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AFCアジア最終予選

【コラム】日本が目指すべき中盤の理想系。サウジ撃破を支えた3MFの柔軟な対応力| サッカー日本代表

【コラム】日本が目指すべき中盤の理想系。サウジ撃破を支えた3MFの柔軟な対応力| サッカー日本代表DAZN
【日本代表・コラム】FIFAカタール・ワールドカップ2022 アジア最終予選で、グループ首位に立つサウジアラビアと対戦した日本代表。前回対戦で敗れた相手に、ホームで2-0の快勝を飾った。なぜこの大一番を制することができたのか。エル・ゴラッソの西川結城氏に紐解いてもらった。
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伊東純也のアシストとゴールは、どちらもスーパーだった。2-0の快勝劇。首位を走るライバル、サウジアラビアに前回対戦の敗北をリベンジする痛快な勝利だった。

伊東はこれで最終予選4試合連続弾。そうした記録以上に、その実力とポテンシャルを余すことなく重要な試合で発揮した事実に、今後の飛躍を期待せずにはいられない。本格的に日本の看板選手へと上り詰めていくこと、そしてプレミアリーグをはじめ欧州主要リーグへの移籍という期待は、もはや現実的な話になっても不思議ではない。

だが、伊東の大活躍を押さえた上で、今回記事の本テーマとして扱いたいのはまた別の選手たちである。

課題だった中盤の攻撃参加

2022-01-27-Hidemasa Morita-Japan vs China-FIFA World Cup Asian Qualifier Round

現在の森保ジャパンの生命線、それは中盤3人の存在と言える。アンカーに入る遠藤航、インサイドハーフに位置する守田英正と田中碧。昨年10月のオーストラリア戦から採用される[4-3-3]システムの心臓部分。彼らの働きこそが、チームパフォーマンスと勝敗を左右する。

遠藤は[4-2-3-1]システムで柴崎岳とダブルボランチを組んでいたため、従前どおり変わらず先発メンバーに名を連ねていることになる。守田と田中の抜擢は、[4-3-3]を機能させる上で、川崎フロンターレ(以下川崎F)時代に彼らが同システムを経験し、ポジショナルプレーの概念のもと攻撃構築を担っていたことが大きかった。

このサウジアラビア戦に至るまでの4試合、3人はすべて先発出場を果たし、毎試合トライ&エラーを繰り返しながら課題把握と修正を繰り返してきた。中でも課題として挙げられたのが、3人の攻撃参加についてだった。

ダブルボランチのシステムでは、3選手とも守備的MFに配置されるタイプ。そのため、「アンカー1名+インサイドハーフ2名」の中盤構成の際も、前目に位置する2名が攻撃的MFタイプが入る場合より低めの位置取りとなることが多かった。

「3人共タイプが似ていて、3ボランチ気味になることもある。そうすると、前線との距離が生まれ、チームの攻撃に迫力をもたらせなくなるという課題がある」(守田)

DFラインからパスを繋いで敵陣に入っていくビルドアップでは、彼らは敵の立ち位置を見ながらギャップや中間ポジションを突いていくことに長けている。あとは、敵陣に人とボールを差し込んでからの、最後のフェーズ。さらにはボールを奪ったあとのカウンターでも、前線に加担し攻撃に厚みをもたせられるか。ここが焦点だった。

3ボランチタイプが揃うことで生まれた柔軟な対応力

2022-02-01 Endo Wataru Japan

ボールポゼッションで日本が後手に回る可能性のあるサウジアラビア相手に(実際に試合後のスタッツでは保持率は日本40%、サウジアラビア60%という結果)、日本の中盤は守備ではボールを奪いに行く場面と、構えてブロックを作る場面を使い分けた。そして攻撃では、過去にないほどにMFの3人が前に出る。

攻撃参加の大前提として、3ボランチタイプが揃っていることで、誰がどこのポジションでも柔軟に対応しプレーできる利点がある。

例えばアンカーの遠藤は言わずとしれたデュエルが武器。この試合でもボールを奪ったその勢いを生かし、前進していくプレーがあった。それを見た田中が攻撃参加を自重し、中盤の重心(アンカーの位置)に降りて守備のリスクマネジメントを担うといった、スムーズな互換関係が成立するのである。

そうした中盤のバランスを崩さないながらも3人が流動的に可変していく陣形が、サウジアラビア戦ではより攻撃において機能した。

あっぱれだったのは、3人の運動量と強度、正確な技術だった。遠藤は既述のようにアンカーでどっしり構えるだけでなく、奪ったあと縦に直線的に鋭く入っていく動きでチームの攻撃に厚みを加えていた。

欧州に行ってからプレースタイルが変化していると自ら話していた守田。川崎F時代はアンカーでパスをさばいて相手を潰す職人的な働きだったが、ポルトガル移籍後は「チームでは“Box to Box(自陣ペナルティエリアから敵陣ペナルティエリアまで)”の動きを求められている」と、自敵陣両ゴール前を走り切るプレーを実践。

それをこのサウジアラビア戦でも披露し、攻撃に出ていけばバイタルエリアで正確なボールテクニックでチャンスの起点になるなど、代表の舞台であらためて新たな一面を示してみせた。

パスの展開力に定評のある田中も、守田同様に“Box to Box”を90分間やりきった。さらに守田との間では元川崎Fのチームメイトらしい、柔軟な連係が存在した。

キックオフ時の両者の立ち位置は左に守田、右に田中だったが、前半早々にこれを逆にした。田中は左サイドで中央寄りにプレーする南野と、サイドの高い位置に進出したい長友を考慮し、時に自ら低い位置に降りては後方からパスを引き出し前方に展開していった。

そして右に移った守田は、幅を取る動きとハーフスペースを突く動きがスムーズな酒井&伊東コンビに加勢すべく、より高い位置で彼らと連係していった。

守田はこう振り返る。

「今回は(田中)碧と流れで変わりました。碧のほうが低い位置に降りて相手を正面にしてビルドアップするのがうまいので、自分はできるだけ降りきらずに(伊東)純也くんが張っているので(酒井を含めた)3枚で高い位置を取る意識でした。自分が左にいるときは(長友)佑都くんが上がって、(南野)拓実くんを中に行かせたかったけどうまくいかず、碧と左右変わりました。彼のほうがそのあたりはうまいと思います(笑)。ただ必要以上に話さなくてもわかるし、それも真ん中にどっしりと(遠藤)航くんが構えてくれているからなので中盤3人の関係性は日を追うごとに良くなっていると思います」

遠藤、田中、守田が見せた日本の中盤が目指すべきスタイル

2022-01-27 Tanaka Ao Japan

日本人は中盤を連想するとき、プレーメーカーやテクニカルなタイプの選手を好む傾向があるだろう。その点、今の森保ジャパンの中盤3人はイメージには当てはまらない。守田は技術が正確で、田中もパスセンスがある。ただ、現代表でいえば、久保建英や堂安律といった選手よりは明らかにバランス型のMFだ。

ただ、[4-3-3]の3MFを担う選手はテクニシャンタイプでないと務まらないわけではない。イニエスタやシャビ、ブスケッツ時代のバルセロナが見せていた3MFの印象は色濃いが、何も森保ジャパンはティキ・タカ(細かなパススタイル)を目指しているわけではない。

例えばプレミアリーグのセントラルハーフが見せるような、伸びやかに自陣と敵陣を行き来するようなプレー。ポジティブ・ネガティブトランジション(攻守の切り替え)という言葉がよく聞かれるようになったが、日本の中盤3人が目指すべきスタイルは、攻撃では丁寧なビルドアップと迫力ある攻め上がり、守備では即時奪回への意識と自陣での耐久力。その理想形が、あらためて理解できたサウジアラビア戦だった。

快勝劇の影に、遠藤、守田、田中のハイパフォーマンスあり。伊東の大活躍と日本の勝利を、3人がしっかり支えていた。

文・ エル・ゴラッソ日本代表担当 西川結城

サッカー専門新聞『EL GOLAZO』の日本代表担当記者兼、事業開発部統括マネージャー。過去に名古屋、川崎F、FC東京担当を歴任。名古屋担当時代に本田圭佑や吉田麻也を若い時代から取材する機会に恵まれる。その他雑誌『Number』や新聞各紙にも寄稿する。

W杯アジア最終予選|試合日程・配信/放送予定

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W杯アジア最終予選では、日本代表のホームは地上波(テレビ朝日)とDAZNが同時に中継・配信を行うが、アウェイではDAZNが独占配信する。

 開催日試合配信・放送予定
MD92022年3月24日(木)オーストラリア vs 日本 DAZN
MD102022年3月29日(火)日本 vs ベトナムDAZN  テレビ朝日

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