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【連載】ピルロ率いるユヴェントスの苦戦理由は?名将カペッロが一発回答 | イタリアサッカー界の重鎮が登壇「カルチョS級講座」第8回

【連載】ピルロ率いるユヴェントスの苦戦理由は?名将カペッロが一発回答 | イタリアサッカー界の重鎮が登壇「カルチョS級講座」第8回DAZN
【インタビュー】イタリアサッカー界の重鎮がカルチョの魅力や神髄に迫る当連載。その第8回はセリエAで苦戦する王者ユヴェントスについて。名将ファビオ・カペッロがアンドレア・ピルロ監督の苦悩や低迷の理由を解説する。

ユヴェントスが厳しい戦いを強いられている。17試合を終了した現時点で、9勝6分け2敗の勝ち点33。消化試合が1つ多い首位、ミランと勝ち点10差の5位だ。

私はいま解説者を務めているから、よく聞かれるんだ。「王者ユーヴェに何が起こっているのか」とね。

低迷の理由はシンプルかつ明確。大きく分けて2つある。1つは、クラブが打ち出した方針そのものが原因だ。

昨シーズンの9連覇達成は周知のとおり。だが終盤戦はとにかく安定感に欠けたため、優勝監督のマウリツィオ・サッリを解任した。

主力の高齢化が進み、世代交代の必要性も叫ばれていた。要するに、すべてにおいて変革が必要な状況だったわけだ。

勝ち続けながら、チームの大改革を推し進める。指揮官にとって、これほど難しいミッションはない。

その大役を任されたのが、よりによって監督未経験のアンドレア・ピルロ。クラブのその判断こそが、低迷を招く発端になった。

2020-12-22-pirlo

王者の考えはもはや通用しない

当然、アンドレア自身も問題を理解した上で契約書にサインしたはず。実際、前任者のサッリとはまったく違う戦術プランを立て、DFジャンルカ・フラボッタやMFウェストン・マッケニーといった若手を積極的に起用している。

ただ改革があまりにも大がかりで、シーズンの半分近くを消化してもなお、アンドレアはいまだベスト布陣さえも描けていない様子だ。

結果、攻守のバランスをまったく見出せていないのが現状。これでは安定した戦いは望めない。

アンドレアに同情する点は多々ある。コロナ禍の影響で、昨シーズン終了から今シーズン開幕までのスパンが非常に短かったことが1つ。条件はどのチームも同じ、そう言われれば元も子もないが、アンドレアのような新米監督にとってこれは大きなハンデだったはずだ。

戦術面に大きくメスを入れたくても、開幕前にそれを落とし込むだけの時間がほとんどなかった。シーズンに突入してからも連戦続きで、トレーニングに割ける時間はごく限られている。

これではチームに新戦術が浸透するはずがない。そもそも私の目にはアンドレアが各選手の能力や特徴を完全に掴み切れていないようにも映る。

どの布陣で臨むのがベストか。いまのユーヴェは、その答えを見つけられずにいる。

一部のメディアは、「クリスティアーノ・ロナウド、フェデリコ・キエーザ、パウロ・ディバラ、デヤン・クルセフスキの同時起用は可能か?」と議論している。

彼らはみな攻撃的な選手で、ポテンシャルはチーム内でトップクラスだ。その4選手の力をどう最大限に引き出すか。同時起用になかなか踏み切れないアンドレアの采配に疑問を呈しているのだろう。

私からすれば、そんな議論はナンセンス。なぜなら選手のチョイスは、対戦相手次第で変わるからだ。

「われわれはユーヴェ。相手のことなど興味がない」

そんな王者の考えはもはや通用しない。

アンドレアを含めた現場スタッフは、対戦相手の分析をさらにしっかりと行う必要がある。その上でピッチに送り込む11人を決めるべきだ。

クリスティアーノが少し心配だ

2つ目の低迷理由を挙げる前に、少し個人についても触れよう。

気がかりな選手がいる。クリスティアーノだ。彼の実力に議論の余地はないが、年が明けてからというもの、パフォーマンスは低調そのもの。

3-1で勝った1月10日の17節サッスオーロ戦ではゴールを決めた。だが、0-2で敗れた18節インテル戦では、いないに等しいほどの存在感だった。

クリスティアーノは普段、ピッチ上でチームメイトをよく鼓舞している。ただここ数試合はそういった姿も影を潜め、チームへの関心がないように思えるほどだ。

あれほどの選手だから、今後しっかり調整してまた本来の姿に戻すだろうが、少し心配だ。

ここ数試合で言えば、ファン・クアドラードをコロナ感染で欠いたことも大きかった。彼は最近、本職のMFではなく右サイドバックで起用されることが多い。もうベテランの域に入っているが、32歳の年齢を感じさせない豊富な運動量が魅力だ。

そして何よりこのコロンビア人はチームにスピードをもたらすことができる貴重な存在だ。いるといないでは大きな違いがある。

少し逸れたが、話しを戻そう。低迷している2つ目の理由は、ミラン、インテルといったライバルの復活だ。

ユーヴェ自体のもたつきが前提としてはある。新生ユーヴェがもたつき、他に付け入る隙を与えたことは間違いない。

とはいえ、ミラノの2チームも着実に力を付けている。オフに補強をして、昨シーズンまでの戦力に上積みをもたらした。ここまでの戦いぶりを見れば一目瞭然だ。

思えば、昨シーズンまではユーヴェを脅かすようなチームはほぼ皆無だった。

散歩する感覚だった——。さすがにそれは言い過ぎだろうが、ユーヴェが100%の力を発揮せずとも勝てる試合が一定数存在した。圧倒的な力の差を見せつけ、下位チームとの対戦でほとんど取りこぼさなかった。

だから、ミランやインテルとのビッグマッチでは、チームが持つすべてのパワーを注ぐことが可能だった。

それが今季はどうか。第4節に昇格1年目のクロトーネと引き分けるなど、取りこぼしが目立つ。

これでは昨シーズンまでのように、ビッグマッチに全力を注ぐことは難しい。しかもライバルのレベルが上がっているのだから、苦戦を強いられることは必定だ。

17節のインテル戦は2点以上の差が開いていてもおかしくない完敗だった。

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その結果を受け、巷では「10連覇の可能性がさらに厳しくなったのでは?」という声が強まっている。

長丁場のシーズンで、インテルやミランとの直接対決で敗れることは当然あり得ること。従って、仮に10連覇を逸したとしても、インテル戦が決定打だったとは言い切れない。

問題はビッグマッチの結果ではない。そもそもクロトーネのようなチームと引き分けていて、優勝うんぬんを語るのは難しい。

私は現役、さらに監督としてもユーヴェに所属した経験を持っている。このクラブのことは熟知しているつもりだ。

ユーヴェが指揮官に求めるものはただ1つ。「勝つこと」だけだ。チームを勝たせられない監督に、疑問符が付くのは当然のこと。

アンドレアはアンドレア・アニエッリ会長が直々に選んだ監督だ。クラブは全力でサポートするだろう。だが今後も一向に改善しないようなら、アンドレアに内外からの批判が集中することも十分にありうる。

アンドレアにとってはここからが本当の意味での正念場となるだろう。

インタビュー:アルベルト・コスタ
翻訳・構成:垣内一之

訳者プロフィール/1998年にイタリアに移住し、約8年間、中田英寿、中村俊輔、柳沢敦ら日本人選手を中心にセリエAを取材。2006年のドイツ・ワールドカップ後に帰国し、現在は日本代表、Jリーグを中心に取材を続けている。

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