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【連載】教え子ジェンナーロ・ガットゥーゾ率いる「ナポリは優勝候補」元日本代表監督アルベルト・ザッケローニのセリエA探究|欧州・海外サッカー

【連載】教え子ジェンナーロ・ガットゥーゾ率いる「ナポリは優勝候補」元日本代表監督アルベルト・ザッケローニのセリエA探究|欧州・海外サッカー(C)Getty Images
【インタビュー】元日本代表監督のアルベルト・ザッケローニ氏が2020-21シーズンのセリエAを探究する当連載。第4回は教え子であるジェンナーロ・ガットゥーゾ(ナポリ監督)の話題を軸に、11月23日に控えるナポリ対ミランの大一番を展望する。

リーノは本当にかわいがられていた

突然ですが、いきなり問題を出します。

「現在セリエAに所属する20チームにて、監督を務めている私の教え子が数人います。それは誰でしょう?」

答えはラツィオのシモーネ・インザーギ、ボローニャのシニシャ・ミハイロヴィッチ、パルマのファビオ・リヴェラーニ、ナポリのジェンナーロ・ガットゥーゾの4人です。

ガットゥーゾを除く3人は皆、私がラツィオ監督時代に指導した選手でしたが、4人とも本当に素晴らしいタレントの持ち主でした。

さて、代表ウィークが終わり、セリエAも今週末(21~22日)の第8節から再開しますね。

最注目カードを挙げるとすれば、22日(日本時間23日早朝)に控えるナポリ対ミランの上位対決でしょう。

今回はそのビッグマッチに向け、教え子のひとりでもあるガットゥーゾが率いるナポリを中心にお話しします。

まずは選手時代のリーノ(ガットゥーゾの愛称)について。私が彼を指導したのはミランでの約2年間です。

私たちがリーグ優勝した直後、1999-2000シーズンに加入したリーノは当時22歳。ビッグクラブでのプレーは初めてでした。

あの頃のミランと言えば、キャリアの晩年だったとはいえパオロ・マルディーニ、アレッサンドロ・コスタクルタ、デメトリオ・アルベルティーニ、ジョージ・ウェア、レオナルド、ズヴォニミール・ボバン、ロベルト・ドナドーニといった蒼々たるメンバーがいました。

その中でも彼はまったく臆することなかったです。

練習場に誰よりも早くやって来て、トレーニングを終えるのは最後。

人懐っこいあの性格に加え、そういった練習に対する真摯な姿勢が、メンバーにすぐ受け入れられた大きな要因だったのでしょう。

チームにもすぐに溶け込んでいましたし、〝大御所〟たちからも本当にかわいがられていました。

リーノは彼らから多くのことを学びました。私の目に留まるのも早かったです。

何より本当に波の少ない、計算が出来る選手でした。

リーノに関しては、試合に向け調子の良し悪しを不安視することは一度もなかったですよ。それこそ彼が及第点以下と思った試合は記憶にありません。

いかに試合に向けた準備を怠らなかったか。このことからも明らかでしょう。

イタリア代表の主軸として、2006年のドイツワールドカップ優勝メンバーになったその後のキャリアについては、私がいまさら説明する必要もないですね。

頑固そうに見えて、臨機応変に考えられる

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一方、順風満帆だった選手時代と比べ、監督としてのキャリアはここまで波乱万丈の連続と言えます。

2013-14シーズン、セリエBに降格したばかりのパレルモで監督キャリアをスタートさせましたが、わずか6試合で解任の憂き目にあいます。

すぐに監督を解任することから「マンジャアレナトーレ(監督を食べるという意味)」との異名を持つ当時のマウリツィオ・ザンパリーニ会長の短気の犠牲になりました。

出鼻を挫かれてのスタートです。

その後、14年6月にギリシャ1部のOFIクレタ、15年8月にセリエCのピサの指揮官となりましたが、いずれもクラブのゴタゴタに巻き込まれました。

古巣ミランでもしかり。17年5月からユースの監督を務め、同年11月に解任されたヴィンチェンツォ・モンテッラの後釜としてトップチームの指揮を任されましたが、当時のミランはクラブとして多くの問題を抱えていたのです。

監督が落ち着いて仕事を出来る環境ではなかったはずです。不遇が重なりましたね。

それでもリーノはまったくあきらめませんでした。そこは選手時代とまるで変わりません。

ファンの皆さんは意外に思われるかも知れませんが、彼は一見頑固そうに見えて、臨機応変に考えられる思考の持ち主。

決して「オレのサッカーはこうだ」と押しつけるタイプではありません。

先駆性のある監督を目指している彼は、良いものはすぐに取り入れますからね。

現在率いているナポリでは今、すべてにおいて恵まれています。それこそリーノにとって長く待ち望んでいた環境だったはず。

選手のだれもがリーノについて行っていますし、何よりアウレリオ・デ・ラウレンティス会長がしっかりサポートしています。

ナポリでこういった状況は実に珍しいこと。デ・ラウレンティス会長自体、一筋縄ではいかない人物ですから。

今はクラブ全体が同じ方向に向いているという印象が強いですし、良い選手が揃っているのも強みです。

コロナ禍の現状では、主力に感染者が出て欠場を強いられることも起こり得ます。

そういったときに物を言うのが、選手層の違い。

セリエAでも屈指の選手層を誇っていることを考えると、コロナ禍の今シーズン、ナポリは優勝候補と言ってしまってもいいのではないでしょうか。

ナポリの完成度はミランの上を行く

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ひとつ気がかりなのは、リーノの手駒に〝スナイパー(仕留め役)〟がない点です。

チームにはイタリア代表FWロレンツォ・インシーニェやベルギー代表FWドリース・メルテンスなど多くの素晴らしい「アシストマン」がいます。

一方で、そのアシストを確実にモノにできる絶対的な点取り屋が見当たりません。

確かにナイジェリア代表FWヴィクター・オシムヘンは良い選手。

ただ、かつて所属したウルグアイ代表のエディンソン・カバーニ(マンチェスター・ユナイテッド)や元アルゼンチン代表のゴンサロ・イグアイン(インテル・マイアミ)といったストライカーと比べると物足りなさは否めません。

いくら多くのチャンスを作れても、ゴールを決められる選手がいなければ試合には勝てませんね。

優勝するには、それこそメキシコ代表のイルビング・ロサーノやオシムヘンに20~25ゴールくらい期待しなければいけないでしょう。

最後になりましたが、私の試合予想です。

ここまでの順位で言えば、首位のミランが優位ということになります。

ただ、現時点におけるチームの完成度は、ナポリがミランの上を行っている。個人的にはそう感じます。

先ほども言いましたが、ナポリは選手が揃っています。その分、選択肢が多いのも強みです。

ミランで図抜けた実力を誇るズラタン・イブラヒモヴィッチが欠場なら、私は間違いなくナポリの勝ちに賭けるでしょう。

それからミランはコロナに感染したステファノ・ピオリ監督とヘッドコーチが決戦地のナポリにさえ行くことができないでしょう。これがどう影響するか。

いずれにせよ、今シーズン、他チームより充実した内容のゲームを見せているチーム同士の対戦ですから、白熱した試合になることは間違いないでしょう。

ぜひ注目してもらいたいですね。

インタビュー:アルベルト・コスタ
翻訳・構成:垣内一之

訳者プロフィール/1998年にイタリアに移住し、約8年間、中田英寿、中村俊輔、柳沢敦ら日本人選手を中心にセリエAを取材。2006年のドイツ・ワールドカップ後に帰国し、現在は日本代表、Jリーグを中心に取材を続けている。

ナポリ対ミラン 配信予定

放送・配信:DAZN
配信開始:11月23日4時45分(日本時間)
実況:北川義隆

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