チーム情報
ジャンピエロ・ヴェントゥーラ率いるアッズーリがロシア・ワールドカップ(W杯)予選プレーオフでスウェーデンに敗れ、60年ぶりに本大会出場を逃したのは2017年秋のこと。元指揮官とイタリアサッカー連盟による“責任のなすりつけ合い”は、その後しばらく続いて泥沼化した。
そんな中で誕生したロベルト・マンチーニ政権は「悲劇」とも言える当時の状況を劇的に好転させた。
ギリシャやフィンランド、ボスニア・ヘルツェゴビナと同居したEURO2020予選は10戦全勝。UEFAネーションズリーグではオランダやポーランドに一度も土をつけられることなく決勝ラウンドに進出し、気がつけば、2018年10月に始まった無敗記録は「20」にまで伸びた。しかも、「16勝4分」というその内訳から、ひと昔前までの“守り抜くアッズーリ”とはまるで別人であることがよくわかる。
アッズーリを率いるようになってからというもの、監督としてのマンチーニは驚くほどアグレッシブなスタイルを貫いている。基本システムは4-3-3で、就任からの約1年で18名もの“代表デビュー”を実現。そうしてチーム内競争をあおりつつ、適材適所を模索しながら緩やかな世代交代を同時進行した。
理想とするのはポゼッションによる主体的なボール支配とハイプレスによる即時奪回だが、場合によってはリトリートして構え、カウンターでも仕留められる「臨機応変」の質を丁寧に磨き上げてきた。その結果、強い攻撃的志向を持ち、クリエイティブで、若く、よく走る新生アッズーリが誕生した。
最終ラインにはレオナルド・ボヌッチやジョルジョ・キエッリーニ、前線にはチーロ・インモービレやロレンツォ・インシーニェら常連のベテラン組も顔を並べるが、チームの成否を左右するのはアグレッシブなスタイルを具現化する20代前半のヤングタレントだ。
22歳にして守護神の座に君臨するジャンルイジ・ドンナルンマをはじめ、24歳のニコロ・バレッラや23歳のマヌエル・ロカテッリ、フェデリコ・キエーザ、そして現在はケガで離脱しているニコロ・ザニオーロ(21歳)など、近年のイタリアでは有望な若手が急速に力をつけ始めている。代表でマンチーニが用意した“座席”が、彼らの急成長を促したことは間違いない。
2021年2月、指揮官マンチーニは出演したテレビ番組で2022年カタールW杯終了後の退任を発表した。“1年半後”を本番に見据えた若手積極起用の強化プランは、今のところ、あまりにも順調に進んでいる。
大黒柱:ニコロ・バレッラ
基本技術レベルの高さに加え、フィニッシュに絡むセンスと90分間ファイティングポーズを取り続けられる闘争心、さらに圧倒的な運動量は現代サッカーの心臓を担うMFとして理想的な資質。セリエAで首位を快走するインテルでは代えの効かない選手としてチームの快進撃を牽引する。
期待の若手:フェデリコ・キエーザ
最大の武器は独力で局面を打開する突破力と、名アタッカーだった父エンリコ譲りのフィニッシュワーク。前線でも中盤でも左右両サイドをこなす万能性があり、起用法も幅広い。今季は加入1年目のユヴェントスですでにエース格のパフォーマンスを見せている。
2021年3月W杯予選の招集メンバー
Pos | 名前 | 生年月日 | 所属クラブ |
---|---|---|---|
GK | アレッシオ・クラーニョ | 1994/6/28 | カリアリ |
ジャンルイジ・ドンナルンマ | 1999/2/25 | ミラン | |
アレックス・メレト | 1997/3/22 | ナポリ | |
サルヴァトーレ・シリグ | 1987/1/12 | トリノ | |
DF | フランチェスコ・アチェルビ | 1988/2/10 | ラツィオ |
アレッサンドロ・バストーニ | 1999/4/13 | インテル | |
クリスティアーノ・ビラーギ | 1992/9/1 | フィオレンティーナ | |
レオナルド・ボヌッチ | 1987/5/1 | ユヴェントス | |
ジョルジョ・キエッリーニ | 1984/8/14 | ユヴェントス | |
ジョヴァンニ・ディ・ロレンツォ | 1993/8/4 | ナポリ | |
エメルソン・パルミエリ | 1994/8/3 | チェルシー | |
ジャン・マルコ・フェラーリ | 1992/2/15 | サッスオーロ | |
アレッサンドロ・フロレンツィ | 1991/3/11 | PSG | |
マヌエル・ラッザリ | 1993/11/29 | ラツィオ | |
ジャンルカ・マンチーニ | 1996/4/17 | ローマ | |
レオナルド・スピナッツォーラ | 1993/3/25 | ローマ | |
ラファエル・トロイ | 1990/10/10 | アタランタ | |
MF | ニコロ・バレッラ | 1997/2/7 | インテル |
ガエターノ・カストロヴィッリ | 1997/2/17 | フィオレンティーナ | |
ブライアン・クリスタンテ | 1995/3/3 | ローマ | |
マヌエル・ロカテッリ | 1998/1/8 | サッスオーロ | |
ロランド・マンドラゴーラ | 1997/6/29 | トリノ | |
ロレンツォ・ペッレグリーニ | 1996/6/19 | ローマ | |
マッテオ・ペッシーナ | 1997/7/21 | アタランタ | |
マッテオ・リッチ | 1994/5/27 | スペツィア | |
ステファノ・センシ | 1995/8/5 | インテル | |
ロベルト・ソリアーノ | 1991/2/8 | ボローニャ | |
マルコ・ヴェッラッティ | 1992/11/5 | PSG | |
FW | アンドレア・ベロッティ | 1993/12/20 | トリノ |
ドメニコ・ベラルディ | 1994/8/1 | サッスオーロ | |
フェデリコ・ベルナルデスキ | 1994/2/16 | ユヴェントス | |
フランチェスコ・カプート | 1987/8/6 | サッスオーロ | |
フェデリコ・キエーザ | 1997/10/25 | ユヴェントス | |
ステファン・エル・シャーラウィ | 1992/10/27 | ローマ | |
ヴィンチェンツォ・グリフォ | 1993/4/7 | フライブルク | |
チーロ・インモービレ | 1990/2/20 | ラツィオ | |
ロレンツォ・インシーニェ | 1991/6/4 | ナポリ | |
モイーズ・キーン | 2000/2/28 | PSG | |
監督 | ロベルト・マンチーニ | 1964/11/27 | 国籍:イタリア |
イタリアの試合日程
イタリアvs北アイルランドの見どころ
ドイツと並んで2番目に多い4度のW杯優勝を誇るイタリア。2018年ロシアW杯に向けた欧州予選では、1958年大会以来となるまさかの敗退を喫したが、雌伏の時を終え、再び世界の頂点を目指して歩み始める。今回の代表ウィークでは、チーロ・インモービレやマルコ・ヴェラッティら主力を順当に招集。FIFAランキング10位のイタリアは、格下である45位の北アイルランドとの初戦で、完全復活の雄叫びをあげることができるだろうか。
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