この夏、バルセロナから24歳の若者が、イングランドのリーズへ挑戦の場を移した。
元スペインU-21代表DFジュニオル・フィルポ。2019年にベティスからバルセロナに移籍した当時は"ジョルディ・アルバの後継者"と目されたスペイン人DFは、その牙城を崩せずイングランドに活躍の場を移すことを決断した。
「良いことより悪いことのほうが多かった」
リーズから契約の打診があった際には、新たなチャレンジをすべき時がきたと本人も迷わなかった。
「言える立場ではないけれど、あまり良い2年間じゃなかったのは確かだ」と『DAZN(スペイン版)』の独占インタビューに応じたフィルポは、ブラウグラナ(バルセロナの愛称)での日々についてこう答えた。「良い時も悪い時もあった。だけど良いことより悪いことのほうが多かったね」
「自分に嘘をつけないタイプ。もし何か違うことをしてしまっていたら、それに気がつくのも、言うのも怖くはない」
「結局バルセロナには2年間いたけれど、そういうチャンスを得られる選手はそう多くはない。自分にとっては少し早すぎたのかも。もう少しベティスで長くプレーしても良かったかもしれない。ジョルディ・アルバは31歳。ホアキン(40歳)ではないけれど、彼ほどの年齢であればあれだけのことを成し遂げられたんだと、考えればわかると思う」
「(バルサへの移籍は)焦って決めたというわけではない。今でも同じ決断をしていると思う。バルサやレアル・マドリーのようなビッグクラブのオファーを断ることはとても難しい。けれど、結局バルサでの2年間は最高とはいかなかった」
「一番心配なのは寒さ」
リーズの選手としてすでに意識を集中しているフィルポ。イングランドでプレーすることは、「サッカーの楽しみ」と向き合うことのできる素晴らしいチャンスであると捉えている。
「プレミアリーグでプレーできる事はとても良い機会。このリーグでは簡単な試合なんて一つもない。どんなリーグでも1部リーグともなれば、簡単な試合はないけれども、ここではどのチームが優勝しそうなのかまったくわからないんだ。確かにマンチェスター・シティは最近いい成績をあげているけれど、リーグ優勝の可能性があるチームは6つくらいある。それに加えて、スタジアムにも満員のお客さんが戻ってくる。そうなれば選手もたくさん集まってくるはず」
「今一番心配なのは、寒さ(笑)。僕はとても寒がりなんだ。今日はみんな短パンをはいているけれど、僕はもうトレーナーを着込んでる。脚が冷え切ってしまってプレーに悪い影響があるかもしれない」
「プレミアリーグではラ・リーガよりスペースが多い。下がって試合の成り行きを見守るチームはほとんどないんじゃないかな。最初から試合を作りに行くし、全力で走るからスペースもできる」
「僕はトランジションが得意な選手だ。それが僕の最大の長所。特に攻撃面では、そういったタイプの試合に適応するのは他の人と同じくらい代償が大きいだろうけど、そんなに大きな変化ではないと思っている」
「フットボールにまた恋をする。それが僕の挑戦だ」
バルセロナで2年を過ごしたフィルポは、エランド・ロード(リーズの本拠地)で旋風を巻き起こしたいと思っている。
「正直に言えば、今の目標はサッカーに再び恋をすることなんだ。僕はもう2年を費やしてしまったからね。どれほどひどい期間だったとか言うつもりはないよ。家に帰れば家族や子供がいるからね。でもサッカーの面では、少しの間何もしたくないと思っていた。勝ちたいとも思わなかったし、以前はいつだって楽しんでやっていたのに、楽しもうとも思わなくなった。サッカーでいつも追い求めていたことは、楽しむことだ。でも、今それほどサッカーに熱を燃やせていないんだ」
「サッカーに情熱を傾けられていないんだ。プレーすることに自分の人生を捧げているけれど、試合を見るのはあまり好きじゃない。飽きてしまって他のことを選んでしまう」
「2つ目の目標は、毎試合100%を出し切りベストを尽くすこと。このプレースタイルで僕は得点も、他の総合的な結果も残すことができると思う。スタートをうまく切れるかはやってみないとわからないが、最近契約したときに『ここはベティススタイルだよ』と言ってくれたファンたちと一緒に欧州の大会に参加することができれば素晴らしいね」
「バルサでの2年間以上に自分のプレーの録画を見ている」
フィルポは今回の冒険で様々な挑戦をしている。新たな国や初めて触れるサッカー哲学に身を投じたこともそうだが、マルセロ・ビエルサというカリスマ性を持った監督の下に身を置くこともフィルポにとってはチャレンジだ。
「戦術や動き方についてこれまでたくさんのことを耳にしてきた。でも今やっていることとは全然違うんだ」
「ビエルサがとても気にしている点は、フィジカル。ここで鍛えられれば、これまでになかったフィジカルを身につけられると思う。タフなサッカーだけど、それは僕らにとってだけでなく、対戦相手にとってもそうなんだ。レベルの高い選手であっても、人を背負って90分間プレーするような状態になって、まったく息がつけなくなったらどうだろう。想像もしたくないね。僕たちを相手に戦うのはそれほど難しいはずだ。保証するよ」
「ここに来てからまだ2週間しか経っていないけれど(編集部注※このインタビューは開幕前に行われた)、バルサにいた2年間で見た量よりも、もっとたくさんのプレー録画を見たよ。自分のプレーを見ながら、どうプレーしてほしいか、とても細やかに説明してくれるんだ。それぞれの状況でどういう対応をしないといけないのか、とか、教え方を知っている人たちだ。とても興味深いし、他とは全く違うやり方だ」
「僕には2人の子供がいる。利発な子どもたちだし、イングランドの文化は教育の面でもとてもいい環境だと思う。全ての条件が揃っていた。このプロジェクトを僕に見せてくれたとき、ヴィクトール・オルタ(リーズのスポーツディレクター)が僕を呼んでくれた最初の日から、僕がリーズを選ぶようにしてくれたんだ。基本的に彼のおかげだね」
ジュニオル・フィルポの夢:ベティスでタイトルを獲る
フィルポは古巣ベティスに強い関心を持ち続けていることを隠そうとしない。
彼がヴェルディブランコ(ベティスの愛称)に加入したのは少年の頃。まだ自身がプロ選手になれる確信はなかった頃だ。だがカンプ・ノウを経て異彩を放つ選手になることができた。
バルサからの勧誘を断ることは不可能だったというが、セビージャにはまだ口座を解約せずに残してあるのだという。
「いつかはベティスに戻りたい。そう思っているよ。だけど、ベテランになってから帰るのはいやだな。ベティスでタイトルを獲れればベストだ」
「嘘をつくつもりはない。少年時代にベティスで撮った写真があるわけじゃない。子供のころベティスに住んでいたわけじゃないからね。実際サッカーが好きではなかったし、父親から友達を作るように言われたくらいだ。だけど、ベティスで過ごした4、5年は説明できないくらいの経験で、心の中に残り続けている。クラブが僕にしてくれたことや、ファンのこと…バルサに行ってからもずっと心に残っていたよ」
「だから、今でもベティスでタイトルを獲れれば最高だと思っている」
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