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サッカー

【コラム】2021年要注目のU-23若手ブレイク候補「ペドリはバルサとスペイン代表を引っ張る存在に」| 小澤一郎セレクト | ラ・リーガ

【コラム】2021年要注目のU-23若手ブレイク候補「ペドリはバルサとスペイン代表を引っ張る存在に」| 小澤一郎セレクト | ラ・リーガ(C)Getty Images
【コラム】2021年のラ・リーガでブレイクが期待される注目選手はだれか。1998年以降に生まれた若手プレーヤーに対象を絞り、スペインサッカーのエキスパートである小澤一郎氏が5人を選出・順位付けする。

コロナ禍での今季のラ・リーガはどのクラブも大幅な予算の削減に迫られ、開幕前の夏同様に冬の移籍市場でも財布の紐を締めるクラブが多い。

しかし、若手の積極登用が目立つシーズンともなっている。本稿執筆時点(2020年12月30日)で34名ものカンテラーノ(下部組織出身選手)がラ・リーガでデビューを飾っているのは、育成大国スペインの底力が垣間見る数字だ。

シーズン序盤に大ブレイクを果たしているヤングタレントも多いが、本稿では2021年にブレイク必至のラ・リーガのホヤ(宝石)を5名紹介しよう。

【1位】 ペドリ バルセロナ |18歳)

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まずはバルセロナで「 リオネル・メッシ のパートナー」のポジションまで掴んでしまった感のあるペドリだ。

2002年11月生まれの18歳の新星はすでにスペイン国内では知られた存在だったが、今季序盤のバルセロナでのパフォーマンスでその名は一気に世界に知れ渡った。

ただ、シーズン序盤のインパクトはスペイン代表での活躍もあって同い年の アンス・ファティ の方が大きく、ペドリはファティや アントワーヌ・グリーズマン 、フィリペ・コウチーニョといったビッグネームの次に来る脇役的存在だった。

テクニックレベルの高さや切れ味鋭いドリブルなどオン・ザ・ボールの魅力はもちろんながら、選手としての最大の特長はそのインテリジェンスにある。

ボールを受ける際のポジショニングや体の向き、守備時のプレッシングなどオフ・ザ・ボールでも違いを生み出せる選手で、すでに今季はロナルド・クーマン監督の下で2列目の3つのポジションとボランチで使われている。

また、グリーズマンやコウチーニョがいまだメッシの存在の大きさを感じるあまり自分の良さや存在を消すような消極的プレーに陥ってしまう中、ペドリはメッシに使われるのみならず使うこともできるメンタルタフネスも兼ね備えている。

メッシとクーマン監督からの信頼は厚く、2021年はバルセロナのみならずルイス・エンリケ監督率いるスペイン代表も引っ張る存在となりそうだ。

【2位】ジェレミ・ピノ( ビジャレアル |18歳)

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続いてのタレントはビジャレアルのジェレミ・ピノ。彼もまた18歳の新星でデビューから一気にビジャレアルの主力に急成長を遂げている。

サムエル・チュクウェゼ 久保建英 をベンチに追いやるほどの勢いと実力を持つピノは左サイドハーフを主戦場とするが、サイドアタッカーというイメージを覆すほどの決定力を持っている。

ここまでラ・リーガ、UEFAヨーロッパリーグ、コパ・デル・レイと3大会全てでゴール(1点ずつ)を決めていて、カットインからの右足シュートの威力と精度はラ・リーガ全体を見渡しても屈指のレベルだ。

今季序盤のビジャレアルでは ジェラール・モレノ が異次元のレベルで毎試合ハイパフォーマンスを披露しているが、数年後のピノはそのFWに肩を並べる中心になりえるタレント。プレーの強度や切り替え局面での感度も高いモダンなアタッカーで、2021年はさらにウナイ・エメリ監督から使われることになりそうだ。

ペドリ同様、スペイン代表入りも十分に期待できる逸材である。

【3位】 アンデル・バレネチェア レアル・ソシエダ |19歳)

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3人目と4人目はラ・リーガ序盤を首位で引っ張ったレアル・ソシエダから選んだ。まずは年末12月27日に19歳になったばかりのアタッカー、バレネチェアだ。

2018年の年末に16歳という若さ、クラブ史上2番目の記録でトップデビューを果たしたラ・レアルの下部組織出身のカンテラーノの武器は何といっても多彩なドリブル。

スピードに乗った直線的なドリブル突破を相手に意識させながらも、両足と緩急を使って相手の重心をずらす戦略的なドリブルができるアタッカーで、現時点でもシュートは上手い。

ラ・レアルの左サイドには絶対的なリーダーである ミケル・オヤルサバル が君臨し、右にも ポルトゥ アドナン・ヤヌザイ がいるためレギュラー定着とまではいかないが、間違いなく数年後にはレアル・ソシエダの中心選手になる逸材。

第13節のエイバル戦で強烈なシュートを決めるなどパンチ力はあるが、今後オヤルサバルのようにシュートのバリエーションを増やすことができればラ・リーガを代表するアタッカーまで成長することが可能なタレントでもある。

【4位】マルティン・スビメンディ(レアル・ソシエダ|21歳)

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一方、ラ・レアルのポジショナルプレーを司るピボーテでシャビ・アロンソ、 アシエル・イジャラメンディ の系譜を継ぐ存在がスビメンディだ。

1999年2月生まれの21歳の彼も地元ギプスコア県生まれ、12歳からラ・レアルの下部組織で育つ生粋のカンテラーノ。フィジカル面で目立った優位性はないものの、極めて優れた状況判断と冷静なプレーが持ち味のアンカーで、昨季のコロナ中断明けからは完全なるレギュラーとしてイマノル・アルグシアル監督に起用されている。

スペインU-21代表の主力ではあるが、セルヒオ・ブスケツに衰えが見え始めていることから、スペインA代表のピボーテとして招集される日も近いだろう。

【5位】 ブライアン・ヒル エイバル |19歳)

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最後に紹介するのはブライアン・ヒル。細身、華奢な体型からは想像できないエネルギーでエイバルの左サイドを牽引する彼も2001年2月生まれの19歳で、 セビージャ からのローン組だ。

プレーのインテンシティが高く、運動量も豊富で守備でのハードワークも厭わないため、ローン移籍が決まったのが10月に入ってからと遅かったが、ホセ・ルイス・メンディリバル監督の信頼を勝ち取るのも異例のスピードだった。

武器は相手に向かって仕掛けるドリブルで、抜け出し時の一瞬のスピードもあるため相手としてはわかっていても止められないドリブルだ。

スピードに乗った中でも技術がブレないためクロスの精度も高いが、エイバルのFWはキケ・ガルシア、セルジ・エンリクのように高さ勝負のタイプが多く、高速クロスに点で合わせるタイプがいない。そのため、アシストの数は多くない。ただ、武藤嘉紀とは相性が合うため、2021年は彼らによるカウンターからのホットラインの成立にも期待したい。

今すぐにセビージャに戻ってもレギュラーを掴める逸材だけに、間違いなく来季は古巣帰還となりそうだが、エイバルのサッカーとの相性も良い選手。後半戦もブライアン・ヒルのキレとブレイクには注目だ。

◆ ◆ ◆

今回は5名の選出にとどめたが2021年もラ・リーガからあっと驚くヤングタレントが彗星のごとく現れるに違いない。

コロナ禍で移籍市場での大物の獲得、ビッグディールは少ないだろうが、過密日程と5名交代のレギュレーションが逆にラ・リーガのカンテラーノたちの力を引き伸ばす効果をもたらすことになりそうだ。

※年齢はすべて2020年1月1日時点。

文・小澤一郎

1977年生まれ、京都府出身。サッカージャーナリスト。社会人経験を経て2004年にスペインに移住。バレンシア在住歴5年、スペインでは育成年代の指導者経験もあり。現在は、DAZNでラ・リーガ中継の解説も務める。(株)アレナトーレ所属。

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