パリ・サンジェルマンに所属するブラジル代表のネイマールが、自身のキャリアにおける最悪の瞬間に言及した。DAZNで配信中のドキュメンタリー番組『ネイマール:ブラジル代表 王者の系譜』で涙ながらに振り返っている。
その最悪の瞬間は2014年7月4日、ブラジル・ワールドカップ(W杯)準々決勝のコロンビア戦で訪れた。試合終盤に後方からチャージを受け、腰椎骨折の重傷を負ったのだ。
「W杯の準決勝や決勝でプレーする夢が一瞬にして消えたんだ。背中に衝撃を受けた後、マルセロが起こしに来た。でも激痛で立てなかった。足を動かそうとしたけど、力が入らなかった。『感覚がない』と訴えて、その後ピッチから運び出された。試合終了まで残り2~3分だったと思う」
ネイマールは続ける。
「覚えてるのは足が変な角度に曲がってたことだ。医師がまっすぐに伸ばそうとしたら激痛が走った。足は動かない。絶望的な気持ちになって泣いたよ。病院に運ばれて検査が済むと、医師に聞かれた。『いい知らせと悪い知らせがある。どちらを先に聞きたい』とね。悪い知らせから聞きたいと答えたら、『W杯は無理だ』と言われた。いい方を尋ねたら、『あと2cmズレていたら、一生歩けなかった』と」
最悪の事態は免れたものの、この時点でチームからの離脱が決定。セレソン(ブラジル代表の愛称)が準決勝に駒を進める一方で、ネイマールのブラジルW杯は終焉した。
「涙があふれてきたよ。W杯の舞台を去るのも、ケガをしたのも悲しかった。その後、病院から空港に向かい、担架に寝たまま貨物用トラックに乗せられた。チームメイトたちが見送りに来てくれたよ。全員がずっと泣いていたみたいに目を赤くしていた。
父さんに会ったのもその時だ。一緒に飛行機に乗った。僕はもう言葉が出なくて泣くばかりだった。とにかくね…。悲しい気持ちだった。悲しくて仕方なかったんだ」
その父は夜に眠る時も、自身のそばにいたという。
「一番つらかったのは夜中にふと目覚めると、父さんが号泣してた時だ。心から泣いていた。でも『泣いているの』と聞いたら、父さんは否定しながらこう言ったんだ。『お前が再びプレーするためなら……私の命を差し出す。お前と家族にとって今回のW杯は夢だった』とね。
それを聞いて、僕は慰めたよ。『父さん、大丈夫だよ。W杯は次もある。神様が味方になってくれたら、きっと優勝だってできる。また歩けるし、サッカーもできる。万が一、プロは無理でも父さんと一緒にね。たとえW杯がダメでもサッカーはできるから』って冗談も言った」
自身の代理人も務めるその父親はサラリーを巡る交渉時などに「守銭奴」などと心無い批判を浴びることもあるが、ネイマールにとってかけがえのない存在になっているのは間違いない。
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