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【新連載】元日本代表監督アルベルト・ザッケローニのセリエA探究「優勝争いは例年以上に白熱する」|欧州・海外サッカー

【新連載】元日本代表監督アルベルト・ザッケローニのセリエA探究「優勝争いは例年以上に白熱する」|欧州・海外サッカー(C)Getty Images
【インタビュー】元日本代表監督のアルベルト・ザッケローニ氏が2020-21シーズンのセリエAを探究する新連載だ。第1回は10月5日にクローズした移籍市場での補強動向を踏まえ、王者ユヴェントスが本命視される優勝争いの行方を占う。

王者から圧倒的なすごみが感じられない

9連覇中のユヴェントスからどうしても話さざるを得ないですね。今シーズンもその絶対王者を中心にスクデット争いが繰り広げられるとは思います。

ただ、昨シーズン終盤は安定感を欠いていましたし、たやすく10連覇できるとは思っていません。そもそも補強に好印象がなく、攻撃陣に物足りなさを感じているのがその一番の理由です。

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私の持論では優勝するために、3人の攻撃的な選手のシーズン合計ゴール数が50~55に到達する必要があると思っています。昨季31得点のクリスティアーノ・ロナウドが健在ですが、ユヴェントスは同8得点のゴンサロ・イグアインを放出しました。

イグアインの後釜としてアルバロ・モラタを復帰させましたが、6シーズンぶりのセリエAでどれだけできるか。その他はパウロ・ディバラくらいしか挙がりません。このアルゼンチン代表FWは10ゴール前後の結果を残すでしょう。

移籍市場がクローズする直前には、フィオレンティーナからフェデリコ・キエーザを獲得しました。キエーザは若手のホープですが、そもそもアタッカンテ(FW)ではない。ゴール数もそれほど多くないし、ボールを持つと頭が下がるのが個人的に好きではないです。

パルマから獲得したMFデヤン・クルゼフスキは確かに良い選手です。あの瞬発的な速さは大きな魅力。とくにスペースがあると、彼の特徴が最大限に生きます。ただ、ビッグクラブでのプレー経験がないので、彼も未知数であることは否めません。

攻撃陣に不安材料を抱えつつも、ユヴェントスが優勝候補筆頭であることに異論はないです。とはいえ、サンプドリアとの開幕戦(〇3-1)、第2節のローマ戦(△2-2)を見た限り、以前のような圧倒的なすごみを感じられなかったのも事実。

新監督のアンドレア・ピルロが攻撃陣の整備をはじめ、今後どのようにチームを作り上げるかが、大きなポイントとなるでしょう。

対抗馬は“優勝条件”を満たすアタランタ

では対抗馬の筆頭はどこか。インテルと言いたいところですが、個人的にはアタランタに注目しています。魅力は何と言っても昨季リーグ最多の98ゴールをマークした得点力で、その強みは起用選手によって失われたりしません。チーム戦術が全体に浸透している何よりの証拠ですね。

昨季はルイス・ムリエル、ドゥバン・サパタ、ヨシップ・イリチッチの3人で計51得点。私が先ほど話した“優勝条件”もきっちり満たしています。

選手の質で言えば、ユヴェントス、インテルに劣りますが、サッカーは数字がものを言う世界。アタランタが昨季同様にゴールを量産できれば、何かが起こらないとは限りません。

インテルに関して言えば、ちょっと精神的にもろい印象を受けています。アントニオ・コンテ監督の神経質な性格が影響しているのでしょう。良いときは良いですが、ちょっと歯車が狂うとそれこそガタガタと崩壊する危険性を秘めています。

多くの選手が期待値を下回る活躍しかできていないのも、そのあたりが原因だと思います。最たる例はMFクリスティアン・エリクセン。それまで不動のレギュラーだったMFマルセロ・ブロゾヴィッチもしかり。明らかに何かがうまくいっていませんね。

レアル・マドリードからDFアクラフ・ハキミを獲得したのは良い補強と言えますが、これまでインテルで路頭に迷った選手を何人も見てきましたから、彼もそうならないかが心配です。

ハキミも含め素晴らしい選手を多く抱えてはいるので、すべてがかみ合えば優勝のチャンスはもちろんあります。

戦術面では依然として世界で最も難しいリーグ

あとは私がスクデットを獲得(1998-99)したミランにも触れないといけません。今も好きなチームなので、今季こそチャンピオンズリーグ出場圏内に入ってほしいです。それには、ズラタン・イブラヒモヴィッチへの依存体質から脱却する必要があります。

ブレッシャから獲得したMFサンドロ・トナーリに期待していますが、イブラヒモヴィッチの残留こそが最大の「補強」でしょう。ただ、彼がいないとミランはまったく別チームになってしまいます。ケガなどで不在の場合、チーム力の低下をどれだけ抑えられるかが大きな課題となるでしょう。

他に優勝争いに絡んでくるとすれば、ローマとラツィオの2チーム。なかでもラツィオは選手の質が高く、本当に強いチームです。コロナによるリーグ中断がなかったら、昨季はそれこそスクデットを獲得していたと思っています。

リーグ再開後にちょっとした混乱に陥って、結局、優勝を逃してしまいましたが、昨季の良いときの状態に戻れれば、今シーズンも優勝争いのダークホース的存在となるはずです。

ローマはエディン・ジェコ次第でしょう。希望したユヴェントス移籍が実現せず、今季どのようなモチベーションでプレーするか。彼がチーム浮沈の鍵を握っています。

個人的にとても気に入っている新戦力は、アタランタからローマに加入したDFロジェール・イバニェス。正直、あまり知らなかったのですが、守備力は高いし、ビルドアップにも長けている。ぜひ注目してほしい選手のひとりです。

ローマが昨季のラツィオのような躍進を遂げるのは、チェルシーから加入したペドロ・ロドリゲスがケガで長期離脱しているニコロ・ザニオーロの穴を埋められた場合でしょう。

戦術面で言えば、セリエAは依然として世界で最も難しいリーグのひとつ。日本のファンも学ぶことはたくさんあるはずです。

選手の質もここ数年で、また上がってきています。プレミアリーグに集結していたスター選手も、徐々にまたセリエAに来るようになりました。

今シーズンのセリエAは優勝争いも例年以上に白熱し、今まで以上に魅力的な試合が増えると思いますので、ぜひ注目してほしいです。

インタビュー:アルベルト・コスタ
翻訳・構成:垣内一之

訳者プロフィール/1998年にイタリアに移住し、約8年間、中田英寿、中村俊輔、柳沢敦ら日本人選手を中心にセリエAを取材。2006年のドイツ・ワールドカップ後に帰国し、現在は日本代表、Jリーグを中心に取材を続けている。

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