チーム情報
3年前のロシア・ワールドカップ(W杯)で史上初のグループリーグ敗退を喫したドイツの立場は、「追われる側」から「追う側」に変わった。2018年6月に1位だったFIFAランキングは、現在13位まで下がっている。
ロシアW杯後、ヨアヒム・レーヴ監督は戦術の変更と世代交代を実施。スペインを模範としたポゼッションサッカーからよりインテンシティやトランジションを重視したスタイルへの切り替えを図りながら、19年3月に突如としてベテランのトーマス・ミュラー、マッツ・フンメルス、ジェローム・ボアテングに構想外を言い渡した。
その後、オランダと同組だったEURO2020予選を7勝1敗の首位で突破。再び上昇気流に乗るかと思われたが、2020年11月に歴史的な大失態を演じる。UEFAネーションズリーグでスペインに0-6の大敗を喫したのだ。同大会で隣国スイスと2分けに終わるなど、スペイン戦以外も低調だったチームが批判の集中砲火を浴びたのは言うまでもない。
21年3月にはカタールW杯まで契約を残していたレーヴ監督の退任(今夏のEURO2020終了後)が決定。06年W杯終了後から続く長期政権の最終章に突入した。
戦力に目を向ければ、とりわけDF陣に目ぼしいタレントが見当たらない。CBとウイングバック(サイドバック)に真のワールドクラスは皆無で、レーヴ監督はここにきてフンメルスやボアテングの復帰(EURO直前に)を示唆している。
MFイルカイ・ギュンドアンがマンチェスター・シティで充実ぶりを示しているのは朗報だが、それぞれのポジションにおける第一人者と称せるのはGKマヌエル・ノイアー(バイエルン)、セントラルMFのヨシュア・キミッヒ(バイエルン)とトニ・クロース(レアル・マドリード)くらい。
ティモ・ヴェルナーやカイ・ハヴェルツ(ともにチェルシー)、レロイ・サネ(バイエルン)ら肝心の"次世代"が思うように伸びていない前線には、クラブで眩い輝きを放っている「ミュラーを復帰させよ」という声が根強く残っている。
レーブ政権はEUROで大団円を迎えられるか。その試金石となる3月のカタールW杯予選では、アイスランド、ルーマニア、北マケドニアと対戦する。いずれも簡単な相手ではないが、EUROで同組の現世界王者(フランス)と欧州王者(ポルトガル)を破るには、ここで躓いている場合ではない。
大黒柱:ヨシュア・キミッヒ
右足の卓越したキックで攻撃のスイッチを入れるだけでなく、プレースキックやミドルで崩しにも関与。持ち前のキャプテンシーで周囲を鼓舞する近未来のキャプテンだ。
"6冠王者"バイエルンに欠かせないキーマンの26歳は、ドイツ代表でも主将ノイアーと並ぶ絶対的な存在になっている。結果が覆ったとは考えにくいが、スペイン戦で大敗した際にこの男が怪我でピッチにいなかったことは事実だ。
期待の若手:フロリアン・ヴィルツ
同じ2003年生まれのジャマル・ムシアラ(バイエルン)とともに、21年3月に初招集を受けたインサイドハーフの俊英。年齢離れした状況判断力に加え、水準以上のパスやドリブルの技術を兼ね備え、レヴァークーゼンでは中心選手として活躍している。
停滞気味のチームにフレッシュな風を吹き込み、一気にEURO本大会へのエントリーを勝ち取る可能性もなくはない。
2021年3月W杯予選の招集メンバー
Pos | 名前 | 生年月日 | 所属クラブ |
---|---|---|---|
GK | ベルント・レノ | 1992/3/4 | アーセナル |
マヌエル・ノイアー | 1986/3/27 | バイエルン | |
マルク・アンドレ・テア・シュテーゲン | 1992/4/30 | バルセロナ | |
ケヴィン・トラップ | 1990/7/8 | フランクフルト | |
DF | エムレ・ジャン | 1994/1/12 | ドルトムント |
マティアス・ギンター | 1994/1/19 | ボルシアMG | |
ロビン・ゴセンス | 1994/7/5 | アタランタ | |
マルセル・ハルステンベルク | 1991/9/27 | ライプツィヒ | |
ルーカス・クロスターマン | 1996/6/3 | ライプツィヒ | |
フィリップ・マックス | 1993/9/30 | PSV | |
アントニオ・リュディガー | 1993/3/3 | チェルシー | |
ニクラス・ジューレ | 1995/9/3 | バイエルン | |
ヨナタン・ター | 1996/2/11 | レヴァークーゼン | |
MF/FW | セルジュ・ニャブリ | 1995/7/14 | バイエルン |
レオン・ゴレツカ | 1995/2/6 | バイエルン | |
イルカイ・ギュンドアン | 1990/10/24 | マンチェスター・C | |
カイ・ハヴェルツ | 1999/6/11 | チェルシー | |
ヨナス・ホフマン | 1992/7/14 | ボルシアMG | |
ヨシュア・キミッヒ | 1995/2/8 | バイエルン | |
トニ・クロース | 1990/1/4 | レアル・マドリード | |
ジャマル・ムシアラ | 2003/2/26 | バイエルン | |
フロリアン・ノイハウス | 1997/3/16 | ボルシアMG | |
レロイ・サネ | 1996/1/11 | バイエルン | |
ティモ・ヴェルナー | 1996/3/6 | チェルシー | |
フロリアン・ヴィルツ | 2003/5/3 | レヴァークーゼン | |
アミン・ユネス | 1993/8/6 | フランクフルト | |
監督 | ヨアヒム・レーヴ | 1960/2/3 | 国籍:ドイツ |
ドイツの試合日程
ドイツvsアイスランドの見どころ
世界王者として臨んだロシアW杯でグループステージ敗退を喫し、1982年から9大会連続で続いていたベスト8以上という記録が途切れたドイツ。2006年からチームを率いていたが、今年6月に行われるEURO2020を最後に退任することを発表したヨアヒム・レーヴ監督にとって、最高の形で後任に欧州予選を引き継ぐことは重要なミッションだ。初戦は極めて高いインテンシティを誇るアイスランドとの対戦となるが、順当に招集されたマヌエル・ノイアーやトニ・クロースらは、数々の栄光をもたらしてきた指揮官のためにも奮起できるだろうか。
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