8月26日、FIFAカタール・ワールドカップ2022アジア最終予選の9月シリーズに臨むメンバーが発表された。
2日のホーム・オマーン戦(大阪)、そして新型コロナウイルスの影響で中立地・ドーハ(カタール)で行われることになった7日のアウェイ・中国戦と、最終予選らしい緊張感の伴う試合がいきなり立て続けにやってくる。
ここから厳しい最終予選を戦っていく上で、注目のポジションとして挙げられるのがボランチだ。
今回、MF柴崎岳が昨年11月の欧州遠征以来の代表復帰を果たしたが、今年に入ってから台頭してきたその他有力勢も多く、今後誰がチームの重心を担うキーマンとなるのか。チーム全体の顔ぶれを見ながら、その注目ポジションに迫る。
森保ジャパンは、いよいよワンチームへ
今回の代表発表、サッカーファンやメディアの注目は“オリンピック代表経由、A代表行き”の切符をどれだけの選手がつかめるか、だった。
今夏日本国民を熱くさせたオリンピックメンバーの中から選出されたのは9名。そこにはオーバーエージ枠でプレーしたDF吉田麻也、DF酒井宏樹、MF遠藤航の既存の主力勢が当然含まれ、またMF久保建英やMF堂安律らすでにA代表を経験する選手も5名に上った。つまり、純粋な初選出はGK谷晃生の一人にとどまった。
通常、オリンピックとワールドカップは2年間隔であり、前者を戦い終えた23歳以下の選手たちが、後者を目指してA代表入りにチャレンジするには2年の時間が残される。ところが新型コロナウイルスは世界のサッカーカレンダーにも大きな影響を及ぼし、東京オリンピックが1年延期開催となったことで、来年のカタール・ワールドカップとの間隔はたった1年強に縮まった。
森保一監督は、今回のメンバー発表会見でも繰り返した「ワンチーム・ツーカテゴリー」という概念で代表チームを運営してきた。
一人の指揮官がA代表とオリンピック代表を司ることで生まれる統一的指導をメリットにするべく、招集実績や将来性のある選手を「ラージグループ」ととらえ、そこから二つの代表チームに振り分けてきた。そしてオリンピックを終えた直後に迎えるこの真剣勝負の舞台で、二つの集団は本格的にワンチームへと結合する。
柴崎の復帰と、好調なその他のボランチ勢
今回の招集メンバーで注目ポイントになったのは、オリンピック組の選手ではなく、むしろ経験豊富な柴崎岳の復帰だった。
あらためて、森保監督の柴崎への信頼は絶大だ。指揮官が目にした成功体験として、コーチとして参戦した2018年のロシア・ワールドカップがある。そこでボランチのレギュラーとしてプレーし、攻撃のタクトを揮った柴崎を高く評価。森保ジャパンがスタートして以降、戦術面と精神面の両方で長らく中心となってきたMF長谷部誠が抜けた穴を、CBの吉田とボランチの柴崎をチームの中軸に据えることで埋めようとしてきた。これまでもチーム戦術について選手とひざを突き合わせて話す際、必ず吉田と柴崎には意見を聞き、彼らの声に耳を傾けてきた。
ただ、その一方、柴崎個人のパフォーマンスは、ここのところ代表では際立ったプレーを見せることはできていない。直近の招集となったのは昨年11月。パナマとメキシコとそれぞれ戦った欧州遠征では、パスミスや消極的選択が目立つなど本来のプレーメーカーぶりは発揮できなかった。
対照的にその遠征で一気に存在感を上げたのが、遠藤である。今回の東京オリンピックでも、ドイツ・ブンデスリーガで“デュエル王”となったそのハードワークぶりは出色だったが、A代表では小気味よい縦パスを入れるなど攻撃面でも成長の跡を見せた。本来は柴崎に求められる仕事を、守備が特長だった遠藤が担う。この逆転現象もまた印象的だった。
さらに2021年に入り台頭してきたのがMF守田英正だ。今年1月にポルトガルへと渡り、昨年まで川崎フロンターレで培ってきた戦術眼と守備強度に加え、いまではダイナミックな攻撃参加も武器にする。また東京オリンピックではCBとボランチの両方でフル稼働したMF板倉滉も今回メンバー入り。彼ら二人が、最近のA代表とオリンピック代表において説得力のあるプレーと結果を残している事実は見逃せない。
田中碧も控えるボランチ争いは、最過熱スポットに
そして、今回選外にはなったが、柴崎と同じプレーメーカータイプとして挙げられるのがMF田中碧である。
森保監督は会見で「オリンピックを振り返ったときにこのメンバーに選ばれてもおかしくない選手はいますし、選ぼうかと思った選手もいましたが、本人のコンディションやクラブでの日常も考えて今回の選考になりました」と語っている。今夏ドイツ2部のデュッセルドルフに移籍したばかりの田中がそれに当たるかについて指揮官は明言していないが、彼のオリンピックを含めたここ最近のパフォーマンスを見れば、近い時期にA代表の中盤に君臨する日が来る可能性は高い。
ここまで森保ジャパンの中核として存在していた柴崎。吉田とともにチーム全体をマネジメントする力や経験は申し分ない。
だからこそ注目は、そのプレーパフォーマンス。彼が不在の間、ボランチにはアピールに成功した選手たちが数多く存在し、ライバルはひしめいているだけに、柴崎を中心にしたボランチの熾烈なポジション争いが、最終予選を戦う日本のホットスポットとなる。
文・エル・ゴラッソ日本代表担当 西川結城
サッカー専門新聞『EL GOLAZO』の日本代表担当記者兼、事業開発部統括マネージャー。過去に名古屋、川崎F、FC東京担当を歴任。名古屋担当時代に本田圭佑や吉田麻也を若い時代から取材する機会に恵まれる。その他雑誌『Number』や新聞各紙にも寄稿する。
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W杯アジア最終予選|試合日程・配信/放送予定
日本代表のホームでは、地上波(テレビ朝日)とDAZNが同時に中継・配信を行うが、アウェイではDAZNが独占配信。なお、DAZNでは2チャンネル同時ライブ配信が行われる。
2021年9月2日(木)日本 vs オマーン
森保一監督率いる日本代表は、9月2日にオマーン、6日に中国と2022 カタール・ワールドカップアジア最終予選の2試合に臨む。
アジア二次予選を全勝で終えた日本代表は、来月からついに2022年のカタールW杯に向けた最終予選に臨む。FIFAランキングではアジア最上位の日本だが、決して簡単な試合がないことは、これまでの予選を見ればわかること。最高の準備を進めて、最終予選に挑もうとしている。 今月上旬まで開催されていた東京五輪に参加していた選手からは、吉田らオーバーエイジ組と大会で大きな活躍を見せたMF久保建英らがメンバー入り。欧州で鮮烈なデビューを飾ったFW古橋亨梧らも順当に選出され、湘南ベルマーレのGK谷晃生が初招集となった。
日本との対戦に備え、オマーンは1ヶ月に渡る欧州合宿を行っており万全を期して日本と対峙する。そのオマーンを指揮するのは、1998年W杯でクロアチア代表コーチ、2005年にはイラン代表監督としてW杯最終予選で日本を倒したことのあるブランコ・イバンコビッチ監督。どこも難敵ばかりの最終予選だが、初戦から侮れない相手と日本は対戦することになる。
【18:40配信開始】DAZNメインチャンネル
メインチャンネルの解説には戸田和幸氏、ゲストに岡田武史氏を迎え、キックオフ30分前から試合前の情報を詳しく紹介。試合後には選手、監督のインタビューや、試合の振り返りなどを配信する。
【18:55配信開始】DAZN裏チャンネル:『憲剛・岩政の裏チャンネル』
裏チャンネルでは、中村憲剛氏と岩政大樹氏による『憲剛・岩政の裏チャンネル』を配信。会場にDAZN専用特設カメラ(戦術カメラ)を設置して、ゴール裏から俯瞰した映像で日本の攻撃・守備に焦点を当てて解説する。一画面で複数の映像を同時に視聴できるマルチビューを駆使し、中村憲剛氏と岩政大樹氏による独自の視点で試合をより広く、深く、面白く分析するほか、ハーフタイムには普段の中継ではあまり見ることのできないサブメンバーのウォーミングアップの姿も伝えられる。
2021年9月7日(火)中国 vs 日本
メインチャンネルの解説を中村憲剛氏、ゲストには再び岡田武史氏が登場。
裏チャンネルでは『やべっちスタジアム』でメインパーソナリティを務める矢部浩之氏(ナインティナイン)、『内田篤人の FOOTBALL TIME』でMCを務める内田篤人氏のコンビによる『やべっち・内田の裏チャンネル』が配信される。
開催日 | 試合 | 配信・放送予定 | |
---|---|---|---|
MD1 | 2021年9月2日(木) | 日本 vs オマーン | DAZN テレビ朝日 |
MD2 | 2021年9月7日(火) | 中国 vs 日本 | DAZN |
MD3 | 2021年10月7日(木) | サウジアラビア vs 日本 | DAZN |
MD4 | 2021年10月12日(火) | 日本 vs オーストラリア | DAZN テレビ朝日 |
MD5 | 2021年11月11日(木) | ベトナム vs 日本 | DAZN |
MD6 | 2021年11月16日(火) | オマーン vs 日本 | DAZN |
MD7 | 2022年1月27日(木) | 日本 vs 中国 | DAZN テレビ朝日 |
MD8 | 2022年2月1日(火) | 日本 vs サウジアラビア | DAZN テレビ朝日 |
MD9 | 2022年3月24日(木) | オーストラリア vs 日本 | DAZN |
MD10 | 2022年3月29日(火) | 日本 vs ベトナム | DAZN テレビ朝日 |
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