マタイス・デ・リフトは、あらゆる場所に根を張る。フィジカルを武器とする彼が持つ、もう1つの偉大な強みだろう。マタイスという名前の青年は、嵐の中でみんながしがみつき、頼りとするような男だ。樹齢22年の大木はどんな嵐にも負けない。雨風が吹きつけようと、彼はその場にたたずみ、晴れの日を待つ。
アヤックス在籍時には、若くしてキャプテンマークを託された。この選択には反対の声も上がったが、UEFAチャンピオンズリーグ(UCL)において、近年で最高位となるベスト4へとチームを導き、答えを出した。特にレアル・マドリー戦でのパフォーマンスは類を見ないほどに素晴らしいものだった。
ユヴェントスは8500万ユーロを投資して、アヤックスからデ・リフトを獲得。デ・リフトは高額な移籍金に見合うパフォーマンスが求められる中、少しずつBBC(レオナルド・ボヌッチ、アンドレア・バルザーリ、ジョルジョ・キエッリーニによる3バック)の鉄壁をこじ開け、伝統を守りつつ、新たな壁を建設しようとしてきた。
愛するアムステルダムでの生活や友人たち、慣れ親しんだチームやリーグに別れを告げ、新たな野望を志したデ・リフトは、ユーヴェでさまざまな監督の指導を受け、さまざまな守備のスタイルにも向き合った。例えば、マウリツィオ・サッリは高い位置でのプレーを求めた一方、アンドレア・ピルロはもう少し下がった位置でのプレーを要求。さらにマッシミリアーノ・アッレグリ指揮下においては役割が大幅に変わった。
デ・リフトの適応能力
ユヴェントスにおけるデ・リフトは「適応力」をカギとして奮闘してきたが、決してバラ色のキャリアではなかった。FW勢が新聞の一面を飾るチームにおいて、センターバックの彼は11人目の選手ですらなく、裏方の労働者でしかなかった。
だからこそ、まるで敵であるかのように批判が降り注いだ。デ・リフトは正面で受け止め、跳ね返そうともがいた。確かに苦しい時期はあった。デ・リフトは、加入直後の自身について、「まるでバレーボールの選手のようになるところだった」と『DAZN(ダゾーン)イタリア語版』のインタビューで明かしている。しかしそれを糧とし、キエッリーニやバルザーリといった2人の巨人の陰で、常に成長を続けてきた。
ところで、デ・リフトの見習い期間はこれからも続く。特にメンタル面や90分間を通しての持久力における進化が求められる。また、彼が継続性を示していくためには、豊かな才能を磨き続けることが唯一の方法になる。そう、マタイスは、ゴールではなく、出発点としてイタリアを選択したのだ。目標は世界最強DFであり、彼が踏み出す一歩一歩が成長へとつながる。
ユヴェントスにおけるデ・リフト
ユーヴェはデ・リフトを単に信頼しただけでなく、守備陣のカギとなる役割も与えた。加入直後にキエッリーニが負傷したことで、レギュラーの座への道が開けた。サッリは彼を信頼する以外になかったとはいえ、デ・リフトもサッリを信頼した。新型コロナウイルス感染拡大に対する警戒感が漂う中、カルチョはかつてのものとはかけ離れた非現実的なものとなっていたが、ユーヴェはそのシーズン、スクデット獲得に成功した。
マタイス自身もこの時期、困難に直面した。新型コロナウイルス陽性反応を示すと回復まで長引いた。それでも彼の歩みが止まることはなかった。ユーヴェでの2年1カ月ほどで、すでに80試合以上に出場、6ゴールも記録した。今シーズンはナポリ戦やミラン戦を除き、常に先発出場を果たした。
未来は彼のものだ。数年前から言われてきたことだが、もはや平凡なセリフに聞こえる。今や、圧倒的レベルの彼のパフォーマンスに驚かされることはない。デ・リフトが強く、別格の選手である理由は、確固としたメンタルを持ち、日々、成長のために努力しているからだ。年月が流れても、偉大な選手になるための手段は変わらない。
落ち着きとバランス感覚、そして我慢が必要だ。決して学ぶことを止めないマタイスのノートには、その3つの言葉が刻まれている。
試合情報
セリエA第7節 トリノ対ユヴェントス
- 配信: DAZN
- 日時:日本時間10月3日(日)1:00
- 実況:北川義隆
- 会場:スタディオ・オリンピコ・グランデ・トリノ
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