今シーズン、11年ぶり19回目のスクデットを獲得したミランはリーグ戦終了後、オーナーが交代したものの、メルカートにおける戦略に方針転換はない。
技術部門を率いるパオロ・マルディーニTD(テクニカルディレクター)とフレデリック・マッサーラSD(スポーツディレクター)の続投が決定し、ミランは数カ月前から進められていた補強計画を継続することが可能となった。
ミランは各ブロックにおいて、それぞれ1人の補強を検討。それも可能な限り複数ポジションをこなせる選手の獲得を狙っている。その有力候補の1人が今夏に25歳を迎え、才能を完全に開花させようとしているリールの逸材MFレナト・サンチェスだ。契約切れによりミランを退団してバルセロナへ加入するMFフランク・ケシエの代役とされるが、厳密にはポルトガル人MFが戦術的に後継者と言えないことも付け加えておこう。
“ケシエの後継者”と見るべきではない
ミランはこれまで、レナト・サンチェスを担当する敏腕代理人ジョルジュ・メンデス氏との交渉において、年俸600万ユーロ(約8.4億円)から400万ユーロ(約5.6億円)へと条件面で1歩ずつ前進を続けてきた。一方、保有権を持つリールに対しては、来年6月に満了を迎える契約を口実に、1500万ユーロ(約21億円)から1200万ユーロ(約17億円)へと移籍金の値下げの説得を試みる。
ケシエとは異なる特徴を持つポルトガル人MFはかつて、移籍金3500万ユーロ(約49億円)でバイエルン・ミュンヘンに加入したものの、クオリティの飛躍に失敗した過去を持つ。2019年夏に現在所属するリールへと移籍。主にセントラルMFでプレーしたほか、トップ下の位置でも起用され、ようやく継続的にパフォーマンスを示すことができるようになった。
ポルトガル人選手には、ボールに躍起になり、背後にスペースを空けてしまう悪い癖がある。特に4-2-3-1の守備的MFとして起用するとなれば、指揮官ステファノ・ピオリが取り組むべき仕事はかなりの量になるだろう。
トップ下にふさわしいクオリティ
フィジカルの強さやドリブル、技術のクオリティに疑いの余地はない。レナト・サンチェスは、ミランがボール支配をする上で著しくレベルを引き上げてくれるはずだ。今夏、同じく中盤においては、おそらくMFヤシーヌ・アドリやMFトンマーゾ・ポベガが、レンタル先のボルドーやトリノから加わるとみられる。
こうした背景から、レナト・サンチェスは、まさにミランが優勝を飾った今シーズンのセリエA終盤のケシエやMFラデ・クルニッチのように、トップ下で起用される可能性があることも否定できない。
システムの変更も視野に?
ミランがレナト・サンチェスを獲得した場合のもう1つの可能性として、システムの変更も考えられる。
ミランにおいて、常に4-2-3-1のシステムに忠誠を示し、多用してきたピオリ。だが『DAZN(ダゾーン)イタリア』のインタビューで語ってくれたように、近年、選手たちの特徴に反するのではなく、自身の戦術をチームに適応させていく能力に磨きをかけてきた。
実際に今シーズン中も、定番のスタイルを変更し、ナポリ戦では攻撃的な4-3-3を採用したほか、4-1-4-1や4-4-2などのフォーメーションで選手が配置された試合もあった。
レナト・サンチェスを獲得した場合、4-3-3のシステムが最適な答えであるように見えるが、ピオリは今後、ミラネッロにおいて分析を重ね、チーム作りを進めていくことになるだろう。
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