抱いている者は少なくないはずだ。

今夏の大型補強により、チェルシーの前線と中盤は人材が余剰気味だ。コロナ禍と過密日程を踏まえれば豊富なタレントを数多く揃えるのは当然のプランとはいえ、いかんせん前の方が重たすぎる。

序列が下がった者がエージェントに不満を漏らす→エージェントがメディアに愚痴る→一部のメディアが盛って伝える→チ―ムが疑心暗鬼に陥る……。よくあるパターンだ。

チーム全員がジルーのような善人ではない。

豊富な戦力を持て余している

さて、今週末のチェルシーはホームに トッテナム を迎える。6勝2分1敗で首位。ジョゼ・モウリーニョ監督の現実的なプランが効を奏し、前節は マンチェスター・シティ を2-0で仕留めている。枠内シュートわずか2本で、だ。

「現時点の優勝候補筆頭は大崩れしないトッテナムだ」

シティのジョゼップ・グアルディオラ監督も堅実性を認めていた。

チェルシー戦でもトッテナムは低く構えるだろう。シティ戦で鼠経部を痛めたトビー・アルデルヴァイレルトが、2~4週間ほど欠場するのだからなおさらだ。

フィールドプレーヤー全員が自陣に戻り、マイボールになったらギアチェンジ。 ハリー・ケイン が、 ソン・フンミン が相手ゴールに襲いかかる。スターターでも途中出場でも、ギャレス・ベイルは不気味な存在だ。

また、モウリーニョ監督がソン・フンミンをどのように起用するかも注目ポイントである。シティ戦では右サイドだった。対人プレーに強い カイル・ウォーカー を避け、守備に難が “ありすぎる” ジョアン・カンセロ を狙ったに違いない。

チェルシーのサイドバックは左が ベン・チルウェル 、右は リース・ジェームズ 、あるいはセサル・アスピリクエタ。カンセロとの比較は失礼なほどに安定している。

では、あえてソン・フンミンを中央に置き、チェルシーのセンターバックをプレッシャーにさらしておくのか。

チアゴ・シウヴァ の経験は貴重な武器だが、スピード不足は否めない。クルト・ズマは安定感に欠ける。前節の ニューカッスル 戦に続き、スピード豊かなアントニオ・リュディガーが先発する公算も小さくはない。

もちろん、ケインにも最大級の注意を払う必要がある。今シーズンは中盤に降りていってビルドアップに関与するなど、よりスケールアップした。プレーエリアが広がり、つかまえづらくもなっている。この男に自由を与えるとどんな目に遭うか、改めて言うまでもない。

チェルシーのフランク・ランパード監督が豊富な戦力を持て余しているため、選手の配置を予想するのは難しい。

ただ、籠城が決定的なトッテナムだからといって前がかりになりすぎると。裏を突かれる。ソン・フンミンは素早く、ケインは狡猾で、なおかつ決定力が高い。

全体的なバランスを整える意味でも、守備意識が高く、幅広いエリアをカバーできる エンゴロ・カンテ に適した陣形、そう、4-2-3-1で挑むべきではないだろうか。

縦の推進力に欠ける彼を4-3-3の右インサイドハーフに起用しても、特性が薄れるだけだ。

現実主義者ではなく理想追求型

「現実主義者と選手層」

イングランドのメディアが、今シーズンの趨勢を見極めるポイントにこの2点を挙げていた。コロナ禍と過密日程のなかでは、理想よりも現実を追い求めるタイプの監督が勝利をつかみ、豊富な選手層があればさらに有利、という見方だろう。

まだ序盤戦とはいえ、モウリーニョのトッテナムが首位に立ち、グアルディオラのシティが11位という現状も、メディアの指摘を如実に表している。

ランパードは現実主義者ではない。どちらかといえば理想追求型だ。しかし、グアルディオラのようなポゼッション原理主義者ではなく、 リヴァプール のユルゲン・クロップ監督、 レスター を率いるブレンダン・ロジャーズ監督のように、理想と現実の使い分けができるほどの経験はない。3年足らずの監督キャリアでは当然だ。

しかし、一日も早く方向性だけは決めるべきだ。

リヴァプールやシティより選手層が薄いトッテナムがなぜ首位を走っているのか、どうしてグアルディオラが高く評価するのか。

かつての師でもあるモウリーニョを、ランパードはつぶさに観察しなくてはならない。

文・粕谷秀樹

1994年、日本スポーツ企画出版社刊の『ワールドサッカーダイジェスト』編集長に就任。その後、同社の編集局次長を務め、01年に独立。以降、プレミアリーグやチャンピオンズリーグ、情報番組、さらに月平均15本のコラムでも、エッジの利いた発信を続ける。東京・下北沢生まれ。

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