圧巻のパフォーマンスを披露した清水戦
笑顔、笑顔、笑顔に染まったスタジアムで、ピッチにはひときわ輝く笑顔があった。リーグ中断期間が明けて以降、ノエビアスタジアム神戸では初となった″有観客″試合のヒーローは、2得点1アシストの大暴れを見せた神戸FW古橋亨梧だ。
18日の明治安田生命J1リーグ第5節・清水エスパルス戦で、圧倒的な躍動感を披露した神戸の背番号11。MFアンドレス・イニエスタの左CKを頭で合わせた先制点、同じくイニエスタのスルーパスを起点とした圧巻の崩しを完成させたチーム3得点目。さらに、古巣戦のFWドウグラスに“恩返し”弾を決めさせたアシストも絶品で、柔らかく正確なパスは、古橋というプレーヤーの非凡なセンスを証明するラストパスだった。
古橋は試合後のヒーローインタビューで、観客席、そして全国へ向けてメッセージを発信した。
「ホームに来てくださった皆さんもそうですし、DAZNで見てくださっている皆さんもいるので、その人たちの前で勝てたことは本当に嬉しいです」。
徹頭徹尾の笑顔で応じたFWは、感謝の言葉にさらなる活躍への誓いを込めていた。
自ら志願して背負った11番の重み
今シーズンの古橋は、最高の滑り出しを切っている。公式戦初戦だった富士ゼロックススーパーカップ・横浜F・マリノス戦で幸先よくゴールを決め、PK戦の末に今季初タイトルを獲得する一助を成すと、初陣となったAFCチャンピオンズリーグでも躍動感を強めていく。
ホームで迎えたグループリーグ第1節、ジョホール・ダルル・タクジム戦でゴールを挙げ、続く敵地での第2節・水原三星戦では試合終了間際に劇的な決勝弾。リーグ開幕戦だった横浜FC戦でも後半、ドローに持ち込むゴールを決めて公式戦4試合連続得点を記録した。
昨季まで背番号16を着けていた古橋は、今季から自ら志願して11番に。神戸ではFW三浦和良(現・横浜FC)や2016シーズンに神戸初のJ1得点王に輝いたレアンドロ(現・東京V)らが背負った伝統的にも重要なナンバーだ。
「素晴らしいチームで11番を着けることは相当なプレッシャーがあると思うけど、それを背負って、そのプレッシャーに負けないプレーをできたら」と自らに重圧をかけてまで今シーズンをスタートさせた古橋。見事に結果を伴わせる25歳に多くの人が釘付けになっている。
J2のFC岐阜で5試合連続得点を記録し、注目度を高めていた古橋が神戸に“個人昇格”したのは2018年8月のこと。移籍当初から先発起用され、当時の指揮官だった吉田孝行監督やフアン・マヌエル・リージョ監督に重宝された。特にシーズン終盤にはリージョ監督にワントップでも起用され、チーム戦術の幅を広げる汎用性の高さも証明。この間、「出場させてもらっている以上、自分は得点を取らないといけない」と絶えず口にしていた古橋は、期待とプレッシャーから逃げず、イニエスタら高質なプレーヤーと共闘する中で、自らの役割を強く受け止め、さらなるスキルアップを直視していた。
その年はリーグ戦出場13試合5得点という十分な数字を残し、迎えた2019シーズンが大きな飛躍の年になったことは記憶にも新しいところ。31試合に出場、2桁得点を達成。秋には日本代表に初招集され、ベネズエラ戦でデビュー。今年元旦には天皇杯決勝・鹿島アントラーズ戦に先発出場し、クラブ初タイトルの獲得にも大きく貢献した。25歳が描き出す成長曲線は、岐阜や神戸のサポーターなど彼を応援する人に留まらず、日本サッカーの未来に想いを描く人をも引き込む大きな魅力に満ちている。
タイトル獲得へG大阪戦でもチームの勝利に貢献を
新型コロナウィルスによる中断を余儀なくされ、いよいよリーグ再開のめどが立った6月初頭。古橋は今シーズンにかける思いを改めてこう口にしていた。
「一戦一戦大切にして、全員で力強く勝てたらなと思う。僕たちはサッカーで皆さんに元気を与えられるように精いっぱいプレーで返したい。連戦が続くけど、このチームには素晴らしい選手がいっぱいいるので、どの選手が出ても勝てるという自信はある。個人としての目標は、やはり得点王を目指したいし、アシストも1位を目指したい。チームとしてのアジアNo.1だったり、Jリーグでタイトルを獲りたい。そのために、チームのために働けたらいい」
前節・セレッソ大阪戦は、互いのディフェンスの集中力が最後まで落ちず、スコアレスドロー。ただ、古橋は随所に持ち味のカットインや鋭い動き出しでゴールに迫るシーンを見せ、変わらぬ献身性で守備にも多大な貢献を果たした。
今節対戦するG大阪には実力あるFWが居並ぶが、イニエスタやドウグラス、DF酒井高徳やMFセルジ・サンペールら質の高い選手と高次元で連係し、個でも打開できる古橋が再びヒーローの座を射止めることは決して低い確率ではないだろう。舞台は、およそ1週間前に神戸サポーターに歓喜を呼び起こしたノエスタだ。野心がたぎる背番号11の、デジャブともなる笑顔を目撃したい。
文・小野慶太
2011年からサッカー専門新聞「エルゴラッソ」でヴィッセル神戸を担当。精力的に現地取材を行い、神戸の今を届けている。
明治安田生命J1リーグ第7節 放送予定
日時 | 対戦カード | 会場 | 放送予定 |
---|---|---|---|
7月26日(日)13:05 | 北海道コンサドーレ札幌 vs 横浜F・マリノス | 札幌ド | DAZN NHK札幌 |
7月26日(日)18:00 | 横浜FC vs 浦和レッズ | ニッパツ | DAZN |
7月26日(日)18:00 | 清水エスパルス vs 大分トリニータ | アイスタ | DAZN |
7月26日(日)18:00 | サンフレッチェ広島 vs 名古屋グランパス | Eスタ | 延期 |
7月26日(日)18:30 | 鹿島アントラーズ vs FC東京 | カシマ | DAZN |
7月26日(日)19:00 | 柏レイソル vs ベガルタ仙台 | 三協F柏 | DAZN NHK BS1 |
7月26日(日)19:00 | 川崎フロンターレ vs 湘南ベルマーレ | 等々力 | DAZN |
7月26日(日)19:00 | ヴィッセル神戸 vs ガンバ大阪 | ノエスタ | DAZN |
7月26日(日)19:00 | サガン鳥栖 vs セレッソ大阪 | 駅スタ | DAZN |
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