ピオリは2019年10月、マルコ・ジャンパオロの後任としてミラン指揮官に就任。翌年1月に加わったベテランのズラタン・イブラヒモヴィッチをリーダーとした若手主体のチームを作り上げた。ピオリ指揮下のミランは、長年にわたる低迷期を脱出し、昨シーズンは2位の好成績を収めて8シーズンぶりのチャンピオンズリーグ出場権を獲得。今シーズンも開幕戦から10戦無敗と好調を維持し、28ポイントで首位ナポリと並ぶ。
指揮官ピオリがキャリアを振り返る
ミランの指揮官はバルザレッティ氏のインタビューに応じると、20年以上前にボローニャの下部組織でスタートした自身のキャリアを振り返った。
「監督という仕事は、何か心の中で求めていたものだった。最初はチームマネージャーの役職を提案されたのだが、私は指導がしたかった。初めて指導したトップチームのサレルニターナでの1年目のこと。ナポリとのダービーの前に、先発メンバーから外した選手の下へ向かった。常にレギュラーとして起用していた重要な選手だったので、少し話をして励ましたかった」
「ところがその選手から、『監督は自分の決断を下すべきものなんだ。僕のご機嫌を取りにくる必要はない』と言われた。あれは私にとって教訓となった。選手たちは、私が最高のフォーメーションを組むために決断を下していることを理解している。だがもし説明が必要なのであれば、私の扉は常に開いている」
「監督として最高の日? サレルニターナでセリエB残留を決めた日だろうか。感動的だったよ。いや、ボローニャの下部組織(U-17:アリエーヴィ・ナツィオナーリ)での優勝した日かもしれない。あれは2年間の仕事の集大成だった」
ピオリのルーティンとイブラヒモヴィッチ
ピオリは試合前後のルーティンも明かしたほか、チームをけん引する40歳のリーダーイブラヒモヴィッチに言及した。
「試合後は何もしゃべらない。そういう習慣なんだ。ズラタンがやって来てからは、ロッカールーム内に入る回数も少なくなった。私も選手たちも冷静ではないし、(私がいなければ)少なくとも選手たちは感情をぶちまけることができるだろう。だから試合後はあえて口出ししないようにしている」
「試合前に話をしたがる選手が何人かいるが、私は注意深く耳を傾けている。私が18歳の時に所属していたユヴェントスでは、(ジョヴァンニ)トラパットーニ監督と(ミシェル)プラティニが議論していたことを覚えている。トラップは選手全員を尊重していた。議論においても、選手を大切にしていたんだ」
「ズラタンはこれまでも実力を発揮してきたが、今もなお、カンピオーネ(王者)であり、プロフェッショナルであることを示そうとしている。困難や痛みを乗り越えようと歯を食いしばり、ここで一日中過ごしている。彼のモチベーションは並外れたものだ」
「彼がやって来たことで、このチームはレベルアップした。私が驚いたのは、まだまとまってすらいなかったグループの中へ悠々と溶け込んでいった彼の知性だよ。いったんチームメートから認められるようになった後は、自分自身だけでなく、みんなにも多くを要求した。彼はチームのレベルを引き上げたが、他の選手たちも、ズラタンが自分たちの成長を促してくれる存在であることを認識している」
ミランの躍進の秘密は?
ミラン指揮官は続いて、2020年以降、躍進を続けるチームの成功の秘訣を明かした。
「クラブは常にチームを支え、可能な限りのサポートを提供してくれる。これがこのチームの力なんだ。(幹部のパオロ)マルディーニや(フレデリック)マッサーラ、それに(イヴァン)ガジディスCEOは、チームをそばで支えてくれている。クオリティや才能が違いを作り出すものだが、人間としての豊かさもその違いを作り出す」
「(昨シーズン限りで退団した)ジージョ(ジャンルイジ・ドンナルンマ)やハカン(チャルハノール)は最後の1秒の瞬間まで最高だった。今シーズン、チームに所属する選手たちだって2人と変わらない。みんなの中心にはチームとしての成功があるんだ」
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