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ラ・リーガ

【コラム】マドリード・ダービーを楽しむための新たな構図「マドリーの盾とアトレティコの矛」| ラ・リーガ第13節

小澤一郎
【コラム】マドリード・ダービーを楽しむための新たな構図「マドリーの盾とアトレティコの矛」| ラ・リーガ第13節(C)Getty Images
【プレビュー】日本時間13日5時キックオフのラ・リーガ第13節、マドリード・ダービーはこれまでになかった構図になりそうだ。堅守を誇るレアル・マドリードの「盾」、攻撃が進化したアトレティコの「矛」。どちらの武器が最強なのか。

最高のタイミングでマドリード・ダービーがやってきた。

コロナ禍の今季も無観客での超過密日程が続き、ビッグクラブ同士のビッグゲームほど例年のような緊張感やレベルに届かない物足りなさを感じることが多くなっているが、このダービーは例年以上のものになることが保証できる。

なぜなら、それほど両チームの状態が良いからだ。

ホームのレアル・マドリード(以下マドリー)はとにかくメンタル面でのコンディションが最高潮だ。10月のカディス、シャフタール相手の連敗に続き、11月もアラベス、シャフタールに連敗したことで「クライシス(危機)」が叫ばれ、クラブ史上初のチャンピオンズリーグ(CL)グループステージ敗退となれば、ジネディーヌ・ジダン監督の解任も噂されていた。

しかし、5日のラ・リーガ第12節セビージャ戦(1-0)、9日のCL第6節ボルシアMG戦(2ー0)に連勝。特にボルシアMG戦は今季ベストの素晴らしい内容で、一時は不可能にも見えた首位でのグループステージ突破を決めた。

危機的状況に追い込まれた中、CL3連覇の立役者たちがチームを引っ張る形でマドリーは反発力を見せた。ボルシアMG戦ではセルヒオ・ラモスが怪我から復帰し、カリム・ベンゼマが2得点、35歳のルカ・モドリッチが信じられないほどのハイパフォーマンスを披露。

11月の9節バレンシア戦でMFフェデリコ・バルベルデが負傷離脱したことで、トニ・クロースとモドリッチが出ずっぱりとなっているが、両ベテランはこの過密日程下で年齢的な衰えを感じさせないプレーを見せつけている。

わかっていても止められない驚異

一方、アトレティコ・マドリードは今季序盤におけるラ・リーガの主役。2試合未消化にもかかわらず、前節終わってレアル・ソシエダを抜いて堂々の単独首位に立っている。

開幕10試合で8勝2分け。いまだ敗戦のない唯一のチームであり、失点がわずか2と驚異的な数字を残している。

国内での好調とは裏腹に、CLでの戦いは王者バイエルン・ミュンヘンと同居したグループで最後まで苦しんだ。

バイエルン戦での力負けによって2位通過を狙う立場となったチームは、ロコモティフ・モスクワとの連続ドローにより、第6節のザルツブルク戦で負ければ敗退となる危機に陥っていた。

プレーインテンシティの高いザルツブルクに前半は何度も決定機を作られたが、堅い守備と守護神ヤン・オブラクのパラドン(スーパーセーブ)で失点を許さず。逆にセットプレーとカウンターから2点を奪い、アトレティコらしい勝利をおさめた。

その前提を踏まえた上でのこのダービーの展開予想だが、ここ数年続いてきた「マドリーの攻撃 vs アトレティコの守備」という構図が完全に逆転する試合となるだろう。

まずは今回のダービーにおけるホーム(マドリー)の利は存在しない。改修工事中のエスタディオ・サンティアゴ・ベルナベウではなく、バルデベバス練習場にあるディ・ステファノ・スタジアムでの無観客開催になるからだ。

今季も堅守が売りののアトレティコだが、大きな変化は攻撃にある。

ルイス・スアレス獲得の影響は現時点ではさほど出ていない。ただ、3バックシステムへの変更以上にコケマルコス・ジョレンテの起用法が変わったことで攻撃面での進化が顕著だ。

これまでのコケはサイドハーフかダブルボランチの一角として使われることが多かった。しかし、今季のディエゴ・シメオネ監督はビルドアップの安定性とボール支配を求めて彼をピボーテとして起用している。

守備的観点からすればリスクのある起用法だが、シメオネ監督はコケを中盤の底に据えてボールを散らす役割を担わせている。これによって今季のアトレティコはボール支配率が上がり、ビルドアップで闇雲に蹴らずに、しっかりとつなぐチームに変化を遂げた。

昨季のCLリバプール戦での大活躍を受け、その攻撃的センス、走力に目をつけたシメオネ監督は今季、ジョレンテをインサイドハーフないしトップ下で起用している。

元々守備的MFとしてボールを刈り取る能力に定評のあったジョレンテは現在、攻撃を活性化させる相手DFライン背後へのランニングやスプリントで特徴を出している。

特に右のキーラン・トリッピアーとのコンビ、崩しは今のチームの攻撃には欠かせないものとなり、相手にとってはわかっていても止められない驚異となっている。

強さ、堅さはアトレティコのお株を奪うレベルに

アトレティコのポゼッション、攻撃をどう止めるのかという課題を突きつけられることになるマドリーは、すでに前節セビージャ戦で一つの解答を見つけている。

昨季の中断明け以降、破竹の10連勝でラ・リーガ優勝を決めた時同様、3ラインをコンパクトにした堅守をセビージャ戦の後半で取り戻した。

ボルシアMG戦ではモドリッチ、クロースのインサイドハーフが前線に出ていくハイプレスを実行したが、この過密日程下では90分間続けるのは不可能。おそらく、このダービーでも序盤はハイプレスを仕掛けるだろうが、徐々に全体のラインを下げ、自陣で3ラインをコンパクトにした待受け守備をベースに戦うはず。

相手を待ち構える守備をした時のマドリーの強さ、堅さはアトレティコのお株を奪うレベルにある。対するアトレティコの幅と深さを取りながらのダイナミックな攻撃は、今やマドリー、バルセロナの追随を許さない域に達している。

加えていまだ怪我人の多いマドリーとは対照的に、アトレティコはシメオネ監督が上手く選手を使いまわしていることもあり、ラ・リーガ随一と言える選手層の厚みを持っている。

「マドリーの守備 vs アトレティコの攻撃」

これまでにはなかった構図になるマドリード・ダービーだが、互いにその持ち味を昨季から今季にかけて新たに出している。

もちろん、ベンゼマ、ヴィニシウス・ジュニオールジョアン・フェリックスルイス・スアレスというスター選手の出来、ジダン監督とシメオネ監督の采配は見どころの1つだが、純粋に今回のマドリード・ダービーはこれまでのダービーにはなかった矛盾を大いに楽しんで欲しい。

マドリーの盾は鉄壁なのか、アトレティコの矛は相手の盾を貫くのか。どちらの武器が最強なのかを見届けようではないか。

文・小澤一郎

1977年生まれ、京都府出身。サッカージャーナリスト。社会人経験を経て2004年にスペインに移住。バレンシア在住歴5年、スペインでは育成年代の指導者経験もあり。現在は、DAZNでラ・リーガ中継の解説も務める。(株)アレナトーレ所属。

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