目には見えなくても、心で伝わるものはある。サンドロ・トナーリの戦いぶりから、彼が真のミラニスタであることは十分に伝わったはずだ。
2-1と逆転勝利を収めた6日(日本時間)のミラノダービー。トナーリは気迫のプレーでピッチを駆け回り、イスマエル・ベナセルとともに、ミランの攻撃を組み立てて主役を演じ、チームに極めて重要な勝利をもたらした。ライバルクラブとの間に広がっていた大きな差を、強い気持ちとチームワークで埋めることに成功したミラン。トナーリは、その象徴となったと言える。
ダービーにおいて、デンゼル・ドゥンフリースと争うテオ・エルナンデスに加勢したトナーリの姿は、そんな現在のミランの真髄を純粋に表現していたと言える。彼が若いイタリア人選手で、幼少からのミラニスタであったという偶然は、ステファノ・ピオリやミラニスタにとって極めて幸運なことであった。
ガットゥーゾを彷彿とさせる8番
全員が1つにまとまり、決して崩れることなく、相手の攻撃を跳ね返し、強力な反撃を繰り出す。決してやられたままにはならず、声を上げて自分たちの存在感を示す。ミランは長年の苦しみを経て、誇りを胸に立ち上がった。夢に描いていた通り、ミランの構想の中心となるまでに成長した若者は、このクラブの未来を背中に背負った。
ピオリ指揮下で成長を遂げた新生ミランではあるが、選手個人が責任感を持って取り組んできたのでなければ、現在のチームは存在していなかったはずだ。トナーリも1年半前、山ほどの選択肢の中から愛するチームへの移籍を、覚悟をもって選んだ。
憧れてきた元ミランのレジェンド、ジェンナーロ・ガットゥーゾと言葉を交わし、背番号8番を引き継ぐことを決めた。ダービーにおいて、チームメートを守ろうと両手を広げて怒り、相手を素早く、力強く突き飛ばす姿は、まさにガットゥーゾそのもの。まるでフラッシュバックのような非現実的なシーンだった。
未来のカピターノへの期待
先日、『DAZN(ダゾーン)イタリア』が行ったアンケートでは、未来のミランのカピターノ(主将)は誰にすべきかを、ファンに尋ねた。ラファエウ・レオンのような逸材やテオ・エルナンデスのような爆発力を持った選手、さらには成長を見せるベナセルや生え抜きのダヴィデ・カラブリアなど、選択肢は幅広い。
そんな中、ミランのサポーターの多くは、迷うことなくサンドロを選んだ。彼の持つクオリティやパーソナリティこそ、未来のミランのカピターノとしてふさわしいものに違いない。
かつてミランのカピターノを務め、クラブのバンディエラとして活躍したパオロ・マルディーニTD(テクニカルディレクター)も、21歳のトナーリをチームの中心に据えることに迷いはなかった。
黄金期のカピターノやバンディエラたちを、テレビを通してしか知らなかったはずのトナーリ。それでも偉大な先輩たちの教えを学び、インスピレーションを受けた。サポーターからのお墨付きも得た彼なら、きっと憧れの“ガットゥーゾ”になれるはずだ。
文・クリスティアーノ・コルボ
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